#ステイホーム with 花のない花屋

#14 必要としてくれる人がいるなら、明日も明後日もその先も

おうち時間に花束を――。

 

新型コロナウイルスで、外出自粛が求められているいま、 おうちにいる時間が増えている方が多いと思います。先が見えない漠然とした不安の中、花を部屋に飾ることで沈みがちな気分が明るくなったり、水をあげることで心が落ち着いたり……。おうち時間を少しでも楽しく心身ともに穏やかに過ごせますように。
いま、“わたし”に贈る花束を。

 

心に大きな不安と恐怖がのしかかっているこんなときだからこそ、花から伝わるメッセージを多くの読者の方に受け取って、感じてもらいたい!という思いを込めて。フラワーアーティスト東信さんが、2週間連続で14人の方の気持ちに寄り添った花束をお届けします。

 

>>>応募はこちらから ※たくさんのご応募ありがとうございました。

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。(締め切り5月4日)

#14
笹山かのんさん(仮名) 22歳 女性
板橋区在住 看護師

     ◇

私は新型コロナウイルスに感染した患者さんが入院する大学病院で看護師として働いています。

元々は、形成外科などが入る病棟フロアの看護師でした。
しかしそのフロアが丸々、新型コロナ感染“疑い”の患者さんが入院する専用フロアに変わったのです。

“疑い”というのは、PCR検査で陽性は出なかったけれど、発熱や咳(せき)など、感染の可能性が高い症状が出ている、ということを、私の勤め先では指します。

そこのフロアを担当していた看護師は、全員が感染疑いのフロアの担当になりました。
今までは急患なんてほとんどなかったのですが、感染疑いの患者さんは夜間に来院されることも多く、看護師たちは常に緊張状態です。夜勤に入る回数も増えました。
勤務中も防護服にマスク、ゴーグル姿。手袋の外し方一つとっても、感染しないよう決められた順番で細心の注意を払いながら脱がなければなりません。

私の日常は一気に変わりました。

何より苦しいのは、自分が感染しているかもしれないという恐怖を常に抱えていなければならないことです。誰かにうつしてしまわないか、心配で心配で毎日考えてしまいます。
今は病院の寮で一人暮らしのため、外出どころかほとんど病院の敷地内から出る機会すらありません。

こんな現実の中で、唯一安心出来る場所というのが『家』(今は病院の寮の部屋)です。感染の危険から唯一離れられ、誰にうつしてしまう心配もなく、心から安らぐことができる大切な場所です。

以前は、休日に外出してしまうことが多かったので、家は「寝る場所」という程度の認識でした。
最近はずっと部屋にいるので、ドライフラワーなどを見えるところに飾るなど、模様替えを楽しんでいます。
お花畑を見に行くほど花が好きなので、目に入るたびに癒やされます。

先が見えない中、最前線で働くのは本当に恐ろしく怖いです。しかし私たちを必要としてくれている人がいるのであれば明日も明後日もその先も、その人たちのために私たちは病院に向かいます。

実は私はぜんそくの持病があります。
感染疑いの患者さんの担当になる際、とても悩み家族とも相談しましたが、最終的には医療従事者としてやれることがあるならやろう、と受け入れました。
一番不安なのは、患者さんですから。

少しでも家にいる間、東さんのお花を見て癒やされ、これからも頑張ることが出来るよう心の支えにしたいと思います。よろしくお願い致します。

花束を受け取って……

gojitudan

このお花を見て、自然と優しい気持ちになると同時に笑みがこぼれてしまいました。
飾ると一気にお部屋が明るくなり、ずっと見入ってしまいました。優しい緑のガーベラと葉のなかで元気いっぱいに咲く白のガーベラがとてきれいで、花々の匂いにもとても癒やされました。白のガーベラの花言葉は『希望』。このような状況で先が見えず不安なのはみなさん同じだと思います。そんな時でも希望を忘れず、医療関係者としていま自分に出来ることを精いっぱいやることへの勇気と元気をもらえる花束でした。これからまた仕事ですが、みなさま、ひと時の癒やしを本当にありがとうございました。

 

花束を作った東さんのコメント

今回はご依頼主のお好きだという白のガーベラに加え、ライトグリーンのガーベラやナデシコ、クレマチスシードなど全体的に優しい白とグリーンのトーンでまとめました。まわりには季節の枝物、リョウブを入れて動きをつけています。
看護師として新型コロナウイルスの患者さんの治療に当たられているとのことで、最前線で闘う緊張感やストレスは計り知れないと思います。少しでも季節を感じながら、家で一息ついて心を休めていただき、明日への糧にしてもらえたらと思っています。

 

#14  必要としてくれる人がいるなら、明日も明後日もその先も

(文・&編集部 大賀有紀子/写真・椎木俊介)

    ◇

※たくさんのご応募ありがとうございました。

2週間連続!特別企画
おうち時間に花束を――。
あなたの「物語」を募集しています

「いまだからこそ」のご自身のエピソードと、花束を作って欲しいと思う理由をお寄せください。
今回は2週間連続の特別企画のため、毎日東さんに花束をつくっていただきます。そして、その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介します。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

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  • >>これまでの「花のない花屋」をまとめ読み

    フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)

    #14  必要としてくれる人がいるなら、明日も明後日もその先も

    1976年生まれ。
    2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
    近著に作品集「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERS Ⅳ 植物図鑑」(青幻舎)など。

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    PROFILE

    椎木 俊介(写真)

    ボタニカル・フォトグラファー

    2002年、東信とともに、銀座にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。東が植物による造形表現をはじめると時期を同じくして、カメラを手にし、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していく。日々、植物に触れ、その生死に向き合ってきたからこそ導き出すことのできる、花や植物のみが生来的に有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っていく。

    2011年に初の作品集となる東信との共著『2009-2011 Flowers』(青幻舎)を発表以降、常に独特の視点ですべての東の作品を捉え続け、近年は映像制作にも力を入れ、多岐にわたる活動を行っている。


    #13 甘えたい盛りの息子 一緒にいる時間が増えたからこそ……

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    #15 ボタンの咲く時期に思い出す、母の愛

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