リノベーション・スタイル

心地よくて合理的、リノベーションの新しいスタンダードを感じる家

Kさんご家族(夫・妻30代、子ども)
東京都世田谷区/築19年/60.44㎡/総工費約1,000万円

    ◇

お子さんが生まれることがわかり、中古のマンションをリノベーションすることにしたKさんご夫婦。奥様の実家に近い、最寄り駅から徒歩12~13分の中層マンションの1階を購入されました。静かな住宅街で、緑が多い環境です。

築19年の物件は新しすぎず古すぎず、程よいバランスがいい点です。一般的に築20年くらいの物件は、価格が新築の半分くらいになっている上、耐震や断熱など建物の性能は今の新築の物件とそれほど変わらないので、お買い得なのです。

間取りは元々2LDKでしたが、1LDKに変更しました。家族がゆったりとくつろげるように、LDKを広めにし、ダイニングテーブルとソファの両方を置き、さらに小上がりを作りました。広めの寝室は、今は親子3人で寝ていますが、将来は子ども部屋に変更が可能です。お子さんがもう1人生まれたときは、真ん中で区切って2部屋にすることもできます。

心地よくて合理的、リノベーションの新しいスタンダードを感じる家

新築の物件は、売るためのスペック重視で部屋数が多いことがあります。でも、実際の暮らしを考えてみると、そこまで個室はいらない、LDKを広くしたい、収納を増やしたいなどの希望が出てきます。リノベーションをするときに、3LDKを2LDKに、2LDKを1LDKにするなど、暮らしに合わせて部屋数を減らすことが多いのです。

玄関脇にあった個室はなくしましたが、そこにあった窓を生かしてワークスペースを作りました。メインの生活空間であるLDKから離れ、独立した小さなオフィスのような空間。ワークスペースはLDKの中に作る場合もありますが、静かに作業したい人には玄関近くがおすすめです。

心地よくて合理的、リノベーションの新しいスタンダードを感じる家

広々としたLDKには小上がりを作りました。昔のマンションは、LDKの隣に和室がありましたが、今はそれを希望する人はほとんどいません。でも、畳でリラックスしたいニーズはあるので、小上がりを選択する人が増えてきました。Kさんご夫婦も寝ころんでくつろいだり、子どもと一緒に遊んだり、椅子のように座ったり……。さらに、段差の部分を収納としても活用できます。

また、寝室が将来子ども部屋になったとき、小上がりをご夫婦の寝室にする可能性も考えています。今はLDKとして広々使い、ライフスタイルが変わったら、別の使い方ができる。そのときの暮らしに合わせて、それぞれのスペースの合理的な活用法を考えました。

以前は、リノベーション=特別な人がする個性的な家だったかもしれません。でも今は、自分の暮らしに合った家に住みたいと思う人の選択肢として、「普通のこと」になりつつあります。

部屋数を減らしてゆったりくつろげる広めのLDKにする、小上がりを作ってライフスタイルの変化に対応する、集中して仕事ができるワークスペースを作るなど、今回のリノベーションの事例は多くの人にとって参考になる要素が詰まっています。今時のリノベーションの新しいスタンダードと言えると思います。

Kさんご夫婦に聞く
リノベーションQ&A

Q1 リノベーションのプロセスで楽しかったことは?

自分たちの暮らしを想像しながら、間取りを考えるのが楽しかったです。
例えば、マンションの1階なので、床下収納がついていました、あえて食材庫ではなく書庫に。食材は取り出しやすいように、キッチン脇にパントリーを作り、そこにしまっています。キッチンに書庫が?とびっくりされますが、おかげでダイニングが読書室になり、自由に読書ができるようになりました。常識にとらわれずに、自分たちの暮らしに合った家づくりを考えられました。

心地よくて合理的、リノベーションの新しいスタンダードを感じる家

2人ともアイスランド好きで、旅行で撮った写真を部屋に飾っています。インテリアに氷河や大自然の涼しげなイメージ、グレーの色を取り入れました。床、壁、畳などはまずは素材を決めて、グレーに塗装しました。床板などサンプルを見ながら選んでいくのも楽しかったです。

心地よくて合理的、リノベーションの新しいスタンダードを感じる家

Q2 また、プロセスで大変なことはありましたか?

予算の範囲内で抑えるために、リノベーションの希望を絞っていったことです。
家具は元々持っていた福岡県にある高野木工のものを活用。チェストは新しく買いましたが、ほとんどはすでに持っている家具に合わせて、インテリアを相談しました。余計な予算を使わずに、好きな雰囲気になりました。

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Q3 一番の気に入っている場所はどこですか?

拡張性のあるリビング。ライフスタイルに合わせて、変更できるのがいいですね。

(構成・文 大橋史子)

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    PROFILE

    石井健

    「ブルースタジオ」執行役員
    1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
    ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
    http://www.bluestudio.jp/

    家は仕事を支える大切な場所。暮らしが心地よいと仕事もうまくいく

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