リノベーション・スタイル

子どもの成長に合わせてカスタマイズできる「通り」がある家

Kさんご一家(夫35歳 妻35歳 長女3歳)
千葉県柏市/築33年/81.06平米/総工費:約1,000万円

リビングの隣に和室がある、1980年代に建てられた標準的な3LDKのマンションをリノベーションしたのが、Kさんご一家です。元々、職場に近い同じマンションの賃貸物件に住んでいましたが、引っ越しを考えていたときに分譲の物件が出たので購入することにしたそうです。

リビング・ダイニングと収納を広くするために、3LDKの間取りを2LDKにするというのは、リノベーションでよくあるパターンです。今回も同じパターンではありますが、その中でKさんご一家らしさを感じる家になりました。

Kさん宅の特徴は、玄関からリビング・ダイニングにつながっている広々とした土間です。廊下は、幅が1.2メートル、床はタイル張りで、まるで家の中に「通り」があるかのよう。おもちゃの棚を置いて遊べるようにしたり、壁にホワイトボードを設置してお絵描きができるようにしたりと、イメージはかつて子どもたちが遊んでいた、家の前の「通り」。

子どもの成長に合わせてカスタマイズできる「通り」がある家

子どもの成長に合わせて、勉強デスクを置いたり、ピアノを置いたり伸び代のあるスペース

そして、その「通り」の先には「縁側」があります。「縁側」とはリビング・ダイニングの中に作った、大きめのベンチのような小上がりで、親子で折り紙をして遊んだり、寝っ転がったりしてリラックスできるスペースになっています。

マンションでありながら、家の中に「通り」と「縁側」がある、一軒家のようなゆったりした雰囲気になりました。

子どもの成長に合わせてカスタマイズできる「通り」がある家

大きなダイニングの横にゆったりしたベンチ。キッチンから子どもが工作している様子がみえる

Kさんご夫婦は「土間の使い方を限定したくない」とのこと。お子さんの成長に合わせて、ピアノやデスクを置くかもしれない。ピクチャーレールを設置したので、お子さんの絵や工作を飾るかもしれないと、決めすぎずにフレキシブルに考えています。将来の子ども部屋は別にありますが、「子どもに合わせて土間をカスタマイズし、成長を見守っていきたい」と言います。

さらに、土間には洗面台を設置し、ペットである亀の沐浴(もくよく)スペースに。洗面台の下に亀の家を置き、土間は亀の散歩スペースにもなっています。また、DIYが好きなKさんの作業スペースになることもあるとか。実は、おもちゃを収納している家型の棚や亀の家はKさんの手作り。棚はお子さんが自分で片づけができるようにと、かわいい形にしました。

子どもの成長に合わせてカスタマイズできる「通り」がある家

子どものお片づけを促すように、Kさんが子どものために作ったおもちゃ収納

Kさんご夫婦には「こんな家にしたい」という強い希望がありませんでした。でも、話を聞いていくと、子どもを目の届くところで成長を見守りたいと思っている、ペットの亀をかわいがっている、Kさんの趣味がDIYなど、大切にしたいことがわかってきました。

リノベーションは、家に対する強い希望がある特別な人がするものと思われがちですが、誰でも最初からそうではありません。Kさんご夫婦のように、暮らしの中で大切にしたいことを相談しながら、プランをたてる場合もあるのです。標準的な間取りのマンションでしたが、家の中に子どもの成長に合わせて使い方を変えられる「通り」がある、Kさん一家らしいリノベーションになりました。

Kさんご夫婦に聞く
リノベーションQ&A

1.一番の気に入っている場所はどこですか?

広いリビング・ダイニングと土間です。土間は、亀やんを放し飼いにできる、天井からハンモックを吊(つる)せるなど子どもの成長に合わせていろいろな使い方ができる、ワクワクできるスペースです。

リビング・ダイニングは広々しているので、ひと目ぼれしたマルニ木工の6人がけの大きめのテーブルを購入しました。机の半分で子どもが工作をし、残りの半分でご飯を食べるなど、好きなことができるスペースとして活用しています。一方で、持っていたソファは処分しました。「縁側」のようなベンチがあるので、ソファがなくてもくつろげます。

2.リノベーションのプロセスで楽しかったことは?
 
プランを考えながら、将来のことを家族で話し合えたことが楽しかったです。それから、素材や機器などを自分好みに選べるところですね。例えば、亀が好きなので、タイルは甲羅をイメージした六角形に。亀の沐浴スペースの洗面台部分とトイレの床のタイルは、ヘキサゴン(六角形)のタイルをセレクトしました。

子どもの成長に合わせてカスタマイズできる「通り」がある家

セカンドシンクやトイレの床のタイルは、亀の甲羅をイメージしたヘキサゴンタイル

3.プロセスで大変なことはありましたか?

時間、予算が限られていたこと。そして、既存のものを解体しないとわからない部分があったことですね。

(構成・文 大橋史子)

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    PROFILE

    石井健

    「ブルースタジオ」執行役員
    1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
    ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
    http://www.bluestudio.jp/

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