#ステイホーム with 花のない花屋

#12 いつか来るその日のために、今できることに目を向けて

おうち時間に花束を――。

 

新型コロナウイルスで、外出自粛が求められているいま、 おうちにいる時間が増えている方が多いと思います。先が見えない漠然とした不安の中、花を部屋に飾ることで沈みがちな気分が明るくなったり、水をあげることで心が落ち着いたり……。おうち時間を少しでも楽しく心身ともに穏やかに過ごせますように。
いま、“わたし”に贈る花束を。

 

心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ、花から伝わるメッセージを多くの読者の方に受け取って、感じてもらいたい!という思いを込めて。フラワーアーティスト東信さんが、2週間連続で14人の方の気持ちに寄り添った花束をお届けします。

 

>>>応募はこちらから ※たくさんのご応募ありがとうございました。

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。(締め切り5月4日)

#12
関川春菜さん(仮名) 38歳 女性
前橋市在住 大学生

私は大学の看護学科に社会人選抜で入学し、今年3年生へ進級しました。
医療を学びながらも、今この状況で何もできないことに、歯がゆい思いをしています。

前職は物流関係の会社に11年間勤めました。ありがたいことに全国を回ったり、海外に駐在したりと、様々な経験ができました。
なんとなく「ものづくり」に関わってみたいと思い、2017年夏に退職。実家のある前橋市に戻り、転職活動を始めました。

しかし10月ごろ、急に体調を崩してしまい、即日手術を受けることに。何が何だか分からないまま、手術室へ運ばれました。その間、ずっと看護師さんが手を握っていてくれたんです。すると自然に涙があふれてきました。自分でもなぜだか分かりませんが、やはり不安だったのでしょうか……。

着の身着のまま入院生活に入ってしまったので、やることもなく。ぼーっと過ごしている間も、看護師さんが話しかけてくれました。その優しさに触れるうちに、「看護師になるのもいいかも」と思うように。有り余った時間をフル活用し、11月に国立大学の看護学科に社会人選抜の枠で合格しました。

私にとって2回目の大学生生活。といっても今回は一回り以上年下の同級生に囲まれて、新鮮な気持ちです。

看護学科は、通常3年生の後期から、大学付属病院などでの「看護実習」が始まります。実際に患者さんと触れ合いながら看護師として働くための経験を身につけていく、これまでの2年半で学んだ知識が試される期間です。

しかし新型コロナウイルスの影響によって、今年2月以降、大学構内に入ることすら禁止されています。前期の授業は、2週間遅れでオンラインによる講義がスタート。座学はオンラインでもなんとかなりますが、問題は実技です。先生が実技の手本を録画したものを見ることしかできず、実習に向けて不安が残ります。

そんな中、ニュースでは日々、逼迫(ひっぱく)した医療現場の様子が報道されています。世界中の医療従事者が奮闘している中、一看護学生である私は何もすることができず、本当に歯がゆい思いです。

授業では感染症のことや公衆衛生のことも学びます。報道を見ると、今学んでいることが本当に大事なのだということを実感しています。

いつか、あの日手を握ってくれた看護師さんのように、また現在、未知の感染症の現場で命と向き合っている世界の医療従事者のように、私も役に立てるようになるその日のために、今は学ぶことが使命だと気持ちを奮い立たせています。

自分だけでなく、世界中の人々を明るくするような花束をお願いしたいです。

花束を受け取って……

後日談用
ダリアとアルストロメリアがとても色鮮やかで力強く、お花を受け取ってからしばらく見とれてしまいました。思わず気持ちが明るくなれる、素敵なお花をどうもありがとうございます。
普段なら気づかない言葉や自然の美しさも、静かな連休を過ごしているからこそ心に響くものがあるのかもしれません。そして、本当に大切なものは何か考えるいい時間だと思っています。
できないことではなく、学生として今できることに目を向けて毎日を過ごしていきたいと思います。その先に、また見えてくるものがあると信じています。

 

花束を作った東さんのコメント

大輪のダリアをメインとした、明るく、美しく、エネルギーに満ちたイメージで束ねました。
ダリアは赤、ピンク、オレンジなど4種類をミックスし、足元に赤のアルストロメリアを添えています。
「自分の心だけでなく、世界の人々の心が明るくなるような花束を」とのご希望でした。看護学科で学んでいらっしゃるとのことですが、こういう局面でも人のこと、世界中の人々のことを考えられる、それは大変素晴らしいことだと思います。志を高く、ぜひ夢に向かって突き進んでもらいたいと思います。

 

#12  いつか来るその日のために、今できることに目を向けて

(文・&編集部 大賀有紀子/写真・椎木俊介)

    ◇
※たくさんのご応募ありがとうございました。

2週間連続!特別企画
おうち時間に花束を――。
あなたの「物語」を募集しています

「いまだからこそ」のご自身のエピソードと、花束を作って欲しいと思う理由をお寄せください。
今回は2週間連続の特別企画のため、毎日東さんに花束をつくっていただきます。そして、その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介します。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

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  • >>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    #12  いつか来るその日のために、今できることに目を向けて

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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    http://azumamakoto.com/

    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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    #13 甘えたい盛りの息子 一緒にいる時間が増えたからこそ……

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