公私とも充実してるのに、なぜ虚しく感じるの?/清田隆之さん

特別企画「アナタのミライは、ワタシのミライ」が伝える
「呪いの言葉」と「解毒法」とは?

 

なんだか心に重くのしかかる。でも、どうしていいのかわからない――。
そんな“生きづらさ”を感じるとき、ありませんか?
「&w」編集部は、その生きづらさの背後に潜むものに「呪い」と名前をつけました。
家族や恋愛などをテーマにした作品がある漫画家・田房永子さんと文筆業・清田隆之さんが交代で、イラストと言葉で「呪い」を解きほぐします。
無意識のうちに刻まれた、古い制度や変わらぬ価値観、性差にもとづく役割分担……。
この世を取り巻くそれらの呪い、前向きな「解毒法」がわかれば解けていくかもしれません。

 

公私とも充実してるのに、なぜ虚しく感じるの?/清田隆之さん

~解毒法~
自分自身の“感情”や“思考”を省みる。

以前、「人生に虚(むな)しさを感じる」という男性が相談に訪れたことがありました。彼は誰もが知っている大企業に勤務しており、週末はマラソンで汗を流したり、趣味の仲間と旅行に出かけたりもしています。
「はたから見たら、自分はいわゆる“リア充”の部類に入ると思う」とも語っていた彼。なぜ人生に虚しさを感じていたのでしょうか。

話を聞く中で見えてきたのは、心の内側を言葉にする機会の乏しさでした。仕事では、与えられた役割や目的に応じてコミュニケーションを図っていけば、関係が成立する。趣味においても、交わされる会話は共通のテーマに限られがちです。もちろん、それも一つのコミュニケーションではあるのですが、その男性は「自分の気持ちを言葉にして伝え、互いに理解しあうというコミュニケーションの機会がほとんどない」と語っていました。

人間には「being」「doing」という二つの側面があります。beingとは“存在”のことで、今ここにあって、何かを感じたり思ったりしている部分を指します。
一方のdoingとは“行為”のことで、属性や肩書き、成績や能力といったもので表される部分を意味します。

現代社会では圧倒的にdoingが重視され、感情や思考、価値観や生理的反応といったbeingの部分は蔑(ないがし)ろにされがちです。でも、自分の気持ちを表現したり共有したりできないのって、実はとても苦しいことですよね……。

虚しさの背景には、おそらく、beingが尊重されていない現状があるのではないかというのが私の考えです。まずは、「being」と「doing」という視点で分けて、自分自身を振り返ってみることをおすすめします。

    ◇

アナタのミライは、ワタシのミライ」 筆者プロフィール

公私とも充実してるのに、なぜ虚しく感じるの?/清田隆之さん

清田隆之(きよた・たかゆき)

文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。1980年東京都生まれ。早稲田大学卒業。1200人以上の恋愛相談に乗り、コラムなどで紹介してきた。新聞や雑誌など多数のメディアに寄稿。桃山商事としての著書に『二軍男子が恋バナはじめました。』(原書房)、単著に『さよなら、俺たち』(スタンド・ブックス)などがある。

 

公私とも充実してるのに、なぜ虚しく感じるの?/清田隆之さん

田房永子(たぶさ・えいこ)

漫画家。1978年東京都生まれ。代表作『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版、2012年)『キレる私をやめたい』(竹書房、2016年)。そのほかの著書に『男社会がしんどい』(竹書房、2020年)などがある。

 
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