猫が教える、人間のトリセツ

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

人間を思うがままに操る、飼い猫たちの実例集「猫が教える、人間のトリセツ」。
月に1回、「猫と暮らすニューヨーク」の筆者、仁平綾さんと、イラストレーターのPeter Arkle(ピーター・アークル)さんでお届けします。

猫の知能は人間の2~3歳ぐらいと言われるけれど、独立心が強いからか、「ある程度成長した人間と暮らしている気持ち」とは、ニューヨークで猫を飼うミナミ・マンガンさん。「でも出がけにバタバタしている時、突然目の前で吐かれたりすると、やっぱり赤ちゃんぐらいなのかとハッと我に返る」との言葉に思わず納得。大人だったり、赤ちゃんだったり。猫のそのギャップが、私たちを虜(とりこ)にするのです。


ニューヨークで日本茶のブランドKettl(ケトル)を展開するザック・マンガンさんとミナミさん夫妻。暮らしを共にするのは、パンダとクライドという名の2匹の保護猫です。

陶芸をするため日本からニューヨークへ渡り、Soto ceramics(ソトセラミックス)を立ち上げたミナミさん曰(いわ)く、「実は私はステップマム(継母)。2匹はザックが昔の彼女と保護団体から譲り受けたきょうだい猫なんです」。

ザックさんと出会った当初、2匹も猫がいることを知らなかったミナミさん、ある日、猫の存在を知らされ対面することに。「人生でほとんど猫を触ったことがなかったので戸惑いました。どうしていいかわからず、ふんわり、そっと猫を撫(な)でたのを覚えています」

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

向かって左、鼻筋の白いほうがオス猫のクライド。右はメス猫のパンダ。「姉弟または兄妹猫です」

オス猫のクライドと、メス猫のパンダは、推定10歳。「2匹とも、とてもおとなしく、ごはんを催促する時以外は鳴かないし、基本は寝ていて、おもちゃにもあまり興味を示しません。運動させたくていろいろ試したけれど、2分ぐらいで飽きてやめてしまいます」とミナミさん。

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

2匹は仲良し。「クライドがパンダをせっせとなめてあげてから、くっついて寝ています」

そんなおとなしい2匹でも、ここぞという時は“人間を操る”能力を発揮。「明け方、ごはんを催促する時、ありとあらゆる手段を講じてくる」というのはパンダ。静かにじっとミナミさんを見つめながら、頭をカリカリ撫でたり、本のページの端を器用にめくってパラパラと音をたてたり、ピアノを弾いたり(!)。それも鍵盤の上に飛び乗り、はちゃめちゃに音を鳴らすのではなく、「そ~っと奏でます。私たちが起きないようだと、さらに強めのステップで弾くという、強弱のある弾き方」なのだとか。もはや一芸の域。

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

「パンダは、猫っぽい性格」とミナミさん。やや緊張感があり、昔は今よりも愛想が無かったとか

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

パンダは「食事制限を緩めてから倍以上に太ってしまい、どんどん丸くなって、性格も前よりマイルドになった気がします」。ピアノも弾かなくなりました

一方、クライドは「おっとりしていて、人間と寄り添って寝るのが大好き。我が強い性格ではないけれど、一緒に眠りたいモードのときは追いかけてきて、“膝(ひざ)に乗らせて、とにかく寝かせろ”という情熱がすごい」。

例えば、ミナミさんが仕事場のスタジオに出かけようとすると、クライドが追いかけてきて、顔を見上げることしばし。「なあに?」と聞けば、にゃ~とひと鳴きして、“眠らせてぇ”の合図。ミナミさん、あまりのかわいさに、クライドを抱っこしてベッドで寝かしつけてから出かけるのだとか。

グルグル言いながら、ミナミさんの胸の上で軟体動物のように体を委ねるクライド。ぐっすり寝入ったところで静かに横にずらし、枕の上に頭を乗せてあげ、布団をしっかりかけてから、ミナミさんはようやく仕事へ。かくしてクライドは、健やかなる安眠を手に入れるのでありました。

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

頭を高い位置にして寝るのが好きなクライド。枕のほか、ミナミさんの首、あご、頰などに、頭を置いて眠ることも。猫アレルギーのミナミさん「かゆくなって大変です」

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

ベッドの中で、すやすや眠るクライド。ミナミさんが寝かしつけた後も、「たいていはそのままベッドで寝ています」

猫の意のままに操られている飼い主と言われれば、「そうかもしれないけれど……」とミナミさん。実は夫のザックさんならではの猫の飼い方も関係しているよう。

「絶対に猫の邪魔をしたり、コントロールしようとしたりしないのが方針。猫が気持ち良く寝ている時は起こさないようにするし、人間の都合で動かすこともしません。ベッドカバーを洗いたいのに、猫がごはんに起きるまで何時間も待たなくちゃいけない時もあります。そういうザックの猫との接し方は、アメリカの子育てスタイルだなあと感じます」

個を尊重するおおらかさ。できれば猫たちにも、人間に対してそうあって欲しいと思うのですけれど……。

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

“膝に乗りたい”意志を貫くクライド。ごはん中でも、気にしませんよ

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

バスケットにすっぽり収まり、ぬくぬく寄り添って眠る2匹

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

バスルームで日なたぼっこでしょうか。きょうだい猫だけに、すばらしいシンクロ


お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

Zach Mangan(ザック・マンガン)/Minami Mangan(ミナミ・マンガン)
ニューヨークのブルックリンで、日本茶ブランドkettl(ケトル)を主宰。日本から輸入した高品質の日本茶をオンラインショップで販売するほか、レストランなどへの卸売りも。今年1月には、マンハッタンにカフェ(348 Bowery, New York, NY)をオープン。
カフェのお茶は、ミナミ・マンガンさんによる陶器ブランドSoto Ceramics(ソトセラミックス)の陶器で供される。カフェでは陶器の購入も可能。

ケトルのインスタグラム : https://www.instagram.com/kettltea/
ソトセラミックスのインスタグラム: https://www.instagram.com/sotoceramics/

次回は、10月下旬の配信予定です。

『猫と暮らすニューヨーク』が本になりました!!

お昼寝は、猫の権利です。 byパンダとクライド(飼い主・ザック&ミナミ・マンガンさん)

『ニューヨークの猫は、なぜしあわせなの?
75匹の猫と飼い主のリアルな暮らし』

仁平 綾 (著) 朝日新聞出版

猫と暮らすニューヨーク』として連載していたものから、
“猫の飼いかた”の部分に注目し、さまざまなアイデアや実践をセレクト、再編集した一冊。
個性豊かで愛らしい、NYの猫たちの写真が満載で、猫好き必読の書。

1760円(税込み)

>>「猫と暮らすニューヨーク」まとめ読みはこちら

PROFILE

  • 仁平綾

    編集者・ライター
    ニューヨーク・ブルックリン在住。食べることと、猫をもふもふすることが趣味。愛猫は、タキシードキャットのミチコ。雑誌等への執筆のほか、著書にブルックリンの私的ガイド本『BEST OF BROOKLYN』、『ニューヨークの看板ネコ』『紙もの図鑑AtoZ』(いずれもエクスナレッジ)、『ニューヨークおいしいものだけ! 朝・昼・夜 食べ歩きガイド』(筑摩書房)、共著に『テリーヌブック』(パイインターナショナル)、『ニューヨークレシピブック』(誠文堂新光社)がある。
    http://www.bestofbrooklynbook.com

  • Peter Arkle(イラスト)

    ピーター・アークル スコットランド出身、ニューヨーク在住のイラストレーター。The New Yorker、New York Magazine、The New York Times、Newsweek、Timeなど雑誌や書籍、広告で幅広く活躍。著書に『All Black Cats Are Not Alike』(http://allblackcats.com/)がある。

猫の道は必ずや開かれる。byマメ(飼い主・大谷哲也さん&桃子さん)

一覧へ戻る

2匹で猫会議を開く。 byスーとノア(飼い主・岸山沙代子さん)

RECOMMENDおすすめの記事