朝日新聞ファッションニュース

ビッグブランド、日本勢とコラボ戦略 マメ・クロゴウチやアンリアレイジ…

海外の伝統あるビッグブランドと、日本のデザイナーやメーカーとの協業が相次いでいる。パリ・コレクションに出て数年足らずのマメ・クロゴウチやアンリアレイジといった、世界では新進のデザイナーに注目が集まる。大御所ブランドがそんな日本勢を選ぶのはなぜか。

手仕事や実験的作風に注目、話題性狙う

ビッグブランド、日本勢とコラボ戦略 マメ・クロゴウチやアンリアレイジ…

トッズ×マメ・クロゴウチ。サンダル(写真右)には、こぎん刺しを思わせるような刺繍が施されている

手仕事へのこだわりに注目したのが、皮革製品で知られるトッズだ。刺繍(ししゅう)や織りなど日本各地の技を使い現代の女性服に昇華するマメ・クロゴウチのデザイナー、黒河内真衣子と協業した商品群を3月に発売。黒河内を選んだ理由を「伝統的な日本のクラフトに対し、優れた才覚と情熱がある」とした。

「旅」をテーマに、快適さと美しさを備えた服や小物がそろう。マメ・クロゴウチの流れるような胸元のデザインを靴にとり入れ、優美なシルエットの上着やスカートにトッズならではの上質なレザーが融合。黒河内は「デザイナーも職人も一つになってものづくりをするトッズの姿勢に感銘を受けた。マメでも、長く愛してもらえる製品を作っていきたいと強く思った」。

ビッグブランド、日本勢とコラボ戦略 マメ・クロゴウチやアンリアレイジ…

フェンディ×アンリアレイジ=大原広和氏撮影

テクノロジーを使い実験的な服作りを続けるアンリアレイジのデザイナー森永邦彦と組み、新たな風をとり込んだのがフェンディ。2020年秋冬メンズのショーで、白いジャケットやバッグに太陽光を当てると、フェンディを象徴する黄色に変わったり、ロゴが黒く浮き出たりした。

フェンディのデザイナー、シルビア・フェンディは、森永を「ファッション界の科学者」と呼ぶ。森永は「歴史があるブランドは守るものがあるという印象だったが、一緒にやると逆。新しいことをやろうという気持ちが強く、それが時代に残るものを作るのだと感じた」と話した。

フェンディは日本の老舗靴メーカー、ムーンスターともコラボ。ムーンスターが得意とする製法で、キャンバス地とゴムを結合したスニーカーを1月に発売した。ヴァレンティノも、アシックスのオニツカタイガーと協業し、「V」のロゴがデザインされたスニーカーを7月17日から売る。

ビッグブランド、日本勢とコラボ戦略 マメ・クロゴウチやアンリアレイジ…

フェンディ×ムーンスター(左)、ヴァレンティノ×オニツカタイガー

なぜ日本勢が協業相手として注目を集めるのか。

ファッションジャーナリストの増田海治郎さんは、この数年、ルイ・ヴィトンやモンクレールなどが「ストリートカルチャーのカリスマ」と呼ばれる藤原ヒロシと組み、変化を感じたという。「それが世界で売れている」。そして19年秋冬のメンズなどで、ヴァレンティノがアンダーカバーの高橋盾(じゅん)と協業したのが大きいとみる。「日本勢として、アンリアレイジやマメにも目が行ったのでは」

日本の若手の存在感は増している。若手デザイナーの世界的な登竜門とされるコンテスト「LVMHプライズ」で、一昨年にダブレットの井野将之が日本勢で初めてグランプリを受賞。昨年は森永、今年はトモ・コイズミの小泉智貴(ともたか)が最終候補に選ばれた(今年の最終選考は中止)。

「歴史あるブランドは、ビジネスを続ける上で、タッグを組み化学反応を起こす新しい才能を世界中から探している」と言うのは「エル・ジャポン」の坂井佳奈子編集長だ。

「昔から、西洋から見た東洋のアイデアがエキゾチックで、日本が好きというのがある。海外のデザイナーがこぞって来日し、アートやおもてなしに触れている」とした上で、「以前は自分の作品に反映したのが、今は『日本の才能ある人と協業しよう』とアウトプットの仕方が変わった。新しいトレンドが出にくい時代。協業はSNSで話題になるインパクトがあり、双方のファンがとれる」と背景を分析する。

ビッグブランド、日本勢とコラボ戦略 マメ・クロゴウチやアンリアレイジ…

サカイのデザイナー阿部千登勢(左)と、ジャンポール・ゴルチエ (C)Gio Staiano

さらに、注目のプロジェクトにサカイの阿部千登勢が抜擢(ばってき)された。今年1月に引退ショーを開いた仏ジャンポール・ゴルチエは、ブランドの美学を独自の解釈で表現するデザイナーを招き、オートクチュールのビジョンを発信していくという。その最初の相手に阿部を選んだ。来年1月にパリで発表される予定だ。

(神宮桃子)

関連記事#ファッション・ビューティー

  • 日本勢、独創性で魅了 20年秋冬パリ・コレ

    日本勢、独創性で魅了 20年秋冬パリ・コレ

  • トモ・コイズミが最終8組に LVMHプライズ、選考は中止

    トモ・コイズミが最終8組に LVMHプライズ、選考は中止

  • 東京タワーでの初心の記憶 「アンリアレイジ」森永邦彦

    東京タワーでの初心の記憶 「アンリアレイジ」森永邦彦

  • >>海外・国内のファッションニュース

    生地の展覧会、オンラインで 英の美術館

    一覧へ戻る

    キモノの世界、過去・今・未来 英ビクトリア&アルバート博物館で企画展

    RECOMMENDおすすめの記事