#ステイホーム with 花のない花屋

#01「会いたい」気持ちをハッピーに伝えたい

おうち時間に花束を――。

 

新型コロナウイルスで、外出自粛が求められているいま、 おうちにいる時間が増えている方が多いと思います。先が見えない漠然とした不安の中、花を部屋に飾ることで沈みがちな気分が明るくなったり、水をあげることで心が落ち着いたり……。おうち時間を少しでも楽しく心身ともに穏やかに過ごせますように。
いま、“わたし”に贈る花束を。

 

心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ、花から伝わるメッセージを多くの読者の方に受け取って、感じてもらいたい!という思いを込めて。フラワーアーティスト東信さんが、2週間連続で14人の方の気持ちに寄り添った花束をお届けします。

 

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。(締め切り5月4日まで)

#01
千賀有希さん(仮名)30歳 女性
港区在住 会社員

     ◇

満開を楽しみにしていた近所の桜の木が、在宅勤務中にいつの間にか葉桜に変わってしまいました。こうした日常のかすかな楽しみが奪われ、「残念」と口にすることすらなんだかはばかられる。先が見えない不安の中での「また来年」は重くのし掛かり、心を少しずつ削っていきます。

緊急事態宣言が出された当初は、自宅で過ごすことくらい平気だと思っていました。動画配信サービスを楽しんだり読書をしたり料理を作ったり。自分ひとりの時間を過ごすことは割と苦じゃないほう。誰かと話したくなったら電話もあるしLINEもある。顔を見て話せるテレビ電話だってある。出かける楽しみは1カ月先に取っておけばいいじゃないか、と。

でも人と会わず、手のひらサイズの機械を挟んだやり取りがずっと続いて気づいたのです。いくら技術が発達してコミュニケーションの手段が増えても、それらは結局「会える」という前提があってこそ成り立つものなのだということに。「あそこのカフェがおいしかった」「夏に公開する映画、面白いらしいよ」。こんなたわいもない話題から始まる会話も、「今度一緒に行こうよ」と言えないと、なんだか空しく感じます。

最近は誰かとやり取りしても「会いたいね」とあえて言わなくなりました。だってそれはいつになるの? もしかして半年、いや数年先になったりして――? そんな疑問が頭をよぎると、心臓をわしづかみにされたような苦しさを覚えて、文字を打つ親指が止まります。

でもふと心に浮かぶ「早く会いたいな~」という気持ちを、本当は伝えたい。

新しい服が買いたい、痩せたい、部屋の模様替えをしたい。日々湧いてくる小さな願い事をかなえるのは自分を満足させるためだと思っていました。けれど、いざ誰にも会わない生活が続くと、その願い事の先には常に誰かの視線があったということに気づかされました。外出自粛を忠実に実行しているいま、着古した部屋着のパーカで1日過ごしてしまうはざら。通販サイトを見ても「新しい服を買ったところでいつ着るんだろう」とため息交じりにスマホを閉じてしまいます(おかげでお金は減らないのですが……)。

誰かと「会える」という、ごくごく当たり前のことが、いかに自分を支えてくれていたかを痛感しているいまだからこそ。

家族に、友人に、大切な人に「会いたい」気持ちをハッピーに伝えられるような、そんな花束をお願いしたいです。小さなお花のふんわりした色合いが好きなので、ピンクのスターチスを使っていただけるとうれしいです。

花束を受け取って……

#01「会いたい」気持ちをハッピーに伝えたい

すてきな花束を、雨の中玄関先まで運んでいただきありがとうございました。ピンクは私の一番好きな色です。見た瞬間気持ちが明るくなりました。想像以上に大きな花束で、テレビが少し隠れてしまっていますが、画面から流れてくる暗いニュースを打ち消してくれているような気がします。

このエピソードが掲載されるまで、この花束の秘密は話さないようにしています。早く会いたい気持ちと一緒に、タネ明かしが出来る日のことを考えると、ワクワクして笑顔になることが増えました。

 

花束を作った東信さんのコメント

大切な人たちに「会いたい」気持ちをハッピーに伝えられるような花束、というご希望でしたのでピンクを中心とした優しい色合いで、ふんわりとしたフォルムになるよう束ねました。
ピンクのスカビオサとご希望のピンクのスターチス、それにスイートピーやラナンキュラスといった季節の花を入れているので、さりげない春の香りと明るい色合いの花々が、このもどかしい気持ちを少しでも和ませてくれるといいなと思います。

 

#01「会いたい」気持ちをハッピーに伝えたい

(&編集部/写真・椎木俊介)

     ◇

2週間連続!特別企画
おうち時間に花束を――。
あなたの「物語」を募集しています

「いま、心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ」のご自身のエピソードと、花束を作って欲しいと思う理由をお寄せください。
今回は2週間連続の特別企画のため、東信さんに毎日花束をつくっていただきます。そして、その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介します。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

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  • >>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    #01「会いたい」気持ちをハッピーに伝えたい

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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    http://azumamakoto.com/

    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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    #02 唯一くつろげる場所で自然の美しさに触れたい

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