料理家・冷水希三子の何食べたい?

ザクザク、とろっ。食感楽しむ桃のクランブル

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は旬の桃を使った、おうちスイーツを教えていただきます。

     ◇

―― 冷水先生、こんにちは。長雨の季節、なんだか気分も落ち込みがちです……。

冷水 あら、それはいけませんね。

―― もうすぐ夏が来る!と思ってなんとか明るい気持ちを保とうとしているのですが、こうも雨が多いと嫌になっちゃいますね。

冷水 でも食材はどんどん夏らしくなってきてますよ! 

―― たしかに、スーパーにもたくさん夏野菜が並んでいて、それを見ると元気が出ますし、お料理したい!っていう気持ちになります。

冷水 そうそう、その調子です。では今日はみなさんにも元気になってもらえるように、たまにしか作らないスイーツを作りましょうか?

―― すごくうれしいです! 冷水先生のお菓子は簡単なのにおいしくて、何より美しいのでおもてなしのときに出してもすごく褒められるんです。

ザクザク、とろっ。食感楽しむ桃のクランブル

旬を迎えた桃は甘くて果汁たっぷり。今回は素材の甘みと酸味を楽しむシンプルなお菓子にしたてます

冷水 それは私の方こそうれしいです。お菓子は専門ではないので簡単なものしか作れないんですよ(笑)。

―― まさか私が、手作りでお菓子を作れるなんて思ってもみなかったので、今日もとっても楽しみです。素材は何を使うんですか?

冷水 旬の桃を使ったクランブルを作りたいと思います。

―― ク、クラン……ブルですか?

冷水 クランブルはイギリス発祥で、粉とバター、砂糖を混ぜてポロポロにした生地をフルーツなどの上にのせて焼いたお料理です。今日は甘くしてお菓子にしますが、塩けを強くして朝食などで食べることもあるんです。

―― へ~、なんだか素朴な家庭のお菓子って感じですね。

冷水 材料もシンプルですし、作り方も結構ざっくりしているので、はじめての方でも失敗は少ないと思いますよ。

―― それはありがたい! しかも桃を使ったお菓子なんて夢みたいです。

ザクザク、とろっ。食感楽しむ桃のクランブル

クランブル生地の混ぜ方はこんなふうに。手で軽く握るようにするとポロポロとした塊ができるので、徐々にバターと粉をすり混ぜていきましょう

冷水 じゃあまずは肝心のクランブル生地から作っていきますね。準備段階で注意していただきたいのは、バターをあらかじめ5ミリ角くらいに切って、冷蔵庫で冷やしておくことです。

―― ん? ケーキのレシピではよく「バターを常温に戻しておく」というのを見ますが、「冷やしておく」というのは珍しい気がします……。

冷水 クランブルは生地のポロポロっとした食感が大切なんです。バターと薄力粉を混ぜるとき、バターが溶けてしまったら生地がしっとりしてしまうので、しっかりと冷やしておいて、バターが溶ける前に薄力粉と混ぜます。

―― なるほど……。でも固いバターを薄力粉と混ぜるって、なんだか大変そうですね。

冷水 実際にやってみるので、よく見ていてくださいね。薄力粉とアーモンドプードル、塩を入れたボウルに冷やしたバターを入れて混ぜます。混ぜ合わせるというより、すり混ぜるという感じです。バターの中に粉を練りこんでいくような感覚です。ある程度混ざったら、手を使ってポロポロの状態にしていきます。軽く握って玉を作るような感じでやってみてください。

ザクザク、とろっ。食感楽しむ桃のクランブル

桃はこのくらいの大きさにカット。やや大きめに切った方がねっとりとした食感を楽しめます

―― おお~、何だか新しい生地作りですね(笑)。

冷水 生地の塊の大きさは好みなので、何度か作って食べてみて、好きな食感を見つけてくださいね。

―― 大きめの塊があるとワイルドな感じになりそうですね。生地の味を楽しめそうです。

冷水 次に砂糖とココナツファインを加えて混ぜて、ちょっと冷やしますね。

―― これもバター対策ですか?

冷水 そうです。これから桃の準備をするので、その間にバターが溶けて粉となじんでしまわないように。

―― わ~、桃のいい香りがたまりません!

冷水 せっかくだから大きめに切って使いましょうね。その方がジューシーですから。切った後はレモン汁を絡めておきます。酸味を加えるのと、色止めのためです。

ザクザク、とろっ。食感楽しむ桃のクランブル

桃の上にクランブルをのせるときも軽くつまんだり、握ったりしてポロポロ感を出しましょう。大きめの塊と小さめの塊をランダムにのせると、食感にリズムが出て楽しいです

―― 耐熱皿全体に桃が! なんてぜいたくな光景なんでしょう……。

冷水 あとはクランブル生地をまんべんなくのせてオーブンで焼くだけです。残った生地は冷凍保存できるので、のせる量はお好みで。とっても簡単でしょう?

―― ほんと、計量も少ないし、クリームを作る必要もないし、あっという間にできちゃいますね!

冷水 クランブル生地に焼き色がついたら完成です。お皿に取り分けて、好みでバニラアイスを添えてもおいしいですよ。

―― 熱々のクランブルに冷たいアイス……。たまりませんね。

冷水 まずはクランブルのザクザク食感を楽しんで、それから桃やアイスと混ぜて食べてみてください。

―― 桃のとろ~っとした食感も最高です。クランブルに果汁が染み込んで、ちょっとしっとりした食感になるのもいいですね。ここにバニラアイスをのせて食べると……、さらにねっとりした食感になって、なんだかもうめくるめく食感と酸味、甘みのハーモニーです!

冷水 一日おくと桃の味が落ち着いて、それもまたおいしいですよ。好みでいろいろな食べ方ができるのがクランブルの楽しいところですね。桃以外にもリンゴや甘酢っぱいベリー系などいろいろなフルーツで作れるので、季節ごとに楽しんでくださいね。

今日のレシピ

桃のクランブル

◎材料(18㎝直径耐熱皿)

桃 2個
レモン汁 適量
バター 40g

A
薄力粉 60g
アーモンドプードル 20g
塩 1.8g

B
砂糖 30g
ココナツファイン 15g

◎作り方

 バターは5ミリ角に切り、冷やしておく。
 ボウルにを入れて混ぜ、冷たくしたバターを加えてすり混ぜるようにしてぽろぽろの状態にする。
 を加えて混ぜ、少し冷やす。
 桃は大きめの一口大に切り、レモン汁を絡めて耐熱皿に並べて、上にの生地をのせる。
 170度に予熱したオーブンで25~30分焼く。

MEMO

*好みでバニラアイスを添えてもおいしいです。
*クランブル生地は少し多めの分量です。残った生地は冷凍保存できます。
*一日おくときは冷蔵保存をおすすめします。

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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)

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    冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

    ザクザク、とろっ。食感楽しむ桃のクランブル

    料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

    PROFILE

    • 小林百合子

      編集者
      1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

    • 関めぐみ(写真)

      写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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