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時代をとらえ続ける『anan』。女性の“好き”を見つめた半世紀

時代をとらえ続ける『anan』。女性の“好き”を見つめた半世紀

撮影/猪俣博史

『anan』2020/03/11号 No.2191

皆さんはこれまで、どんな雑誌を読んでこられましたか? そのなかの一つに、雑誌『anan』(マガジンハウス)を挙げる方はきっと多いのではないかと思います。

私自身、学生時代から、斬新な表紙ビジュアルや切り口に惹(ひ)かれて、つい手に取ってしまうことが多かったのが『anan』でした。そんな雑誌を週刊でつくっているなんて、編集部の皆さんのアンテナの張り方や熱量は計り知れないものがあるなと思ってきました。今春、50周年を迎え発売された特別記念号(No.2191)は、『anan』の歴史や魅力を改めて知ると共に、女性たちの興味関心の変遷もたどることができる豪華な一冊です。

フランスの雑誌『ELLE』の日本版として1970年に創刊した『anan』。その名前は、まだ日本であまりパンダが知られていなかった当時、俳優の黒柳徹子さんがロンドンで見たパンダの名前が、由来の一つになっているそうです。

程なくして創刊された『non-no』(集英社)ともども、旅を特集するようになると、雑誌を片手に”女子旅”を楽しむ姿が日本各地で見られるようになり、”アンノン族”と呼ばれるなど社会的なブームに。

80年代には、隔週から月3回、週刊へとより短いサイクルで発行されるようになったほか、毎号、一つのテーマについて深掘りする”ワンテーママガジン”のスタイルを確立。「すべての女性の、いま好きなこと」をコンセプトに、ファッション、ビューティー、恋愛、カルチャー、スピリチュアルなど、幅広いテーマを毎号、エッジーに特集し続ける、類いまれな女性誌となりました。

“北極星”のような存在。親子2世代で楽しむ読者も

女性誌と言えば、年齢や趣味嗜好(しこう)からターゲットを絞って企画していくのがほとんどだと思いますが、『anan』はすべての女性を対象に、そういった手法は取っていないにもかかわらず、雑誌不況と言われる時代になっても支持され続けていることに興味津々でした。

作詞家の秋元康さんは特別記念号のなかで、『anan』が50年続いている理由について、「女性たちの興味関心を、定点観測で見つめている。いつの時代にもそこにある、北極星のような存在」であるからこその信頼性、ブランド力ではないかと分析されています。

最近は、親子2世代で楽しむ読者も増えているということから、そういうことだったのかと思いました。堂々としたミーハー視点で、時代ごとに、その時の編集部がおもしろいと思うことを取り上げているが故に、何色にも染まれる点が強みであるとも。旬のタレントを絶妙なタイミングで起用するなど、話題づくりが上手な点も大きそうです。

黒柳徹子さん、林真理子さん、松任谷由実さん、小泉今日子さん、King & Prince、上戸彩さん、三代目J SOUL BROTHERS……。特別記念号には、俳優、文化人からアイドルまで、ゆかりのある有名人が多数登場していますが、その顔ぶれが実に幅広く、豪華なこと!

「作品作りへの集中力やこだわりなどのプロ意識を培うことができた雑誌」(竹内涼真さん)、「固定観念を捨て、自分のカラダと向き合えたきっかけがアンアン」(田中みな実さん)など、おのおののキャリアのなかで『anan』が転機になったという話も多く、演者にとって特別感のある雑誌であることも、読者の心をつかむ大きな力になっているのかなと思います。

『anan』の歴代表紙が時代ごとに、ずらっと並んだページを眺めていると、女性たちの興味関心の幅広さに改めて驚かされると共に、元気をもらい、なんだか笑顔になってきます。『anan』のように、私もこの先もずっと好奇心を忘れずに、アンテナを張りながら生きていきたいです。

(文・若杉真里奈)

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    湘南 蔦屋書店で雑誌、ファッションを担当するほか、湘南T-SITEの広報、イベント販促も務める。ファッション業界新聞社で編集、展示会事業を担当した後、湘南T-SITEの立ち上げに参加。
    現在、住む鎌倉は、自分にとっての“パワースポット”。

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