リノベーション・スタイル

浅草から松本へ。自分らしい地方移住とは?

Kさん(40代)
長野県松本市/築39年/71.42㎡

東京・浅草に住んでいたグラフィックデザイナーのKさんは、海か山の近くに暮らそうとずっと考えていました。2、3年前から、移住セミナーに通うなどして準備を進め、最終的には長野・松本に決定。月1、2回は東京に出て来ることもあるので、交通の便が良いところになりました。

場所を決めてからも、マンションか一軒家なのか、旅館を購入して仕事にしてはどうかなど色々な可能性を考えたそうです。そして、松本駅から車で5分ほどの高台にあるマンションを購入し、花とキャンドルのワークショップをやりながら暮らすことにしたのです。

この連載でも紹介しましたが(<2> 本、テレビ、食器も納まる壁一面の棚)、Kさんはブルースタジオでのリノベーションは2回目です。それまで住んでいた浅草のマンションは、私たちが手がけたものでした。

1回目のときに「どんな暮らしをしたいのか?」をよく話し合ったので、今回はスムーズでした。大きなテーマは、ワークショップのためのアトリエと生活スペースを、どう心地よく共存させるか。住んでいる人にとっては広さを感じたいので、細かく区切りたくない。でも、ワークショップのお客様から生活スペースが丸見えになってしまうのは避けたい。

浅草から松本へ。自分らしい地方移住とは?

アトリエと客間の間仕切り。造作した4枚引き戸がアトリエ空間の顔に

そこで、玄関入ってすぐの場所はアトリエにし、生活スペースはその奥に作りました。それぞれをしっかり分け、仕切りはウォークスルーのクローゼットに。左右はアトリエと生活スペースをつなぐ入り口にして、抜け感を作りました。

また、この家の「窓がたくさんあって眺めがいい」という特徴を生かしました。どの場所にいても窓からの山並みが見える間取りにしたら、実際のスペース以上の広さを感じられるようになりました。

浅草から松本へ。自分らしい地方移住とは?

キッチンは造作のカウンターに。シンクと作業台をアイランドにすることで、立ち位置を変えいろいろなアイデアが生まれる

生活スペースはワンルームです。真ん中にシンクつきの広めのキッチンカウンターを設置し、ご飯を食べたり、仕事をしたり、友人とお茶を飲んだりと多目的に使えます。また、浴室、トイレ、洗面所は1カ所にまとめてスッキリと機能的に。寝室は個室にしないで、窓際にベッドスペースを作りました。ワンルームでも、広々と生活することができます。

浅草から松本へ。自分らしい地方移住とは?

壁面収納はTVボードとしての役割も。お気に入りの書籍や漫画をしつらえる

浅草から松本へ。自分らしい地方移住とは?

壁面収納横の扉を引くとサニタリールームに。タイルはキッチンと同じモノを選定

新型コロナウイルスの影響で、私たちの仕事や暮らしは変わりました。リモートワークが可能だとわかり、これからは地方移住を真剣に考える人も増えると思います。「地方移住=田舎に住む」だけではなく、もっと多様な移住があります。

住む場所は変えたいけれど、大きくライフスタイルを変えたくないなら、今回の事例のように、東京と行き来しやすい交通の便がいい場所にする、一軒家ではなくマンションにするなどは、賢い選択です。今住んでいる都市部の暮らしと比べて、何を変えて何を変えないのかを考えてみると、後悔しない地方移住になると思います。

Kさんに聞く
リノベーションQ&A

Q1 リノベーションで生活が変わりましたか?

東京にいるときと環境が変わったので、暮らしは変わりました。UberEatsもないし近くにお店も少ない。コンビニにも行かなくなました。外食するときは、地元の食材を生かしたお店で食事を楽しんでいます。
あと、すごく歩くようになりました。犬を飼っているので東京にいるときも歩いていたけれど、1日8000歩くらいから2万歩くらいに。

東京の家も居心地良かったのですが、さらに居心地が良くなったので外に出なくなりました。窓からの眺めがいいので、カーテンをあけるのが楽しみになりました。

浅草から松本へ。自分らしい地方移住とは?

愛犬と一緒に東京から松本への移住

 

Q2 一番気に入っている場所はどこですか?

一番好きなのはベッドスペース。窓際に設けたので、夜は星が見えてきれいです。
壁にはもちろん、床や天井にも断熱材を入れ、インナーサッシと床暖房を導入したので、エアコンがいらないくらい暖かいです。

浅草から松本へ。自分らしい地方移住とは?

ベッドは窓際に設け昼も夜も外を眺め、愛犬もくつろげるスペースに。夜には星が見える

 

Q3 今回のリノベーションで一番大切にしたことは?

アトリエを作るので、生活スペースとの区切りをどうつけるかを考えました。
それから、この部屋はすごく景色がいいので、どこからでもその景色が見えるようにしたいと思いました。

浅草から松本へ。自分らしい地方移住とは?

アトリエからの眺め。目の前には高い建物はなく一望できる

(構成 大橋史子)

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

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