#ステイホーム with 花のない花屋

#08 精いっぱいのロマンチックを

おうち時間に花束を――。

 

新型コロナウイルスで、外出自粛が求められているいま、 おうちにいる時間が増えている方が多いと思います。先が見えない漠然とした不安の中、花を部屋に飾ることで沈みがちな気分が明るくなったり、水をあげることで心が落ち着いたり……。おうち時間を少しでも楽しく心身ともに穏やかに過ごせますように。
いま、“わたし”に贈る花束を。

 

心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ、花から伝わるメッセージを多くの読者の方に受け取って、感じてもらいたい!という思いを込めて。フラワーアーティスト東信さんが、2週間連続で14人の方の気持ちに寄り添った花束をお届けします。

 

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。(締め切り5月4日)

#08
四海かほ里さん(仮名) 36歳 女性
松山市在住 ネイリスト

2年半お付き合いした彼と、5月末に結婚します。
元々結婚式の予定は立てていなくて、親しい友人を集めてお披露目パーティーでもできたら、と考えていましたが、もちろん夢話になってしまいました。
でも、せめてブーケと一緒に記念写真を撮って、私が2歳の頃から育ててくれた花好きの祖母に、見せてあげたいのです。

私と彼は高校からの同級生。でも高校時代は、話したこともありませんでした。
再会したのは、私の高校の友人が新しくオープンしたクレープ屋さんに遊びに行ったとき。たまたま共通の友人だったようで、彼も同じ日時に、クレープ屋さんに来ていたのです。

同級生ということで、すぐに意気投合。
それからしばらくして、お付き合いが始まりました。

彼は本当に、全く飾らない人なんです。嫌だと思ったら嫌だと言う、裏表のない人。
私は割と人からどう見られているか、これを言ったらどう思われるか、考えすぎてしまうタイプ。「ちゃんとしないと」と肩ひじを張ってきました。
そしてそんな自分が好きになれなくて、また気にする……の繰り返し。

でも彼は「そんなところも含めていいと思って一緒にいるんだよ」と言ってくれるのです。

そして彼を見ていると、こんなに自然体でいていいんだ!とか、素直に思ったことを言っていいんだ!と、気づかされることが多く、新鮮に感じています。

一緒にいてこんな風に思えたのは、彼が初めてです。
その分、自然体な私たちは、ロマンチックな雰囲気とはほど遠く……。
照れ屋な彼は、再会した記念日と私の誕生日に、一輪のバラを贈ってくれるのが精いっぱい。

既に2年前から同棲(どうせい)していたため、プロポーズも特段なく。お互い年齢のこともあり、自然な成り行きで結婚を決めました。
せめてもという感じで、新生活に向けて昨年末に引っ越しをしました。引っ越しの報告も兼ねて、同じ松山市内に住む祖母に結婚のあいさつをしました。

実はお付き合いを始める前、祖母は彼と会ったことがあったのです。
私が祖母を、友人のクレープ屋さんへ連れて行ったとき、なんとたまたま彼もそこにいたのです。
彼と言葉を交わした祖母は、好感を持ったようで、時間が経ってからも「あの人、こうだったね~」と口にしていました。
交際を報告した時、祖母も喜んでくれました。

そんな感じで、いよいよ新生活を始めた矢先のコロナ……。
お披露目のパーティーを開催することも、記念写真を撮ってもらうことも、そして親しい友人に直接会って報告することすらも、しばらく叶(かな)いそうにありません。

元々、84歳と高齢の祖母は、パーティーに参加出来ないだろう、と思っていました。
でも結婚のあいさつをしたときに祖母が言った「2人の写真だけでいいから、何かちょうだいね」というささやかな願いを叶えたいと、ずっと考えてきました。

祖母は私と彼、2人の写真なら何でもいいと言っていました。でもせっかくなら花好きな祖母へ、東さんのすてきなブーケの前で、記念になる笑顔を残したい。それがこんな自然体の私たちから、祖母へ贈る精いっぱいのロマンチックです。

私たちの未来に明るいイメージが湧くようなブーケをお願いしたいです。

花束を受け取って……

ステイホーム
ブーケが届く当日は座って居られないほどそわそわしていました。こんなにたくさんの種類のお花を使った、どこを正面にしても素敵な花束は初めてです! このギュッと締まった花束をふわっと解くのも、また違う表情になるんだろうな。記念写真を撮るために、久しぶりにきちんとお化粧をして、お気に入りの洋服を着て。こんなにワクワクしたのは久しぶりです。真面目なフリしたり、ふざけて笑い合ったりしてたくさん撮りました。堅苦しくない、私たちにぴったりの記念写真になったと思います。早速プリントして祖母に渡します。こんな素敵な機会を頂き、本当にありがとうございました。

 

 

花束を作った東さんのコメント

ご結婚され2人で新しい人生を歩み始めるということで、明るくパワフルなイメージで、暖色系を中心としたカラフルな色合いにまとめました。
赤や黄色、オレンジ、ピンクと、発色がよい花材をセレクトし、太陽の光が当たっているようなあたたかい色にあふれた花束です。
お披露目は延期になっても、今はおふたりでの大切な時間を過ごして頂けたらと思います。

 

#08  精いっぱいのロマンチックを


(文・&編集部 大賀有紀子/写真・椎木俊介)

    ◇

2週間連続!特別企画
おうち時間に花束を――。
あなたの「物語」を募集しています

「いまだからこそ」のご自身のエピソードと、花束を作って欲しいと思う理由をお寄せください。
今回は2週間連続の特別企画のため、毎日東さんに花束をつくっていただきます。そして、その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介します。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

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    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    #08  精いっぱいのロマンチックを

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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