#ステイホーム with 花のない花屋

#11 夫の単身赴任が急に解消 優しい気持ちを取り戻したい

おうち時間に花束を――。

 

新型コロナウイルスで、外出自粛が求められているいま、 おうちにいる時間が増えている方が多いと思います。先が見えない漠然とした不安の中、花を部屋に飾ることで沈みがちな気分が明るくなったり、水をあげることで心が落ち着いたり……。おうち時間を少しでも楽しく心身ともに穏やかに過ごせますように。
いま、“わたし”に贈る花束を。

 

心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ、花から伝わるメッセージを多くの読者の方に受け取って、感じてもらいたい!という思いを込めて。フラワーアーティスト東信さんが、2週間連続で14人の方の気持ちに寄り添った花束をお届けします。

 

>>>応募はこちらから ※たくさんのご応募ありがとうございました。

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。(締め切り5月4日)

#11
高橋沙織さん(仮名) 49歳 女性
埼玉県戸田市在住 派遣社員

     ◇

つい先日、49回目の誕生日を迎えました。
本当だったら、気の置けない女友達と、安い居酒屋でいいから一緒に飲んで食べて、久しぶりにバカ騒ぎする予定でした。

せめて自分のために、豪華なブーケでも買いたいな……。
そう思って、夫と花屋へ出かけました。
でもこういう時期だからなのか分かりませんが、誕生日を祝うような花はなく、少しがっかり。
花ならなんでも良かったわけではなく、やはり少しだけ特別なものを期待していましたから。

実は夫はこの4月、約3年半に及ぶ単身赴任生活を終えて戻ってきたばかり。
でも、夫の帰宅を素直に喜べない自分がいます。

本来はもっと長い予定だった単身赴任が、急な辞令で突如終了。
今年中学3年生になった息子と私、2人での生活リズムがやっと作れてきたところに、夫が帰ってきました。

加えて、段ボール40箱以上もの引っ越し荷物!
夫は元々トライアスロンが趣味なのですが、その関係のものを買いすぎたようです。
さらにあちらで処分してくればいいものを、一人暮らし用の洗濯機やら冷蔵庫まで持って帰ってきてしまいました。
こちらは息子の進学のことなどで大変だったのに、どれだけ一人暮らしの生活を謳歌(おうか)していたのか……。
一向に片付く気配のない部屋を見て、「よりにもよって、なんでこの大変な時期に」と、更にイライラする気持ちが募ってしまいます。

四六時中一緒にいる時だからこそ、夫にも息子にも、優しくいたいのに。
今は「優しくしなきゃ」という焦りに駆られて、自分の心が疲弊していく気がしています。

自分の誕生日なんて、もう何年もまともに祝っていません。
それだけに、今年の誕生日は楽しみにしていました。
軌道に乗ってきた仕事。
そしてその仕事で出会った、気を許せる仲間たち。
夫からも息子からも離れた、自分のためだけの、自由な時間。

それを奪われてしまった、という気持ちが、私の中で思っていた以上に大きいようです。
その気持ちを修復する術(すべ)は、この状況下ではしばらく見つからなそうです。

この状況を整理して心の平穏を取り戻すために、お花の力を借りたいです。
人にはもちろん、自分にも優しくなれるような、そんな花束をお願いします。

花束を受け取って……

後日談用
色鮮やかなお花畑が目の前に現れて、自然に笑顔がこぼれてしまいます。
こんなにパァーっと明るく軽い気持ちになれたのはいつぶりでしょうか。
誕生日を迎えるたびに年を重ね、出来ないことが増えていき、いつの間にか自信を失っていたことに気づきました。
夫にも息子にも、この花束のことは教えていないんです。
ウチのママはどこの誰から、あんなにすごい花を贈られたんだ? 自分で買ったのか?と思っているに違いない……。そんな妄想を膨らませるたびに、口元が緩んでしまいます。
2人が寝てしまった後、大好きなジャズを聴きながらお花を眺めてぼーっとする、最高にぜいたくな時間を過ごせています。見つめるたびにうれし涙を流せる花束を、本当にありがとうございました。

 

 

花束を作った東さんのコメント

ご自身にも周りにも優しい気持ちになれるよう全体的にパステル系の色合いで花を束ねました。どれか一つが主張するわけでもなく、全体が柔らかいフォルムで包まれた花束です。周りの葉っぱはユーカリを入れていますのでほんのり落ち着いた香りも感じられるかと思います。
花を眺めて、少しでも和やかな時間を取り戻してもらえたらいいなと思います。

 

#11  夫の単身赴任が急に解消 優しい気持ちを取り戻したい

(文・&編集部 大賀有紀子/写真・椎木俊介)

    ◇

※たくさんのご応募ありあがとうございました。

2週間連続!特別企画
おうち時間に花束を――。
あなたの「物語」を募集しています

「いまだからこそ」のご自身のエピソードと、花束を作って欲しいと思う理由をお寄せください。
今回は2週間連続の特別企画のため、毎日東さんに花束をつくっていただきます。そして、その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介します。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

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  • >>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    #11  夫の単身赴任が急に解消 優しい気持ちを取り戻したい

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


    #10 毎日の食卓を華やかに飾りたい

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    #12 いつか来るその日のために、今できることに目を向けて

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