ほんやのほん

なぜモヤモヤしているの? 「周りと同じなら安心」の“呪い”

なぜモヤモヤしているの? 「周りと同じなら安心」の“呪い”

撮影/馬場磨貴

『モヤモヤの正体』

「モヤモヤ」したことがない人など、この世にはいないだろう。人は、知らず知らずのうちに“呪い”をかけられている。または、かけてしまっているかもしれない。知らないうちに多数意見の中で調和をとり、自分も同じだと安心する。それもつかの間、何かがモヤモヤと残る。その正体を追究していく本と出会った。

他と同調することが決して喜びではないこと、自身の身体(からだ)で感じてきた正しさを忘れてはいけないことに気づかされる。

本書は、八つのシチュエーションからモヤモヤの正体に迫る。子育て(ベビーカー問題)、コミュニケーション、仕事、感情、教育、笑い、社会、他者の視線。私自身の体験や周囲に当てはめながら読みすすめた。

満員電車のベビーカーに何かを感じたことはないだろうか。私はどちらかというとネガティブに感じていた。経験もあるのでよく分かるが、子連れで出かけることは大変だ。この少子化時代におおらかな目で見守る社会が理想である、と頭では理解しているはずなのに、なぜモヤモヤを感じてしまうのだろうか。

それは、自分もそうしてきたから、それ(ベビーカーをたたんでの乗車)が正しいのではと、自分を肯定したいということだった。まさに「意図せざる自己の表明」であった。(p.42より)

「常識」って何だろう

「社会人」とは日本語独特の言い回しだという。確かに“社会に出たら”とか、“社会人として”などと言ったり聞いたりする。昨日まで遊んでいた学生が、入社式の日からいきなり社会人としての常識を求められる。常識とはどこからどこまでのことなのか……人に迷惑をかけないこと、知っていて当たり前のこと、それらから逸脱した時に責められる、笑われる社会だ。

常識に同調することをひたすら良しとする考えは変化の拒否につながり、新たな出来事への挑戦を断念するように働きかけます。(p.184より)

新型コロナウイルス感染拡大防止のため自粛生活を送る中で、この本を読んだ。生きてきた中でこんなに大きく社会情勢が変化したことはなかったと、ほとんどの人が感じているだろう。それは上記の本文に書かれていることが、大きく影響しているのではないだろうか。

色んなたくさんの「モヤモヤ」を感じ、色んな攻撃の矢が飛び交っている。それぞれの指導的な立場の人が矢面に立たされ、指示を求められ、問われている。自身の身体から言葉を発する人とそうでない人の差が大きく露呈され、それは決して世間でいうところの「常識」では測ることが出来ない。

著者である尹雄大(ゆん・うんで)さんの文章は、読むほどに言葉の連鎖から何かが染み出てくる。いなりずしの揚げを絞っても絞っても煮汁が出てくるように。

繰り返し繰り返し、時間をかけて読みながら付箋(ふせん)を貼っていたら、受験生の参考書のようになってしまった。それほどに深く、多くをこの場で語ることは出来ない。

時代はまだまだ混迷を深める、と予測しておられたかのようにあとがきに書いてある。貼られた付箋を剥がすことはないが、1文字でも自分の身体に染み込ませたい。このような状況下だからこそ読むべき本があるとしたら、これもそのうちの1冊だろう。

(文・岩佐さかえ)

    ◇

モヤモヤする心に


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    女性向けフィットネスジムにて健康・美容相談を受けながら、様々なイベントやフェアを企画。自身がそうであったように、書籍を通して要望にお応えできたらと思い、蔦屋家電のBOOKコンシェルジュに。「心と体の健康=美」をモットーに勉強の日々。

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