#ステイホーム with 花のない花屋

#13 甘えたい盛りの息子 一緒にいる時間が増えたからこそ……

おうち時間に花束を――。

 

新型コロナウイルスで、外出自粛が求められているいま、 おうちにいる時間が増えている方が多いと思います。先が見えない漠然とした不安の中、花を部屋に飾ることで沈みがちな気分が明るくなったり、水をあげることで心が落ち着いたり……。おうち時間を少しでも楽しく心身ともに穏やかに過ごせますように。
いま、“わたし”に贈る花束を。

 

心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ、花から伝わるメッセージを多くの読者の方に受け取って、感じてもらいたい!という思いを込めて。フラワーアーティスト東信さんが、2週間連続で14人の方の気持ちに寄り添った花束をお届けします。

 

>>>応募はこちらから ※たくさんのご応募ありがとうございました。

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。(締め切り5月4日)

#13
桃田祥子さん(仮名) 34歳 女性
川崎市高津区在住 会社員

在宅勤務が増えて、2歳のひとり息子と過ごす時間が増えました。それは幸せなことだと思っていたのですが……。

3年前、息子を出産し、退院した当日、当時勤めていた会社から解雇されました。
外資系の物流系企業で働いていたのですが、日本撤退が決まったということで仕方がなかったのです。

前職の経験と、大学時代に培った英語力をまだまだいかしたいと思い、息子が生後半年になった時に転職活動を開始。幼子を抱えながらの転職活動では、「残業できない人を雇うメリットは?」など、厳しい言葉を掛けられることもありました。

約2カ月、息子をベビーシッターさんに預けながら10社以上を受け、幸いまた物流関係の会社に正社員として雇われることになりました。そこが今も勤める会社です。

転職当初は、定時に帰宅し、家族と過ごす時間を作る予定でした。
しかし仕事を任されるようになるに従い残業時間は増えていき、建築士の夫に保育園の送迎を任せ、自分は終電まで働くことも。運良く私が迎えに行けても、息子が最後のひとりということもしばしば。そして帰宅したらご飯!お風呂!寝かしつけ!と、流れ作業のようになってしまいがちでした。

それが新型コロナウイルスの状況で、在宅勤務が増えました。同時に、保育園からも登園自粛を求められたため、私か夫、どちらかが在宅の時は、息子と一緒に自宅で過ごすことになりました。

一見、息子と過ごす時間は増えました。けれど息子と対面しながらの在宅勤務は想像以上につらいものになりました。

私がパソコンに向かったり電話対応をしたりしていると、息子がつたない言葉で一生懸命「ママ、パソコンもうおしまいにして!」「ママ、ちょっとこっちきて」と訴えてきます。しかし1日に数百件も来るメールを前に、心を鬼にして「今はお仕事だから遊べないの」と突っぱねるしかありません。

結局、一日中テレビを見せっぱなしにするしかない日もあります。
「保育園に行きたい」と言い出すことも。私といるよりも、保育園に行っている方が息子にとっては楽しいのかもしれません。

一緒にいるからこそ、終電まで働いていた頃よりも息子と向き合えない苦しさを覚えます。

さらに今年度から昇格が決まり、更に忙しくなりました。
働きが認められてうれしい反面、甘えたい盛りの息子にこれまで以上に我慢をさせてしまうのではないか……。

テレビを見ている息子の後ろ姿と、保育園でお迎えが最後になった時のポツンとした後ろ姿が重なります。

息子は花が大好き。たまに私が花を買うとうれしそうに「見せて」と言って、はなびらやつぼみを興味津々に観察しています。息子が楽しそうにしてくれて、私もそんな姿を見て元気になれるような花束をお願いしたいです。

花束を受け取って……

後日談用
花束をひと目見て、ジャングルだ!と驚きました。お花それぞれからエネルギーが発せられているようで、見ているこちらも背筋が伸びるような気持ちになりました。息子も、赤いウツボカズラを見て「ソーセージみたいだね」と言ったり、トゲトゲを触ったりと嬉しそうです。普段見られない珍しい植物を間近で観察でき、いつ見ても驚きや発見があります。これほど不思議で美しい花束を作って頂き、ありがとうございます。私自身も嬉しくて花束を抱えて記念撮影してもらいました。以前少しだけ生け花を習っていた時に使っていた花器に入れ、在宅用のパソコン置き場になっていた、リビングの棚の上を片付けて飾りました。

 

 

花束を作った東さんのコメント

今回はかなり珍しい花材で構成しています。
しま模様が入ったファレノプシス(コチョウラン)、プロテア、グズマニアといった南国の花。そして食虫植物のウツボカズラが垂れ下がり、サラセニアの花も入っています。
小さなお子さんが家にいながらの在宅ワークはお忙しいと思います。花を眺める時は少し仕事の手を休め、お子さんとのコミュニケーションツールとして、会話をしながら是非一緒に楽しんでもらえたらいいなと思っています。

 

#13  甘えたい盛りの息子 一緒にいる時間が増えたからこそ……

(文・&編集部 大賀有紀子/写真・椎木俊介)

    ◇

※たくさんのご応募ありがとうございました。

2週間連続!特別企画
おうち時間に花束を――。
あなたの「物語」を募集しています

「いまだからこそ」のご自身のエピソードと、花束を作って欲しいと思う理由をお寄せください。
今回は2週間連続の特別企画のため、毎日東さんに花束をつくっていただきます。そして、その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介します。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

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  • >>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    #13  甘えたい盛りの息子 一緒にいる時間が増えたからこそ……

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


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