料理家・冷水希三子の何食べたい?

サクサク、ぷりぷり。旬を味わうカキフライ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。今回は旬の牡蠣(かき)を使った、基本のカキフライの作り方を教えていただきます。

    ◇

―― 冷水先生、こんにちは。寒い日が続きますが、体調など壊していないでしょうか? 健康の基本は食だなあと感じることが多い今日この頃です。

冷水 そうですよ。旬の食材にはパワーがありますし、何よりおいしいですからね。

―― 今回のお題ですが、読者のみなさんからはそろそろ旬が終わってしまう牡蠣を味わい尽くしたい!という声が届いています。確かに牡蠣は下処理もなんだか大変そうだし、お店で食べるものというイメージがあります。

冷水 そうなんですか? 旬の時期は大ぶりな牡蠣が手頃な値段で手に入りますから、自宅で調理すると割安ですし、慣れればそんなに大変じゃないですよ。

―― ほんとですか〜(疑いの目)? じゃあ今回はぜひ牡蠣料理の基本の「き」を教えていただきたいです。

冷水 じゃあ、みなさんの苦手意識が高そうな牡蠣フライはどうでしょう? コツを抑えれば家でもサクサクの牡蠣フライを作れますよ。

サクサク、ぷりぷり。旬を味わうカキフライ

カキフライには加熱用のものを使います。おおぶりでプリッとしているものだと食べ応えのあるフライになりますよ

―― 牡蠣フライ! 私は外でしか食べたことありません……。ただでさえ苦手な揚げ物、牡蠣となるとなんだか爆発しそうで怖いです。

冷水 じゃあ今日はそのダブルの苦手意識を払拭しましょう! 

―― お、お願いします!

冷水 まずは牡蠣の下処理ですね。臭みと汚れを落とすための工程ですが、ボウルに入れた牡蠣に少し多めの塩をまぶして、流水でふり洗いします。

―― これ、レシピ本によって塩という場合もあれば片栗粉の場合もあったりして、なんだか混乱します……。

冷水 臭みを吸着してくれるものならなんでもいいんですよ。お米のとぎ汁でもいいです。

―― へ〜、そうなんですね! あと「ふり洗い」ってどんな感じですか?

冷水 文字通り牡蠣を入れたボウルを揺すって汚れを落とす感じです。どんどん汚れが出てきますから、流水を絶え間なく流しつつ、10回程度水を変えて洗ってください。

―― 本当だ! 牡蠣のひだの間から黒いものがどんどん出てきます。これ、エンドレスっぽいですけど、いつ終えたらいいんでしょうか?

サクサク、ぷりぷり。旬を味わうカキフライ

卵液はといた卵に水を加え、ザルでこして作ります。こうすると滑らかになります

冷水 100%汚れを落とそうと思わなくても大丈夫です。あんまり洗いすぎると牡蠣のうまみが損なわれてしまいますし、身が崩れてしまいますから。あくまでも10回程度を目安にしてください。

―― 洗った牡蠣はキッチンペーパーのお布団に寝かせて水気を取るんですね。下味はつけないんですか?

冷水 魚介類にはもともと海水の塩分がありますから塩はふりません。下処理はこれで終わりですよ、簡単でしょう?

―― たしかに。今までの苦手意識はなんだったんでしょう!?

冷水 何事もやってみることが大切ですからね。これで苦手意識のひとつめはクリアですね。

サクサク、ぷりぷり。旬を味わうカキフライ

パン粉は最後にやさしく押さえるようにするとしっかりとつきます。あまり強く押さえるとカキの身が崩れてしまうのでご注意を

―― 次はいよいよ揚げの工程ですね、ドキドキ。

冷水 揚げ物は準備をしっかりしておけば慌てず落ち着いてできるので、まずは衣の用意をしましょう。バットに小麦粉、パン粉を入れて、卵液にはひと工夫、水を加えます。

―― えっ! 溶いた卵に水を加えるんですか?

冷水 卵2個に対して大さじ1程度です。卵液がさらっとして素材に絡みやすくなるんです。もし余裕があれば、これをザルでこせば、さらに滑らかな卵液になりますよ。

―― たしかに、ただ溶いただけの卵液だと、白身がドゥルンッ!となってうまく素材につかないことがあります。

冷水 そうそう、そのストレスを少しの手間で解消するわけです。

―― これはどんな揚げ物にも使えますね! メモ、メモ。

サクサク、ぷりぷり。旬を味わうカキフライ

揚げすぎは厳禁。衣が薄いキツネ色になったらバットに上げて、余熱で火を入れましょう

冷水 あとは小麦粉、卵液、パン粉の順につけて170度くらいの油で揚げるだけです。

―― 170度の塩梅(あんばい)がよくわからないのですが……。

冷水 油の中に衣を落としたとき、底まで沈んですぐに浮かび上がってくるのが170度くらいと覚えてください。

―― おおお! 沈んでからぴょんと上がってきました。このタイミングですね!

冷水 牡蠣を油に入れたら衣が固まるまでいじらず、そっとしておいてくださいね。菜箸でつつくと衣に穴が開いて恐怖の爆発の危険が出てきますからね(笑)。

―― おっと、それは大変です。じっとガマンですね!

冷水 牡蠣は短時間で火が通りますから、衣がうっすらきつね色になったところで取り出しましょう。バットに上げた後も余熱で火が通りますからね。

―― 中が生だったら嫌だなという気持ちもありますが、あんまり長時間揚げるとパサパサになってしまいますものね……。この塩梅も練習が必要ですね。

冷水 ぜひ今回の写真を参考にしてください。

―― うわ〜、サクサクの衣の中からぷりんぷりんの牡蠣! 揚げ加減が最高ですね~。こんなお店顔負けの牡蠣フライが家で作れるなんて革命です!

冷水 何度か作ると油の温度や揚げ加減がわかってくると思いますので、ぜひ旬のうちに作ってみてください。一度コツを習得すればもう失敗しませんからね。

今日のレシピ

牡蠣フライ
◎材料(2人分)

牡蠣:8個 
薄力粉:適量 
卵:2個 
パン粉:適量
揚げ油:適量 
ゆで卵:2個 
マヨネーズ:大さじ2  
ラッキョウの酢漬けみじん切り:4個 
パセリみじんぎり:適量 
玉ねぎのみじん切り:大さじ1分 
白ワインビネガー:小さじ1

◎作り方

 玉ねぎのみじん切りは水にさらして水気を絞り、白ワインビネガーを混ぜ合わせておく。

 タルタルを作る。ゆで卵を刻んでマヨネーズ、ラッキョウ、パセリ、の玉ねぎみじん切りを混ぜ合わせる。

 卵に水大さじ1を加えて溶き、ザルでこして卵液を作る。牡蠣に薄力粉をはたき、卵液をつける。次にパン粉をつけて軽く押し、170度くらいの油で揚げる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)

おすすめの記事

  • アツアツ、とろ~り。幸せのマカロニエビグラタン

    アツアツ、とろ~り。幸せのマカロニエビグラタン

  • 香草オイルをジュッ、中華風ふわふわ蒸し鰆。

    香草オイルをジュッ、中華風ふわふわ蒸し鰆。

  • 家族3人で過ごす数少ない休日、心も体も温まるとびきりのスープを

    家族3人で過ごす数少ない休日、心も体も温まるとびきりのスープを

  • >>まとめて読みたい!「冷水料理相談室」 記事一覧

    >>まとめて読みたい!「料理家・冷水希三子の何食べたい?」 記事一覧

    冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

    サクサク、ぷりぷり。旬を味わうカキフライ

    料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

     

    PROFILE

    • 小林百合子

      編集者
      1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

    • 関めぐみ(写真)

      写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

    旬の甘みを丸ごと味わう白菜とチキンのサフラン煮込み

    一覧へ戻る

    酒粕で体ポカポカ。鶏団子と菜の花の白みそ酒粕鍋

    RECOMMENDおすすめの記事