朝日新聞ファッションニュース

「かくご」の黒、着続けた芯の強さ 「高峰秀子 おしゃれの流儀」

映画「二十四の瞳」「浮雲」などで知られる俳優の高峰秀子は、昭和のファッションリーダーでもあった。彼女の装いが詰まった「高峰秀子 おしゃれの流儀」(筑摩書房)が4月に出版された。86歳で亡くなり、今年で10年。黒と真珠を愛し、筋の通った潔いスタイルに今もひかれる。

「かくご」の黒、着続けた芯の強さ 「高峰秀子 おしゃれの流儀」

「高峰秀子 おしゃれの流儀」から、黒いワンピースに真珠の4連ネックレスを身につけた高峰秀子=河合肇氏撮影

高峰と、養女の斎藤明美さん(64)の共著。在りし日の高峰の着こなしのほか、クローゼットの服や小物を豊富に紹介する。高峰はかつて「人前で目立ったり、人を驚かせる服装をすることがおしゃれだとは思いません。おしゃれは、飛び出してはいけないんです」と言ったという。

その言葉のとおり、奇をてらったものではなく、すっきりしたデザインで上質なものが並ぶ。すっとしたシルエットのワンピース、カシミヤのタートルネックセーター、黒やベージュのローヒールのパンプス。一方で、ピンクや赤のスリッパ、繊細な刺繍(ししゅう)やレースがついた部屋着などかわいらしい品々もあり、人柄と趣味の良さが伝わってくる。

「かくご」の黒、着続けた芯の強さ 「高峰秀子 おしゃれの流儀」

おしゃれについて高峰がつづったエッセーも16編収めた。好んで着た黒について、「人生の雨風をくぐった年輪を、黒一色で生かすか殺すかは、その人のセンス一つである」「黒を着るのはちょっと“かくご”のいることである」としている。確かに、シンプルな装いはごまかせない。それを自覚し、「かくご」をしながら黒を着続けた芯の強さを感じさせる。

 斎藤さんは「高峰は自分を知り尽くしていて、自然だった。ファッションはその人の一部で、『私はこんな人間です』と看板を掲げているようなもの。読む人にとっても、自分の装いの裏にある、生き方や考え方に向き合う参考になれば」と話す。

(神宮桃子)

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