おうちでワイン

和食にぴったりな「甲州」 最高においしい日本の組み合わせ

今夜は和食で晩酌。「ならば、ワインを開けましょう!」とソムリエの森上久生さん。でも、和食にワインって合うの? 合わせ方が難しいのでは?

「素材の味わいを楽しむ和食は、実はワインととても相性がいいんです。天ぷら、タイのお刺し身、焼き鳥……。あげたらキリがないほどの和食が、ワインとおいしくいただけます」

今回のソムリエ
和食にぴったりな「甲州」 最高においしい日本の組み合わせ
和食にぴったりな「甲州」 最高においしい日本の組み合わせ

和食にぴったりな「甲州」 最高においしい日本の組み合わせ

 

森上久生(もりがみ・ひさお)

ソムリエ、ペアリングマイスター。東京・六本木のワインレストランAmi du Vin のシェフソムリエ。2003年から数々のソムリエコンクールで優秀な実績を収める。12年シャンパーニュ騎士団認定シュバリエに叙任される。13年第1回 国際ソムリエ協会主催の認定試験でソムリエディプロマ取得。テレビドラマのシーン監修、狛江エフエムの番組「地方創生BAR」のパーソナリティー、日本各地でのイベントやセミナー講師を務める。著書に『ワインと料理 ペアリングの楽しみ方』(旭屋出版)。

 

和食が白ワインと合う理由

今回は「和食と白ワイン」について解説。ポイントは「アルコール度数」、そして「酸味とミネラル」だ。

和食はアルコールが高すぎる飲み物を合わせると、素材そのものの味わいや繊細なだしの風味などが負けてしまうことも。白ワインの多くはアルコール度数が12~13パーセント程度と高すぎないため、食材とワインがぶつからずに、同調する、もしくは引き立て合う関係性に。

ブドウが原料のため、果実が持つ優しい酸味はワインの大きな特徴であり魅力だ。「和食の繊細な味わいにワインの自然な酸味が加わることで、口の中で味の相乗効果が生まれるのです」と森上さん。ブドウが育った環境や土壌、いわゆる「テロワール」によってもたらされるミネラル感は、魚介類の料理などとの相性をよりよくしてくれる効果もあるという。

「たとえば、エビの天ぷらと、辛口白ワインの代名詞とも言えるフランス・ブルゴーニュ地方の『シャブリ』はとてもよく合います。エビのうまみにワインのミネラル感が同調し、柑橘(かんきつ)類をキュッと絞ったような爽やかな酸味が加わって、軽やかに味わえるのです」

さらに「天ぷら塩をひと工夫してみましょう」と森上さん。

和食にぴったりな「甲州」 最高においしい日本の組み合わせ

塩にカレー粉を加えたカレー塩を合わせれば、ソーヴィニヨン・ブラン、アルバリーニョなど「アロマティックな白ワイン」が好相性に。海の香りが感じられ、うまみがある「藻塩」には、リースリングや、オーストリアで造られるグリューナー・フェルトリーナーなど「酸味くっきり系の白ワイン」と。梅酢から作り、ほのかな酸味とうまみのある梅塩なら、ピノ・ブラン、ピノ・グリ、赤ワインだがピノ・ノワールと「ピノ・ファミリー」を……といった具合だ。

「スパイスや風味を塩に加えることで、天ぷらとの距離がグッと近くなるのです」(森上さん)

初夏を感じる、初ガツオ×「甲州」

四季の味が楽しめる和食。今回は5月から6月にかけて旬を迎える「カツオのたたき」でペアリング。

初夏に出回る初ガツオは、さっぱりとみずみずしい味わいが、急激に暑くなるこの時期の晩酌にピッタリだ。ペアリングするのは「甲州」。日本生まれの日本独自のブドウで、和柑橘を思わせる品のある酸味とうまみが特徴。国内外のコンテストで受賞しているワインも少なくない。

和食にぴったりな「甲州」 最高においしい日本の組み合わせ

森上さんセレクトの1本は、『シャトーマルス 甲州 オランジュ・グリ 2019年』。

「『オランジュ』とあるように、輝きのあるオレンジトパーズのような色合い。香りは黄桃や柿、アカシアの花に、コリアンダーのようなスパイス感も。後味にはブドウの果皮からくる心地よいほろ苦さとうまみが広がります。

この奥深い味わいと、血合いのあるカツオのうまみとが一体となり、お互いを引き立て合う。冷菜ですが、メインディッシュのような満足感に包まれます」と森上さん。

「ネギとショウガはたっぷりと。薬味があることで、ワインの奥深い味わいがグンとカツオに近づいて、食べごたえがありながら、初夏の風が吹き抜けるようなペアリングになります」と力説する。

このワインは山梨県に2カ所ワイナリーを構える「マルスワイン」が2017年に発売し、味わいとコストパフォーマンスの高さから一躍注目を集めた。ちなみに「オランジュ」とあるが、前回紹介した「オレンジワイン」ではなく、このワインは「白ワイン」だ。

「甲州が持つ皮の内側の芳醇(ほうじゅん)な香りと濃厚なうまみを、ワインに表現しようと考えました」

そう話すのは、マルスワイン醸造責任者の田澤長己さん。果皮の香りと味わいを出そうと甲州ブドウでオレンジワインを造ると、どうしても渋みが強くなってしまう。そこで、なんと3種類のワインを造り、それをブレンドすることで、甲州が持つ個性を表現することに。

和食にぴったりな「甲州」 最高においしい日本の組み合わせ

3種類のワインとは、
①白ワイン用のブドウを皮と種も一緒に発酵させる、いわゆるオレンジワイン
②ブドウを破砕した後、しばらく果皮をつけておいた(スキンコンタクト)果汁から造ったワイン
③ブドウを破砕し、通常よりも強めの圧力で搾った果汁から造ったワイン

「色、香り、味わいのバランスを見ながら3種類のワインをブレンドしますが、その年の天候などによってブドウの出来もワインの仕上がりも変わるため、ヴィンテージ(ブドウが栽培される年)によってブレンド比率は変えています」と田澤さん。それだけ手間ひまかけて造られるワインが、1000円台とリーズナブル。そこには、造り手の熱い思いがあった。

「日本生まれで、日本の土壌と最も相性がいい。そんな『甲州』から造られるワインの素晴らしさを、たくさんの方に知ってもらい、味わっていただきたいのです」

田澤さんたち造り手の努力と情熱を知る森上さんは、こう語っている。

「世界に誇れる『和食×甲州』は、日本のおいしさを堪能できる最高のペアリングと言えるでしょう」

    ◇

「シャトーマルス 甲州 オランジュ・グリ 2019年」本坊酒造マルスワイン(希望小売価格1628円、税込み)

和食にぴったりな「甲州」 最高においしい日本の組み合わせ

甲府盆地で収穫されたブドウを使い、甲州ならではの果皮の豊かな味わいをワインに表現した1本。

田澤さんのオススメのペアリングは、寄せ鍋。「熱々のだし汁とキンキンに冷やしたこのワインの相性は抜群。このペアリングを味わいたくて、夏場でも鍋やっちゃいます(笑)」。味わいの懐が深いワインなので、和食はもちろん、酢豚などの中華、カキのグラタンといった洋食でも。

本坊酒造HPから購入可能。

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  • PROFILE

    中津海麻子

    執筆テーマは「酒とワンコと男と女」。日本酒とワイン、それらにまつわる旅や食、ペット、人物インタビューなどを中心に取材する。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、ワイン専門誌「ワイン王国」、朝日新聞のブックサイト「好書好日」、同ペットサイト「sippo」などに寄稿。「&w」では「MUSIC TALK」を連載中。

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