朝日新聞ファッションニュース

あふれる花々、多種多様 20年秋冬、NYコレクション

大胆・優しげ 生まれる「美」

2月に開かれた2020年秋冬ニューヨーク・コレクションでは、セレブ御用達のドレスブランドでも、普段着の要素をとり入れた現実的な服が目立った。また、多くのブランドで様々な花のモチーフが咲き乱れていた。

あふれる花々、多種多様 20年秋冬、NYコレクション

左:オスカー・デ・ラ・レンタ、中央:ジェイソン・ウー、右:キャロリーナ・ヘレラ

ゴージャスとカジュアルが融合していたのが、オスカー・デ・ラ・レンタだ。ボリュームたっぷりの花柄ドレスに白いタートルネックのニットを合わせたスタイルや、上半身はシンプルな黒い長袖で、腰下から白いふわふわした生地がうねるドレスが印象的だった。

ジェイソン・ウーは、流れるような線を描くドレスやトップスに、濃いピンクや青など、はっきりした色をきかせ、強さと柔らかさが共存していた。フリルやラッフルは大げさすぎず、パンツと合わせたスタイルも。デザイナーは、「美を、柔らかい女性性を、体現したかった」と話した。

シンプルな線のドレスに加え、ジャケットのバリエーションが豊富だったのが、キャロリーナ・ヘレラだ。ウエストをひも状のベルトで絞ったり、腹部にフリルをあしらってデザイン性を高めたり。光沢のある生地や大胆な花柄で、特別感が出ていた。

どれも、夢見心地というよりは、地に足のついた服だ。社会的な立場のある女性が増え、その需要も高まっているのかもしれない。

あふれる花々、多種多様 20年秋冬、NYコレクション

左:ロダルテ、中央:アナ・スイ、右:シエス・マルジャン

今回のコレクション全体で、とにかく目についたのが花のモチーフだ。定番ではあるが、ナチュラル、大ぶり、立体や刺繍(ししゅう)など、雰囲気も手法も多様に現れた。

教会を会場に、ランウェーに白い花や灯のともったロウソクを配したロダルテは、ロマンチックな服をそろえた。少女らしさの残るかれんな小花、芸術的に連なる立体的な花びら、手描き風の優しげなものなど、パンツやドレスに花があふれた。

ホラー映画からヒントを得たというアナ・スイは、黒や赤、紫、緑を軸に、ダークで怪しげな空気をまとった服が並んだ。レトロな花柄のブラウスに、パッチワーク風のニットスカートの組み合わせは、縦長のすっとしたシルエットで絶妙なバランスだった。

「田舎」をキーワードにしたシエス・マルジャンは、ジャケットとパンツのセットアップやドレスに、水彩調のナチュラルな葉や花のプリントをのせた。

なぜいま、花が多用されるのか。殺伐とした都会で自然を求め、身につけたいという消費者の気分をすくい取っているのだろう。また、作り手からすると、花という自然の造形は、「美」を生み出すための最も効果的な選択なのかもしれない。

あふれる花々、多種多様 20年秋冬、NYコレクション

左:パーム・エンジェルス、右:パペッツ・アンド・パペッツ(C)LECCA

そんな中、個性を生かし、勢いあるショーを見せたのがパーム・エンジェルス。フリンジをふんだんに使い、絵の具が飛び散ったようなアクセントをつけ、ウェスタンなストリートスタイルを提案した。

さらに独創的で、おとぎ話のような世界を繰り広げたのがパペッツ・アンド・パペッツだ。腰が大きく膨らんだパンツ、背中に羽が生えたボディースーツ、チョコチップクッキーを模したベルトの留め具……。フランスの漫画家の作品に着想を得たという。モデルの体形も様々で、性差もあいまいになる。デザイナー自身もランウェーを歩いた。正直、実際に着るには難しいものが多い。ただ、自由な風を感じた。

(神宮桃子)

<シエス・マルジャンとパペッツ・アンド・パペッツはブランド提供。それ以外の写真はMarcelo Soubhia氏とRunway-photographie撮影>

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