おうちでワイン

ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

白ワインの消費量を上回る「ロゼ」

ワインの取材を進める中で、ここ数年注目し、追い続けているのが「ロゼ」。日本ではお花見時期のシーズナルなワインのイメージが強いが、世界的に見ると、その消費量はここ20年弱で40%も増えている(「ロゼワインワールドランキング」調べ)。生産量、消費量ともトップクラスのフランスでは、90年代半ばにはすでに白ワインの消費量を上回っている。もはやロゼは「ブーム」から「定番」として愛されているワインなのだ。

今では世界中で造られているが、中でも一大産地がフランスのプロヴァンス地方。避暑地ニース、映画祭でおなじみのカンヌなどを擁する地中海に面した人気のリゾート地で、ビーチのレストランでは多くの観光客が潮風を感じながらさわやかなロゼワインを楽しんでいる。この地方は実は、今から2600年前にワイン造りが始まったフランス最古の産地でもある。当時の技術では淡い澄んだ色のワインにしかならず、これがロゼワインのルーツと言われているとか。

食とワインのスペシャリスト、沢樹舞さんもプロヴァンスロゼに魅せられた一人。

今回のソムリエール
ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?
ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

 

沢樹 舞(さわき・まい)

12年間ファッションモデルとして国内外で活躍後、ワインの専門家に転身。シャンパーニュ騎士団よりシュヴァリエ(騎士)、(一般社団法人)日本ソムリエ協会よりソムリエ・ドヌール(名誉ソムリエ)を授与される。食をテーマにしたWEBサイト「たべるの」や、週末農業、料理教室などを通して、ワインと合わせる新時代の家庭料理を提案。テレビ各局の料理番組にも出演している。

 

「淡く透明感のあるロゼ色が美しく、香りも味わいも洗練されていて、繊細でエレガント。きれいな酸とミネラルで料理を高いレベルで引き立ててくれます」と、沢樹さん。その魅力は、日照時間が非常に長く、地中海性気候で夏は暑く乾燥しているプロヴァンスの恵まれた気候風土によって育まれている。また、雪を冠したアルプス山脈から海に向かって吹き抜ける「ミストラル」と呼ばれる冷たい風によって、ブドウ畑は乾燥し、カビや病害に侵されることも少ない。そのためオーガニック栽培が可能になり、自然にも優しい高品質なブドウが収穫できるのだ。

海に面したプロヴァンスは魚介類が豊富で、新鮮なシーフードを使ったブイヤベースが名物。ワインが持つミネラルとのマリアージュは言わずもがなだが、「フレッシュな野菜、重すぎない肉料理ともとてもよく合います」と沢樹さん。豊かなミネラルによってだしのようなうまみが感じられるので、和食との相性もいい。

そんなプロヴァンスロゼの中で、知名度、人気ともにトップクラスのワインといえば、「ミラヴァル」。ハリウッドスターのブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリーが共同所有するワイナリーとして世界中にその名を知られている。

ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

シャトー・ミラヴァル

だが、人気の秘密は決して華やかな話題性だけではない。ワイン造りをフランス屈指のワイン生産者であるペラン・ファミリーが手がけ、そのクオリティーも折り紙つき。2012年のファーストヴィンテージ以来、世界的なワイン専門誌で高い評価を得るなど、名実ともに「セレブ・ロゼ」なのだ。

ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

ブラッド・ピット(左)と、ペラン・ファミリーの5代目当主、マルク・ペラン

「『ミラヴァル』のロゼは全体的にとてもバランスがいい。上質な白ワインに、淡いながらも主張のある赤いニュアンスがきれいに溶け込んでいる。そんな繊細さ、エレガントさが飲む者の心をつかみます」と沢樹さん。「バカンスの昼下がりに、ホテルのバルコニーで海を眺めながらグラスを傾ける……。ああ、いいですね(笑)」とうっとり。

今回沢樹さんがセレクトしたのは、同じ「ミラヴァル」ブランドにして知る人ぞ知るロゼワイン、「ステュディオ・バイ・ミラヴァル」だ。

ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

ミラヴァルのワイナリーは紀元前3世紀に建設され、かつては修道士の宿や王族の邸宅として使われてきた。1970年、ジャズピアニストのジャック・ルーシェがオーナーとなり、敷地内にレコーディングスタジオを建設。このスタジオには、スティング、シャーデー、ピンク・フロイドといった名だたるミュージシャンがレコーディングに訪れている。「ステュディオ・バイ・ミラヴァル」は、その伝説のスタジオから名付けられた。

ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

「フレッシュな果実や柑橘(かんきつ)類、白いお花、きれいな酸、そしてミネラルと、『ミラヴァル』とは共通項が多いのですが、エレガントなスタイルを踏襲しながらもどこかカジュアルで、間口が広いイメージ。飲み手だけでなく、料理に対してもオープンなので、マリアージュの幅は広いかもしれないですね。価格が控えめなのもうれしいポイント」と沢樹さんは言う。

この最旬ロゼにペアリングするのは、季節のフルーツを使った一品、「イチジクのピッツァ」。

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イチジクのピッツァ

【材料】1枚分
トルティーヤの皮1枚
イチジク1コ
ブラックオリーブ(輪切り)大さじ1
サワークリーム大さじ1
ゴルゴンゾーラ(辛口のピカンテ)大さじ1
生ハム2枚
はちみつ大さじ1
オリーブオイル、黒こしょう 各適宜

【作り方】
① サワークリームを薄く塗ったトルティーヤの皮に、6等分のクシ切りにしたイチジクをバランス良く乗せる。
② ①にブラックオリーブ、生ハム、チーズを乗せ、オリーブオイルとはちみつを回し掛ける。
③ トースターかグリルで8分程度焼く。表面がこんがりと焼けたら、黒こしょうを振って出来上がり。

「イチジクは旬が短いので、9月には必ず味わいたいフルーツ。優しい甘みで酸味はほとんどなく、少しボンヤリした味わいですが、むしろそれが魅力。ひと手間調理することで化けます。『もわーん』としたイチジクの味わいに甘さと塩気をビシッと加え、動物性の脂肪分も少しプラスする。これで、イチジクの魅力が一気に花開くのです」(沢樹さん)

ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

加熱して濃厚さを増したイチジク、ハチミツの甘み、生ハムと青カビチーズの塩味が混然一体となり、メリハリのある華やかなマリアージュに。ピッツァの生地にはトルティーヤの皮を。手軽な上に、パリパリのクリスピーな食感がアクセントに。

「イチジクの甘みをプロヴァンスロゼならではの酸味がキュッと引き締めてくれます。チーズの塩味とワインのミネラル感の一体感もマリアージュのポイントです」

このピッツァ、沢樹さんの秋のスペシャリテとか。これまではピノ・ノワールなど軽めの赤ワインを合わせていたというが、「『ステュディオ・バイ・ミラヴァル』との相性がベストかも!  おうちでまったり、のんびり、音楽でも聴きながら楽しみたいペアリングです。ピンク・フロイドのプログレより、シャーデーのアンニュイな歌声の方が気分、かな?」。沢樹さんは楽しそうに笑った。

甘い果実とロゼと音楽。秋の夜長、最高にロマンチックなマリアージュ。

    ◇

「ステュディオ・バイ・ミラヴァル 2018年」(希望小売価格2750円、税込み)

ブラピが手がけるプロヴァンスロゼ 。「知られざるもう1本」とは?

ほんのりとした淡いピンク色。グラスに注ぐとフレッシュな果実と柑橘類の香りが立ち上る。かれんな印象の香りに対して、しっかりとした果実味と白い花が感じられる厚みのある味わい。塩味を感じさせるミネラルが全体を引き締め、余韻まで続く。

「ミラヴァル」はプロヴァンス地方の中心に500ヘクタールの土地を所有。ブドウ畑は昼夜の寒暖差が激しく、フレッシュでバランスのとれたワインを生み出す。すべての畑でオーガニック栽培を採用している。

ジェロボーム ファインワイン クラブのサイトで購入可能。

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PROFILE

中津海麻子

執筆テーマは「酒とワンコと男と女」。日本酒とワイン、それらにまつわる旅や食、ペット、人物インタビューなどを中心に取材する。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、ワイン専門誌「ワイン王国」、朝日新聞のブックサイト「好書好日」、同ペットサイト「sippo」などに寄稿。「&w」では「MUSIC TALK」を連載中。

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