#ステイホーム with 花のない花屋

#05 言葉にしない優しさに気づかされた

おうち時間に花束を――。

 

新型コロナウイルスで、外出自粛が求められているいま、 おうちにいる時間が増えている方が多いと思います。先が見えない漠然とした不安の中、花を部屋に飾ることで沈みがちな気分が明るくなったり、水をあげることで心が落ち着いたり……。おうち時間を少しでも楽しく心身ともに穏やかに過ごせますように。
いま、“わたし”に贈る花束を。

 

心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ、花から伝わるメッセージを多くの読者の方に受け取って、感じてもらいたい!という思いを込めて。フラワーアーティスト東信さんが、2週間連続で14人の方の気持ちに寄り添った花束をお届けします。

 

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。(締め切り5月4日)

#05
前坂未果子さん(仮名) 30歳 女性
文京区在住 会社員

     ◇

私は夫と転職先で出会い、昨年10月に結婚しました。

一回り以上も年上の夫は芯が強く、自分の意見を持っている人。ダメと思うことはダメとはっきり言ってきます。それは悪く言えばがんこで押しつけがましい部分もあるということ。
私も似たような部分があるので、付き合った当初からたくさんケンカを繰り返してきました。

でも私の相談事にも真摯(しんし)に向き合ってくれるところ、何より、仕事に対してとても熱心で、お客様の要望に応えるために絶対諦めない姿勢に惹(ひ)かれて、結婚を決めました。

しかし、がんこな所は相変わらずで、結婚した後もビックリさせられることもしばしば。
時代劇で侍のしおらしい奥さんが出てくれば、「女性はこうあるべきだ」と諭され、またある時は「茶道を習って女性らしさを身に付けて欲しい」などとも……。

そんな話を右から左に流しつつ、結婚から4カ月がたったころ、妊娠がわかりました。あまり実感が湧きませんでしたが、自然とうれしい気持ちになったのを覚えています。

夫に伝えたら、喜んだり、当時は既に新型コロナウイルスのニュースばかりが目に付くようになっていたので、いたわって優しい言葉をかけたりしてくれるかな……。ワクワクしながら報告すると、「まだ(妊娠安定期に入るまで)どうなるかわからない」の一言で終わってしまいました。「ぬか喜びになってはいけない」という夫なりの心配の現れなのです。「やっぱり」と感じつつ、想像以上にあっさりとした返答が少し残念でした。

けれど本当に驚いたことに、つわりが始まりあまり動けなくなっていくと、夫は家事や炊事をほとんどやってくれるようになったのです。食べられない物が増えた私に梅干しやフルーツを買ってきてくれたり、産婦人科での定期健診には毎回一緒に来てくれたりと、妊娠を報告した時には想像もできなかった夫の優しさを日々感じることになりました。

振り返ってみれば、結婚前は一緒に出かけたら毎回家まで往復2時間の道を送ってくれたりと、言葉は厳しくてもいつも行動で優しさを示してくれていたのだと、今回のことで気づくことができました。

夫は衛生管理について厳しく、コロナウイルスが流行する前から今も手洗いうがいにアルコール消毒を欠かしません。以前はそんな潔癖すぎる部分に少し辟易(へきえき)していたのですが、今では心強いばかりです。

家では今、テレビをみていません。流れてくるニュースはコロナのことばかりで不安になってしまうので。そんな時も、必要なことは自分で調べて過剰に不安がらず、今やるべきことをやる。がんこだと感じていた夫の一面が、実は強さでもあったのだと気づかされました。

今はどちらも在宅勤務のため、ほとんどの時間を一緒に過ごしています。だからこそ私も言葉にしなくても夫に感謝を伝えられるような、そして3人の未来に希望が湧いてくるブーケをいただけるとうれしいです。

花束を受け取って……

#05 言葉にしない優しさに気づかされた

美しいブーケを家まで届けて頂き、ありがとうございました。自宅にいる時間が以前よりずっと長くなり、明るいニュースもなく代わり映えのしない日々。そこに情熱的な赤のブーケの色が華やかな彩りを与えてくれました。ダイニングテーブルに飾っているのですが、一つひとつの花が豪華で美しく存在感があるので、つい目を奪われてしまいます。夫も「花があるだけで雰囲気が変わるね」とうれしそうです。夫婦で花を眺めて元気をもらいながら、この状況を一緒に乗り越えていきたいです。

 

花束を作った東信さんのコメント

今回は鮮やかな色合いの2種類のシャクヤクをメインに、ハゴロモジャスミンとルピナスを添えて束ねました。
今は苦しい局面にいますが、いつか、お子さんがお腹にいた時にこんな大変なことがあったよね、と振り返れるよう、今が旬のシャクヤクをメインにしました。
シャクヤクは一重咲きと八重咲きの2種類入っていますので花の美しさはもちろんのこと、それぞれの香りの違いも楽しんで、記憶に刻んでもらえたらと思います。
お二人の人生にとっての宝物となるであろう、おなかの赤ちゃんと会える日を心待ちに、是非乗り切ってもらえたらいいなと思います。

 

#05 言葉にしない優しさに気づかされた

(文・&編集部 大賀有紀子/写真・椎木俊介)

     ◇

2週間連続!特別企画
おうち時間に花束を――。
あなたの「物語」を募集しています

「いま、心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ」のご自身のエピソードと、花束を作って欲しいと思う理由をお寄せください。
今回は2週間連続の特別企画のため、東信さんに毎日花束をつくっていただきます。そして、その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介します。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

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  • >>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    #05 言葉にしない優しさに気づかされた

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


    #04 自分と向き合う時間を大切にし、癒やしと幸せを感じたい

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    #06 ヨークシャーの大草原へ空想トリップしたい

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