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はかなさ、ユニークさ、大胆に 宝飾ブランドのハイジュエリー新作発表

7月のパリ・オートクチュールコレクション開催時に新作が発表される、宝飾ブランドのハイジュエリー。今年はコロナの影響により、オンラインでの提案が中心になる異例の展開だった。実物を目の前にする従来の展示に比べると宝石そのものの存在感は伝わりにくかったが、各ブランドがデザインに工夫を凝らした力作がそろった。

宝飾品では「自然の美」がテーマになることがよくあるが、今回はそのはかなさやユニークさに焦点を当てた、凝った大胆な表現が目立った。

はかなさ、ユニークさ、大胆に 宝飾ブランドのハイジュエリー新作発表

ブシュロン

ブシュロンは東京の銀座店で感染対策を講じながら、仏本社が制作した映像を披露。「自然の中の一瞬のきらめきを表した」と、詩的な67点を見せた。

「無重力の雲」という名前のネックレス(約7255万円)は、1万本のチタンのワイヤに4千個以上のダイヤモンドなどが付けられて水滴に見立て、首回りにふわふわと浮かぶ。デザイナーは「ジュエリーのアート表現は時間を止めること。本来は永遠ではない瞬間を永遠のものにすること」と説明した。

はかなさ、ユニークさ、大胆に 宝飾ブランドのハイジュエリー新作発表

ショパール(写真左)、カルティエ

ショパールはトロフィーの制作を担うカンヌ国際映画祭にちなんだ「レッドカーペットコレクション」を発表。「自然」を題材に、文字盤をサファイアなどで夜行性の大きな目に仕立てたフクロウ形の腕時計(3285万円)が愛らしい。

カルティエはパリ本社をオンライン中継で結び、現地の広報が新作をひとつずつ丁寧に説明した。作品は、水や動植物など自然が持つエネルギーをモダンに表現した。ブランドのアイコンであるヒョウの柄をダイヤとオニキスで描いた時計(価格未定)は、ナチュラル感のあるサンゴやアクアマリンが組み合わされている。

はかなさ、ユニークさ、大胆に 宝飾ブランドのハイジュエリー新作発表

ヴァンクリーフ&アーペル(写真左)、ショーメ

ヴァンクリーフ&アーペルは1940年代から続くモチーフである妖精をかたどった作品をそろえた。7.6カラットのサファイアを使ったクリップ(2976万円)など。

ショーメもオンラインで仏本社とつないだ発表形式だった。「建築の装飾」をテーマに、欧州に見られる円形天井のフォルムなどをデザインに取り入れた。20.04カラットのルベライトが輝くブローチ(2470万円)など古典的で深みのある表現が印象的だった。

はかなさ、ユニークさ、大胆に 宝飾ブランドのハイジュエリー新作発表

シャネル

ハイジュエリーの制作現場は密になりやすく、また欧州の都市封鎖の時期と重なったため、今回の参加はいつもより少なかった。シャネルは、コロナ禍を理由にハイジュエリーの新作は発表せず、創始者ココが32年に発表したリボンのモチーフのジュエリーからヒントを得たリング(128万円)などを9月に発売する。

数百万円超の高級品に限らず、ジュエリーはそのものに自然の美しさがあり、見るだけで人を幸せな気分にする力を持つ。簡単に廃棄もされず、エコにもかなう。原石の採掘現場での労働環境問題などに改善の動きもあり、サステイナブルな面でも注目されている。

 <写真はブランド提供。価格はシャネル以外参考>

触感どう伝えるか ショーメCEO

ショーメはコロナの影響で、パリの工房と店舗を3月中旬から約2カ月間閉めた。ジャンマルク・マンスベルトCEOに今後の方針などをオンライン取材で聞いた。

     ◇  
   
デジタルでの新作発表は初めて。宝飾品に重要な石の存在感や触感をどう伝えることができるか、考えていきたい。世界の顧客にはキャラバン式に商品を移動させて現物を見ていただく予定です。

コロナ禍は宝飾品の全体的な消費マインドを落とさず、むしろ今後10年の売り上げ規模は右肩上がりに伸びると予測しています。この危機で我々は愛する人や家族の大切さを実感し、彼らに何か価値のあるものを残したいと思う傾向が強まった。伝統を生かしたブランドが作る質の高いジュエリー、本物志向がこれまで以上に高まるだろうし、そんな要望にどう応えていけるかがカギだと思います。

(編集委員・高橋牧子)

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