つむぱぱの幸せの気づき方

夕暮れの商店街で父と食べた、秘密のソースかつパン

娘の「つむぎちゃん」や、息子の「なおくん」との何げない、ほっこりした日常のイラストをInstagramに投稿する「つむぱぱ」さん。

そんなつむぱぱさんが、みなさんの「家族との、個人的な幸せの思い出」をもとにイラストを描く連載「つむぱぱの幸せの気づき方」。

今回読者さんからお寄せ頂いたお話は、お父さんと近くの商店街の銭湯に行った時の懐かしい思い出です。

あなただけのトートバッグをプレゼント

 

あなたの「家族との、個人的な幸せの思い出」を教えてください。そのエピソードをもとにつむぱぱさんが世界に一つだけのイラストを描きます。採用された方には、つむぱぱさんが描いたイラスト入りのトートバッグをプレゼントします。

 

※詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。

東京都在住・30代男性

イラスト1

幼い頃、私は父と2人で銭湯へ行くのが大好きでした。それは当時の私にとって、父の帰りが早い時にしかかなわない楽しいイベント。父が、「銭湯に行こうか」と誘ってくれると、私は喜々として支度をしていました。

 

イラスト2

その銭湯は昔ながらの商店街の先にあり、道中の景色や匂いを、今でも鮮明に覚えています。ディスカウントショップが掲げるちょっと怪しげな看板、古びた店構えの中華料理店から漏れてくるおいしそうな香り、通りを行き交う人々の楽しげな表情。活気ある商店街を父と手をつないで歩きました。

 

イラスト3

銭湯は、とてもこぢんまりとしていました。番台のおかみさんは口数少ないひとで、淡々と接客していたけれど、いちごミルクを買うと笑顔を見せてくれました。

熱いお湯につかってぽかぽかと温まった体を弾ませるように、夕暮れの道を帰る時間も私はたまらなく好きでした。

 

イラスト4

銭湯から帰る途中に小さなパン屋さんがありました。そのガラスケースには、売り切れてしまった空のトレーが並んでいるなか、申し訳なさそうに、なぜかいつもソースカツパンが売れ残っていました。

 

イラスト5

半額のシールが貼られ、ちょっとしなびたソースカツパン。いつも私がそれを見つけては父にせびり、店先に置かれている小さな長椅子に並んで座って、2人で分けあって食べていました。

 

イラスト6

「ママには内緒ね」と父。「うん」と私。このあとに夕食が待っているすきっ腹でソースかつパンを食べることは、父と2人だけの秘密をぐっと飲み込んでいるようで。今でも、濃厚なソースの味は、不思議などきどきを思い出させます。

 

イラスト7

あれから長い年月が過ぎた今、私には幼い息子がいます。そして、私が住む下町にも商店街と銭湯が。活気はないかもしれないけれど、人々の暮らしが垣間見える情緒のある場所です。幼少期の商店街と銭湯の記憶が、私にこの街に住むことを選ばせたのかもしれません。

たまに仕事が早く終わると、父親が私にそうしたように、私も息子を近所の銭湯に連れて行きます。都合よく、この商店街にもパン屋があり、銭湯の帰りは、やっぱり同じように、ソースカツパンを買うのが恒例です。

 

イラスト8

必死にかじりつく我が子の様子を見ながら「ああ、私もこんな顔をしていたのか」と、ほほえましく感じています。

「このことはママに内緒だからね」と私が言うと、「うん!」と息子はうれしそうな返事。帰り道に2人で分け合って食べるこの罪の味は、いくつになってもたまりません。

 

イラスト9

つむぱぱさんの言の葉

ソースかつパンとか、コロッケパンって、なぜか商店街が似合いますよね。哀愁があるんですかね。

主役になりきれず、でもどこかにいる自分のことを好きでいてくれる人のために、毎日ひっそりとたたずんでいるような。まあいいや。

誰かに内緒で食べたり、内緒で何かをしたりするのって、背徳感があって子供ながら胸が躍ったものです。

4歳の娘のつむぎに、よく「ママに内緒ね」と言って、ゼリーを与えます。すると、「うん」と言いながら、とっても悪そうな、うれしそうな顔をするのです。

その顔が見たくて、何度もこっそりあげていうちに、ママがいるところで、「ねえ、パパあれ食べよ! 内緒のやつ!」と、ぜんぜん内緒じゃない感じで食べようとしていました。

内緒ってのは、おいしいんですよね。
そのおいしさを最初に教えるのが親の役目かもしれません。

(文・構成/井川洋一)

>>つむぱぱさんへのインタビュー 子育てのルールは二つだけ

つむぱぱ

娘「つむぎちゃん」、息子「なおくん」との日常をInstagramで、ほっこりとしたイラストで表現し、子育て世代を中心に幅広い人気を誇るインスタグラマー。Instagramアカウントのフォロワーは、60万人を超える。

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子育てのルールは二つだけ インスタグラマー「つむぱぱ」の流儀

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落っこちないように父の背中にしがみついた70ccのバイク

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