朝日新聞ファッションニュース

デザイン誌で「装い」ひもとく 山縣良和ら監修、多様な視点で考察

デザイン誌『アイデア』(誠文堂新光社)が初のファッション特集を組んだ390号が10日、発売された。デザイナーの山縣(やまがた)良和率いるリトゥンアフターワーズが全体監修し、その作品もちりばめながら装いの歴史をたどる。制作中に広がったウイルス禍も反映し、ファッションの起源と未来を見つめる一冊になっている。

デザイン誌で「装い」ひもとく 山縣良和ら監修、多様な視点で考察

『アイデア』390号から、リトゥンアフターワーズの作品

タイトルは「装綴(そうてい) ファッションデザインの生態学」。世界最古の衣服や貴族の装い、戦前の女性誌などを経て、テロや震災の現代へ。寄せ集められた写真や画像が想像力をかきたて、民俗学や消費社会、身体など様々な観点からの論考が思索を深める。山縣は「業界はいま、過剰生産など問題が山積み。本質に立ち返り、ファッションは人間の営みとともに進化してきた大事なものだ、と感じられる本にしたかった」と話す。

山縣の個人史にまつわる人や物が紹介されているのも面白い。生まれ育った山陰の文化や家に飾られていたいわさきちひろの作品、英国留学にごみ収集のバイトまで。創造の背景まで知ってほしいという狙いだ。

デザイン誌で「装い」ひもとく 山縣良和ら監修、多様な視点で考察

『アイデア』390号の表紙

コロナ時代への示唆に富む資料でもある。ペスト流行時のマスクや、スペイン風邪などで休業を余儀なくされたデザイナーたちを振り返り、日本政府が今回配った布マスクも収めた。表紙写真にも使われた蚕は、コロナを機に山縣が育て始めた。毎日変身していく姿を見て、布への意識が変わったという。

「蚕と同じく、ファッションも常に変わっていくし、自分も周りの環境も絶対的ではない」と山縣。コロナ禍のファッションについて「見方を変えれば、マスクや防護服など装いが注目を集めている時代。現実とバーチャルが混じり合うなど、新しいものが生まれるのが楽しみでもある」と言う。

(神宮桃子)

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