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ネットで対話し、お仕立て服を ユイマ・ナカザトの中里唯馬

ネットで対話し、お仕立て服を ユイマ・ナカザトの中里唯馬

オンライン取材を受ける中里唯馬

手持ちの白シャツを1点ものに

客と直接会い、対話や採寸をして服を作る。新型コロナウイルスで人と会えなくなったとき、高級仕立て服のデザイナーにできることは何か。パリ・オートクチュールコレクションで発表するユイマ・ナカザトが、オンラインで客とやりとりして1点ものの服を作る企画を立ち上げた。デザイナーの中里唯馬(34)は「『作る』と『着る』の関係を見直すヒントになれば」と言う。

コロナの影響で思うように服が作れない中、中里は客の白いシャツを預かり、世界に1着の服として無料で仕立て直すことにした。5月1日から募集したところ、2週間で国内外から想定を上回る応募があった。抽選で25点作る予定だ。

 画面越しに相手の雰囲気をつかみ、趣味は何か、服を着てどこに行きたいか、など対話を重ねる。緻密(ちみつ)な採寸が難しいため、客が着ているシャツを使う。「既存の服を生まれ変わらせるアップサイクルでもある」。刺繍(ししゅう)をしたり布を付け足したり、思いがけないデザインに変身しそうだ。

ネットで対話し、お仕立て服を ユイマ・ナカザトの中里唯馬

ユイマ・ナカザト 2020年春夏パリ・オートクチュール作品=大原広和氏撮影

中里は、親と子ども、街のテーラーと顧客のように、かつては「作る人」と「着る人」は近い関係だったが、大量生産のいま、距離がどんどん開いていると感じている。「対話を通じて服を作ることは一見、非効率に思えるが、誰が作ったかわかれば、大切に長く着ようという意識が芽生えるのでは」と話す。

コロナによって、地球環境に目を向ける人が多くなり、短いサイクルでの消費が見直されるかもしれないとも思う。「『長く着たい』と思ってもらえる服を作ることが重要。目に見えない思いや物語を、いかにデザインに込められるかが大切だ」

(神宮桃子)

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