つむぱぱの幸せの気づき方

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

娘の「つむぎちゃん」や、息子の「なおくん」との何げない、ほっこりした日常のイラストをInstagramに投稿する「つむぱぱ」さん。

そんなつむぱぱさんが、みなさんの「家族との、個人的な幸せの思い出」をもとにイラストを描く連載「つむぱぱの幸せの気づき方」。

今回読者さんからお寄せ頂いたのは、幼い頃にお父さんとした、ちょっと変わった遊びのお話。

>連載「つむぱぱの幸せの気づき方」

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あなたの「家族との、個人的な幸せの思い出」を教えてください。そのエピソードをもとにつむぱぱさんが世界に一つだけのイラストを描きます。採用された方には、つむぱぱさんが描いたイラスト入りのトートバッグをプレゼントします。

 

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北海道在住・50代女性

    ◇

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

「ホイ来た!」
その号令を合図に、子供の頃の私はタンスの上から父の胸の中に飛び込んでいった。幼い頃の記憶はたくさんあるけれど、私が一番覚えているのは、父のその言葉と、最初は怖かったのにすぐに大好きになったこの遊びだ。

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

北海道の鉄の街で、私は製鉄所で働く父のもとに生まれた。一般的には次男や次女は活発な性格が多いかもしれないけれど、うちの姉妹は正反対。内気な私は、いつも元気な姉の背中についていくので精いっぱいだった。

暗闇や高いところが怖くて、よく何かにおびえていたような記憶もある。今思えば、何がそんなに怖かったのかわからないけれども。

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

そんな私に少しは度胸をつけさせたくて、あるとき父は幼稚園児の娘を抱きかかえて、居間のタンスの上に立たせた。

私は半べそだったけれど、「大丈夫、大丈夫。いいか、足に力を入れて立って、そう、ホイ来た!」と父が言うので、私はタンスの上から、目をつむって縁を蹴った。

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

ふわっとした感覚のあと、父の体温が全身を包む。目を開けると父の腕の中にいて、ふと目をあげると、「ほら、大丈夫だったべ」と父が満面の笑みで喜んでくれた。

大人になってから改めてそのタンスを見る機会があったが、少し大きめのラックくらいの、とてもこぶりなタンスだった。どんな小さな子でも簡単に飛び降りられそうな高さだが、当時はなにかすごく大変なことをやり遂げたようでうれしかったのを覚えている。

一度ジャンプが成功すると、私は調子に乗って、「もう一回やって!」とせがんでいた。そして父が疲れてしまうまで、何度も繰り返した。

幼い頃はそんな風に父とよく遊んでいたが、成長するにつれてなんとなく父を避けるようになっていった。次第に家族行事が面倒になり、思春期の頃には、顔も合わせたくないと本当に思った。CMに出てくるような、もっと爽やかな家庭のお父さんがいいなと夢想することもあった。

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

その後、私は就職を機に上京した。東京で仕事をしていた私は自分の世界が楽しくなっていて、父が病に伏して入院したと聞いたときも、軽く考えて、数えるくらいしか見舞いに顔を出さなかった。

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

ごめんね、お父さん。あの時の私は浮き浮きした身勝手な若者で、そのまま本当に会えなくなってしまうなんて、考えが及びませんでした。まさか引っ込み思案の私が、社会に飛び出してそんな風になってしまうなんて、お父さんは思ってもみなかったでしょう。

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

でもあの「ホイ来た!」の遊びは息子まで受け継がれている。幼少期は親譲りの控えめな性格だった息子も、「ホイ来た!」で度胸がついたのか、今では頼りがいのある子になってくれた。

我が家のタンスはお父さんの胸への飛び込み台

子供が親の胸に思い切り飛び込み、親は強く抱きしめる。お父さんがあたえてくれた安心感が私や息子に「自信」をつけさせてくれた。お父さん、ごめんなさい。そして、ありがとう。
(文・構成/井川洋一)

つむぱぱさんの言の葉

子供って怖いことしたがるし、親って怖いことさせたがりますよね。
そして、その「怖かった」という記憶は、大人になってもよく覚えているものです。

夏になると家族で、一軒家の小さな庭でバーベキューをやるのが恒例行事でした。そのバーベキューでのイベントの一つが肝試しでした。家から200mくらいあるところに、小さな神社があってその神社の境内にあらかじめ置いておいた何かを取ってくるのです。

子供にとって夜の境内ってだけでなかなか怖いのに、さらにその神社へ行くには、墓地を通っていかなきゃいけないんです。きわめつけは、家からの出発前には、怖い話を聞かされます。
もう最高に怖くなる準備をしっかりと行うわけです。
今考えても、とってもスリリングでとっても罰当たりなゲームをしていたと思います。

とにかく怖かったことと、取りに行って戻ってきた安心感や達成感は、今でもはっきりと覚えています。それが僕の「自信」につながったのかはわかりませんが、ただ一つだけ言えることは、僕の父親は、この投稿者さんのお父さんのような優しい気持ちでやっていたのではなく、完全に僕がビビっている様子を楽しんでいたということです。

つむぱぱ

娘「つむぎちゃん」、息子「なおくん」との日常をInstagramで、ほっこりとしたイラストで表現し、子育て世代を中心に幅広い人気を誇るインスタグラマー。Instagramアカウントのフォロワーは、60万人を超える。

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