朝日新聞ファッションニュース

波乱の中、強さとフェミニン 20年秋冬ミラノ・コレクション

新型コロナ、無観客・中止…役割を模索

2月中下旬にイタリアで開かれた2020年秋冬ミラノ・コレクションでは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてショーの中止や無観客での開催もあった。それでも多くのブランドが、フェミニンでかつ強い女性像や新たなトレンドカラーを打ち出した。

初日から波乱があった。中国系8ブランドで合同ショーが予定されていたが、渡航中止の影響などで、米国在住の中国系デザイナーによる単独ショーに変更された。

会場には「中国。私たちはあなた方と共にいる」とメッセージが掲げられ、後押しするイタリア政府関係者が「中国はイタリアのファッション業界にとって巨大かつ重要な市場だ」とあいさつした。

7日間の会期の当初、イタリア国内での感染者数は数人だったが、日を追うごとに急速に増加した。

波乱の中、強さとフェミニン 20年秋冬ミラノ・コレクション

左:ジョルジオ・アルマーニ 右:ドルチェ&ガッバーナ

6日目に開催予定だったジョルジオ・アルマーニは、約千人の参加予定者に前夜から通知したうえ、無観客でショーを開催。客席に人がいない会場を、柔らかい色の暖かそうな新作を着たモデルたちが歩いた。

アルマーニと同日開催のドルチェ&ガッバーナのショーは、普段は30分以上開始が遅れるが、今回はほぼ定刻で始まった。編み物やテーラードの技などイタリア職人の手仕事を映像で流しながら、ざっくりとしたニットコートなどを並べた。

日本のアツシ・ナカシマなど最終日に予定されていたショーは、主催協会の要請により中止に追い込まれた。

波乱の中、強さとフェミニン 20年秋冬ミラノ・コレクション

グッチ

そうした中で、ファッションの夢の部分を伝えようとしたグッチが、強く印象に残った。会場に入ると、そこはバックステージで、モデルたちがメイクアップの真っ最中。ショーが始まると、荘厳なボレロの曲と共に舞台は動き出し、モデルが1人ずつ登場するドラマチックな仕掛けだ。

作品はフリル満載のビンテージドール風ドレスや、白い丸襟のドレスなど子供服のようなデザインがずらり。デザイナーのアレッサンドロ・ミケーレは「ファッションやショーはパワフルで自由で、唯一無二のもの。ものづくりの生みの苦しさも含めて伝えたかった」と話した。

全体を通してのトレンドは、強さがある一方、知的でフェミニン。例えば、ウエストをベルトで絞ったメンズ調の厚手ジャケットに、深いスリットの入ったスカートを合わせるスタイルだ。色は、緑や青、赤。

波乱の中、強さとフェミニン 20年秋冬ミラノ・コレクション

プラダ

その筆頭はプラダ。「シュール」、「グラマー」をキーワードに、大きめのボックスジャケットと多様なフリンジスカートで、強さと柔らかさの対比を表現した。

プラダは次回から、現デザイナーのミウッチャ・プラダに加え、かつてジル・サンダーやクリスチャン・ディオールを再生させたラフ・シモンズが共同でデザインすると発表した。

波乱の中、強さとフェミニン 20年秋冬ミラノ・コレクション

左:ジル・サンダー 右:サルヴァトーレ・フェラガモ

ジル・サンダーも、シンプルだが細部にクラフト感をしのばせ、しっとりと女性らしい作品を並べた。型紙ではなく、生地をプレスしたり、ひだを寄せたりして立体化する技術に挑戦。微妙なニュアンスが漂う服が生まれた。

波乱の中、強さとフェミニン 20年秋冬ミラノ・コレクション

左:フェンディ 中央:MSGM 右:GCDS

サルヴァトーレ・フェラガモも上質素材のクリーンな印象の服に、鎖のフリンジなどドキッとするディテールを盛り込んだ。フェンディМSGМは量感のあるきれいな色の作品が心に残る。新進のGCDSは「トムとジェリー」などのモチーフを凝った手仕事で見せた。

今回は新型コロナウイルスの影響で、中国だけでなくアジアや米国のバイヤー、報道陣も激減。日本の大手百貨店やファッション誌も多くが出張を取りやめた。

過去30年間、テロによって各国のコレクションが縮小・中止されたことはあったが、疫病が要因になったのは初めて。予測のつかない社会を前に、ファッションの役割について作り手たちの新たな模索が始まっている。

(編集委員・高橋牧子)

 <ジョルジオ・アルマーニの写真はブランド提供、ほかは大原広和氏撮影>

東京コレクションなど相次ぎ中止

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、16~21日に予定されていた東京コレクション(楽天ファッションウィーク東京)は中止になった。2日、主催者が発表した。約50ブランドが、2020年秋冬の新作を渋谷ヒカリエなどで発表する予定だった。東コレの中止は、東日本大震災後の11年3月以来。

2日までに、数ブランドがショーの中止を個別に発表していた。タエ・アシダは2月19日、例年来場者が1500人を超えるとして「予防的措置として決定した」と中止を発表。ヒロココシノやハイクは無観客で独自にショーを開く。動画配信などを検討しているという。

海外でも、ファッション関連のイベントが続々と中止や延期になっている。スイスで4月下旬から開かれる予定だった、時計と宝飾の国際見本市「バーゼルワールド」は来年1月に延期された。もう一つの時計の見本市「ウォッチズ&ワンダーズジュネーブ(旧SIHH)」も4月にスイスで予定されていたが、中止になった。

     ◇

茨城県の水戸芸術館現代美術ギャラリーで5月6日まで開催予定の「森英恵 世界にはばたく蝶(ちょう)」展は、3月2日から31日まで同館が臨時休館となった。

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