浮かび上がる花びら。京都でよみがえった古代のガラス技法

淡い光をまとっているような半透明のガラスに、浮かび上がる白い菊の花びら。京都の工芸作家・石田亘さんが、「パート・ド・ヴェール」という技法で作った蓋物(ふたもの)です。

パート・ド・ヴェールとは、メソポタミア時代に起源を持つ古代のガラス技法。フランス語で“ガラスの練り粉”を意味する通り、粉状に細かく砕いたガラスを糊(のり)と練り合わせ、型に詰めて加熱します。粉ガラスを使うことで焼成の際に気泡ができ、特有のしっとりとした質感が生まれます。

制作に手間がかかるため、量産できる吹きガラスの発明とともに衰退。19世紀末から20世紀初め、アール・ヌーボーの時代にフランスで再興したものの、ふたたび消滅し「幻の技法」とも呼ばれました。

この技法の作品に魅了され、独自に研究をはじめた亘さんと妻の征希(せき)さんは、1990年に自宅にガラス工房を設けます。もともと着物や帯の図案家だった夫妻が目指したのは、パート・ド・ヴェールと日本の美意識の融合。アール・ヌーボー期に制作された作品は重厚感のある色調のものが多かったといいますが、およそ7年もの歳月をかけ、和紙のように薄く温かみのある、白を基調としたパート・ド・ヴェールの制作に成功しました。

現在ではその表現をもとに、家族がそれぞれの個性を加えて制作に取り組んでいます。7月には大阪高島屋にて、亘さん、征希さん、長男の知史(さとし)さんの3人による展覧会が開催されます。

今回は展示予定の作品から一部を、フォトギャラリーで紹介します。

菊や松といった日本の伝統的なモチーフを追求する亘さん、鳥や植物を繊細に可愛らしい色合いで描きだす征希さん、爽やかな色彩と流れるような線が自然の情景を感じさせる知史さん。三人三様の「和のパート・ド・ヴェール」をどうぞご覧ください。


石田 亘・征希・知史 パート・ド・ヴェール作品展
– 未来へ 祈りを込めて –

会期:2020年7月8日(水)~14日(火)
会場:大阪高島屋

※詳細な開催情報は今後Ishida Glass Studioのウェブサイトにて告知されます
Ishida Glass Studio:http://ishida-glass.com/

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