#ステイホーム with 花のない花屋

#07 ひとりぼっちで始まった社会人生活 早く会社で会いたい

おうち時間に花束を――。

 

新型コロナウイルスで、外出自粛が求められているいま、 おうちにいる時間が増えている方が多いと思います。先が見えない漠然とした不安の中、花を部屋に飾ることで沈みがちな気分が明るくなったり、水をあげることで心が落ち着いたり……。おうち時間を少しでも楽しく心身ともに穏やかに過ごせますように。
いま、“わたし”に贈る花束を。

 

心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ、花から伝わるメッセージを多くの読者の方に受け取って、感じてもらいたい!という思いを込めて。フラワーアーティスト東信さんが、2週間連続で14人の方の気持ちに寄り添った花束をお届けします。

 

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。(締め切り5月4日)

#07
矢本未来さん(仮名) 22歳 女性
板橋区在住 会社員

私はこの春、大学を卒業し、社会人としての一歩を踏み出すはずでした。
いえ、正確には踏み出したのですが、入社式も行われず、まだ一度も会社に足を踏み入れていません。

就職活動ではやりたいことが見つからず、くじけそうになりました。周りの友人たちは、入学当初から将来の目標を持っている子ばかり。そんな中、自分は大手の生命保険会社の営業職に、主に最初に内定が出たという理由で就職を決めました。

昨年5月に内定をいただき、その後毎月一度、研修が始まりました。保険のことなどまるで考えたこともありませんでした。しかし研修で学んでいくうちに、お客様に万が一のことが起きた際、安心を提供できる仕事だということを知り、保険の営業職に対して魅力を感じ始めました。仲の良い同期もできて、4月からの新生活に「社会人って時間に追われるのかな」「オフィスカジュアルって何だろう? 先輩の服装を見て学ぼう!」と胸を膨らませていました。

しかし3月に入り、周りの友人たちから「入社式が延期になった」という話をポツポツ聞くようになりました。私のところも、もしかして――という予感は当たり、入社式も、その後の研修も中止するという知らせが、3月31日に人事から来ました。

以来、ずっと一人暮らしの部屋での在宅勤務。リモートでのオンライン研修や資格取得のための自宅学習が続いています。テレビ電話を使い、まだ会ったこともない先輩たちに教えを請う日々。「早く会社で会いたいね」と励まされると、少しは気分も晴れますが、私の手元にはまだ名刺すらありません。つい先日、初任給が振り込まれました。満額振り込まれたことに安心はしたのですが、うれしいはずの初任給に「どうやら入社は出来たんだな」という程度の感情しか湧いてきませんでした。誰かと一緒に、記念においしいものを食べに行きたかった……。

4月から、社会人の限られた自由時間で何をしよう、と考えていたのに、いまは時間があり余っています。

実感は湧かないものの、無事に入社でき、在宅でもきちんと勤務扱いでお給料も満額振り込まれた自分は、きっと恵まれているのでしょう。しかし就職のために都内に引っ越してきたばかりのため、知り合いもいません。大学の友人は地元に帰ったり、交通系の現場勤務に就いたりした子が多いため、この状況下でも仕事が始まっているようです。一方私は話す相手もおらず、就活の時のように、また周りから置いてけぼりにされたようなさみしさを覚えています。

実は5月7日以降の研修の予定もまだ知らされておらず、終わりの見えない状況に少し疲れてきたような気がしています。

そんな自分を奮い立たせられる花をいただけたらうれしいです。特にアジサイが大好きです。

花束を受け取って……

#07 ひとりぼっちで始まった社会人生活 早く会社で会いたい
母が花関係の仕事に就いていることもあり、私も元来お花が大好き。東京で一人暮らしを始めてからも、近くの花屋さんで花を買って部屋に飾るということをよくしていました。しかし新型コロナの影響で、歩いて行ける範囲の花屋さんは全て休業になってしまいました。部屋の雰囲気が暗くなってしまい残念に思っていたところ、東さんの花が届き一気に部屋が明るくなった気がします。
在宅勤務中、ふと顔を上げたときに見える窓際に置いて楽しんでいます。これから花開くものもあるので、毎日お花がどんな様子なのか観察しながら、自宅にいる時間を楽しむことができそうです。ありがとうございました!

 

花束を作った東さんのコメント

この情勢の中でこの春から新社会人になり、まだ本格的な仕事には取り掛かっていないということなので、まっさらなスタート地点に立ったばかりのご本人を「白」のイメージで表現しました。
まっすぐ成長していく姿を彷彿(ほうふつ)とさせる長くスラッと茎が伸びるカラーを中心に、ダリアなどのふんわりとした白の花々を添え、お好きだというアジサイの青色をアクセントに添えました。陽(ひ)が当たると花が咲くトケイソウも入っています。今は実感がなくても、社会人という長い旅路はまだ始まったばかり。ぜひ花咲かせてもらえたらと思います。

 

#07 ひとりぼっちで始まった社会人生活 早く会社で会いたい

(文・&編集部 大賀有紀子/写真・椎木俊介)

    ◇

2週間連続!特別企画
おうち時間に花束を――。
あなたの「物語」を募集しています

「いまだからこそ」のご自身のエピソードと、花束を作って欲しいと思う理由をお寄せください。
今回は2週間連続の特別企画のため、毎日東さんに花束をつくっていただきます。そして、その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介します。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

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  • >>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    #07 ひとりぼっちで始まった社会人生活 早く会社で会いたい

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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    http://azumamakoto.com/

    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


    #06 ヨークシャーの大草原へ空想トリップしたい

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