リノベーション・スタイル

「子どもを怒らない家」は大人にとっても心地よい

Kさんご一家(夫40代、妻40代、長男小学2年生)
東京都小平市/92.03平米/築36年/1150万円

     ◇

今回ご依頼のKさんは、ブルースタジオでの2回目のリノベーションです。1回目はこの連載でも紹介したのですが、一人暮らしのための都心のマンションの事例でした。それから時を経て、フランス人の男性と結婚されてお子さんが生まれ、今度は家族で住む家のリノベーションです。お子さんの学校に近い、郊外の住宅地に広めのマンションを購入されました。

1回目のリノベーションは、リビングの床をタイルにしてパティオ風にするなど、インテリアにこだわったおしゃれな家でした。今回は、ライフスタイルの変化に合わせて、お子さんにとっても暮らしやすい家にしたいと、家に対する考え方が変わりました。

Kさんの希望は「子どもを怒らない家」。毎日の暮らしの中では、子どもに対して「早く片付けて!」とか「おもちゃを散らかさないで!」と怒ってしまう場面があります。怒られる子どももストレスだし、怒る親もストレス。だから、どちらにとってもストレスを感じなくていいように、のびのびと暮らせる家にしたいと考えました。
また、お子さんが通っている学校がおおらかな教育方針なので、家でもそれに合わせるようにしたいとも思ったそうです。

「子どもを怒らない家」は大人にとっても心地よい

改修前と部屋の仕切りは大きくは変えていない。元々和室だった部屋を洋室に変更

提案したのは、家具の造作は必要最低限にした、シンプルな間取りです。前回のリノベーションのときのようにおしゃれを優先にすることはなく、子どもにとってバリューのないものはなくし、頑張りすぎない自然体の家に仕上げました。

特徴的なのは、家の真ん中にある大きなランドリースペース。洗濯機を置き、家族3人分の洋服をかけて収納。7畳ほどの広さがあるので、他にもいろいろなものがゆったり収納できます。

「子どもを怒らない家」は大人にとっても心地よい

バルコニーに面した7畳のランドリールーム。クローゼットを兼ねておりこの部屋で洗濯から収納まで完結できる。廊下を挟んで洗面所がある

「〇〇はリビングの引き出しの中に入れる」などとものの置き場所を決めても、子どもはなかなか覚えられません。そこで、「全てのものはランドリースペースに収納する」という覚えやすいルールにし、子どもが無理なく片づけられるようにしました。

そして、リビング・ダイニングの隣に遊び場兼寝室という部屋を作りました。ここは、子どもがおもちゃを散らかしてもいいスペース。ドアを閉めれば、外からは見えません。怒らなくてもいいスペースがあるのは、親にとっても子どもにとっても、気持ちが楽になるようです。

「子どもを怒らない家」は大人にとっても心地よい

ゲストルームの引き戸を開け放すとLDKから玄関、廊下まで続く広い空間に

取材にうかがった日に、アメリカ在住の友人が宿泊されていました。海外生活の経験があるKさんご夫妻の友人たちが、国内外からよく遊びにくるそう。 子どもだけでなく、大人にとっても心地よい、おおらかな家になりました。

Kさんご夫婦に聞く
リノベーションQ&A

Q1 リノベーションをして、生活は変わりましたか?

妻:ランドリースペースと食洗機のおかげで家の仕事が減りました。広くなったので家に人を呼びやすくなりました。

夫:以前住んでいた場所は都心だったので、ビルに囲まれていて自然がなかった。今は大きな窓がたくさんあり、パノラマのように周りの環境が目に入ってきます。広くなったので、家の中で歩くようになりました。ただ、マンションの開口部で低い場所があり、頭をぶつけることがあります(笑)。

「子どもを怒らない家」は大人にとっても心地よい

周りに高い建物がなく、視界が抜けているのでカーテンは不要とのこと

Q2 一番気に入っている場所はどこですか?

妻:ソファから眺めるダイニングやキッチンの壁のタイルの色、玄関の石畳。

ランドリールームがすごく楽! そこに行けばOKなのが、大人にとっても子どもにとってもストレスにならない。洋服はかけて収納できるのですが、たたまなくていいことがこんなに楽だとわかりました。

「子どもを怒らない家」は大人にとっても心地よい

大判に割いたベニヤ板を床材に使用

Q3 今回のリノベーションで一番大切にしたことはなんですか?

妻:「怒らない家」をテーマに家づくりをしました。大人に合わせて生活を複雑にするのは子どもにとってストレス。大人だけなら汚すことは考えないけれど、家族ができて自分の立ち位置、価値観が変わりました。

1回目のリノベーションは自分のお金で好きなようにしていたけど、見栄えと子どもの暮らしやすさは違う。前の家みたいに床をタイルにすることを、今回も検討したけれど、子どもがやんちゃに遊んで頭をぶつけたりするのが心配なのでやめました。

(構成・文 大橋史子)

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PROFILE

石井健

「ブルースタジオ」執行役員
1969年、福岡県生まれ。「ブルースタジオ」執行役員。日本のリノベーション・シーンの創世期から600件以上を手がけてきた。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも「古い物件の家賃を倍にする不動産集団!」として紹介される。「郷さくら美術館」(東京・中目黒)で2012年度グッドデザイン賞受賞。また「賃貸アパート改修さくらアパートメント」(東京・経堂)で2014年度グッドデザイン賞受賞。 著書に『リノベーション物件に住もう』(共同編集/ブルースタジオ)、『MUJI 家について話そう』(部分監修)、『リノベーションでかなえる、自分らしい暮らしとインテリア LIFE in TOKYO』(監修)。
ブルースタジオへのリノベーションのご相談は、隔月開催のセミナーや、個別相談で承っています。
http://www.bluestudio.jp/

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