「人生は何度でもやり直せる」 起業家、イーロン・マスクの母の自伝『72歳、今日が人生最高の日』PR

「人生は何度でもやり直せる」 起業家、イーロン・マスクの母の自伝『72歳、今日が人生最高の日』

電気自動車テスラモーターズのCEO、イーロン・マスクと言えば、もはや誰もが知る起業家だ。宇宙関連事業スペースXのCEO、太陽光発電のソーラーシティの会長も務め、次世代を代表する経営者として注目を浴び続けている。
そのイーロンの母親、メイ・マスクが出版したのが『72歳、今日が人生最高の日』だ。

この情報だけを聞き、「きっとアメリカ流のエリート子育てについての本だろう」「息子が有名だから本を出版できたのだろう」と短絡的に考えた筆者。しかし、表紙を手にするとその想像はあっさり覆され、そこに写る女性の姿に、釘付けになった。

大きく開けて笑う口元には真っ赤な口紅、ショートカットのシルバーヘア。何より自信にあふれた立ち姿が美しい。72歳にして現役のスーパーモデル、メイ・マスクの魅力とは。

「人生は何度でもやり直せる」 起業家、イーロン・マスクの母の自伝『72歳、今日が人生最高の日』

メイ・マスク(提供=集英社)

波瀾万丈の人生から生まれたもの

『72歳、今日が人生最高の日』と題された本書は、美、冒険、家族、成功、健康という5つの章で構成されている。
15歳からモデルをはじめ、大学では栄養学を学んで栄養士の道へ。DV夫との結婚生活を乗り越えて離婚するまで、その後のシングルマザーとしての暮らし。公私を通じて彼女がその人生で学び得た数々のティップスが、惜しげも無く読者に披露される。健康的な食生活へのアドバイス、「外見の美」について、フォロワー35万人を超えるSNSの活用法、そしてあきらめずに挑戦し続けることの意義まで。

「人生は何度でもやり直せる」 起業家、イーロン・マスクの母の自伝『72歳、今日が人生最高の日』

30年近くスタイリングを担当している、親友でスタイリストのジュリア・ペリーと。2019年(提供=集英社)

説明される生い立ちによれば、彼女の両親はかなり風変わりな人たちだったようだ。自家用飛行機を所持して世界中を飛び回り、メイが2歳の頃にはカナダを離れ家族で南アフリカに移住する。そして毎年7月には方位磁針と3週間分の水と食糧を持って、5人の幼い子どもたちを連れ、カラハリ砂漠の「失われた都市」を探す探検に出る、といった具合だ。

《カナダでは、わたしたちは変わった一家だと思われていた。両親が小さな子どもたちを乗せて、キャンバスで覆われたプロペラ一つの飛行機で飛び回っていたからだ。前代未聞だった。そして、南アフリカ共和国へ。そこでは、ますます変人だと思われた。》

「人生は何度でもやり直せる」 起業家、イーロン・マスクの母の自伝『72歳、今日が人生最高の日』

カラハリ砂漠にて。左から兄のスコット、双子の妹のケイ、メイ、妹のリー、姉のリン。1956年(提供=集英社)

ここでも筆者は、「あぁなるほど、このものめずらしい両親がすごいんだな」と勘違いをしたが、読み進めていくうち、そうではないと気づいた。両親の恩恵はあったにせよ、これはメイ・マスクという一人の人間が必死に生きたストーリーに他ならない。息子でも親でもなく、この人自身がすごいのだ。

23歳で、長男イーロンを出産、24歳で次男キンバル、26歳で長女トスカを出産。暴力を振るう夫から逃れ、31歳でダーバン(南アフリカの港町)に移住してからは、シングルマザーとして3人の子どもを育てる生活。屋根がある家と、食べ物と古着を確保するのがやっと、という日々を送るが、彼女は常に前を向くのみだ。無理だと思ったら逃げ出すこと。そのことを彼女は最初の結婚生活から学ぶ。

《わたしは誰かが変化を起こしてくれることを期待し、状況が変化することを期待して、長く待ちすぎてしまった。でも、自分で変化を起こすまで何も変わらなかった。》

「人生は何度でもやり直せる」 起業家、イーロン・マスクの母の自伝『72歳、今日が人生最高の日』

イーロン、キンバル、トスカとメイ。1976年(提供=集英社)

自分の人生を変えられるのは自分だけ。その責任を持つのも自分だけだ。
子育てにおいても考え方は一貫している。子どもの将来は子ども自身が責任を負うべき、という姿勢を崩さない。

《父はいつもこう話していた。「ホールドマン家の人間にできないことはない」。わたしも、きょうだいたちもずっとそう信じてきた。子どもたちにもそう示してきたつもり。マスク家の人間にできないことはない、と。》

《自分が子どものころに両親に育てられたように、わたしは自分の子どもたちを育てた。(中略)赤ん坊のように扱ったことも、叱ったこともない。何を勉強すべきか命じたこともない。(中略)3人とも、自分が選んだ大学に出願し、奨学金と学生ローンの申請書に記入した。わたしはそれに目を通してさえいない。》

「人生は何度でもやり直せる」 起業家、イーロン・マスクの母の自伝『72歳、今日が人生最高の日』

ゲームに熱中するイーロン。1982年(提供=集英社)

大人になってからも引っ越しを繰り返し、3つの国・9つの都市で暮らした彼女は、その度に人生をやり直すことになる。モデルの仕事も栄養士の仕事も、一度全てを失っては一からネットワークを作り直し、軌道に乗せていく。計画を立てては一歩を踏み出し、そしてまた次の一歩を踏み出す。

自身の経験を通して、世界中の女性に希望と勇気を与えてくれる彼女だが、デートに関してばかりは「わたしからのアドバイスを受けないように!」と語る。

《これまでたくさんのデートをしてきたし、すごく好きだった男性も何人かいた。でも、残りの人生を一緒に生きたいと思える人とはめぐり会わなかった。》
《努力はしてみたけれど、わたし自身以上にわたしの人生をよくしてくれる人なんて見つからなかったのだ。》

「すべての独身女性たちへ」と題した章で語られる、愛についてのアドバイスは、独身女性でなくても励まされるものだ。

《「誰かを愛すれば幸せになれるが、ひとりでも幸せになれる」。自分に合う人を見つけられないなら、家族や友だち、仕事への愛を見つければいい。》

「人生は何度でもやり直せる」 起業家、イーロン・マスクの母の自伝『72歳、今日が人生最高の日』

メイと大人になった3人の子どもたち。2019年(提供=集英社)

《年をとることはすばらしい。年を重ねるに連れ、人は賢くなれる。もっと自信を持つこともできる。(中略)いま、わたしは人生でいちばんよいときを過ごしている。》

72歳は最高! そう断言する彼女に、この先数十年分の希望をもらった思いがした。

(文・高橋有紀)

『72歳、今日が人生最高の日』の公式HPはこちら

#26 大人になるよろこび。

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