朝日新聞ファッションニュース

明るく鮮やかに、人々に笑顔を。2021年春夏ニューヨークコレクション

新型コロナウイルスの感染拡大で一時は世界最悪の状況に見舞われながら、現在は比較的落ち着いているニューヨーク(NY)州。9月中旬に2021年春夏のニューヨーク・コレクションが開かれた。ファッションで人々に夢を、笑顔を。多彩な色柄で、気分を明るくさせるようなスタイルが目立った。

“遊び心”動画で/ビル屋上や街中でショーも

主催のCFDA(米ファッションデザイナーズ協議会)は「ランウェー360」というサイトを開設し、各ブランドが制作したコレクションの動画などを配信した。ただ常連のマーク・ジェイコブスやラルフ・ローレンなどは参加せず、マイケル・コースは後日の発表を予定している。

州の基準で、屋外で観客50人以下であれば客を入れたショー開催が許可された。実際にランウェーショー形式で発表したのがジェイソン・ウー。ビルの屋上をジャングルのように仕立て、メキシコのリゾート地から着想したリラックスムードあふれるスタイルを提案した。デザイナーは「ファッションとは人に夢を与えるものだから、ライブのショーにこだわった」と話した。

明るく鮮やかに、人々に笑顔を。2021年春夏ニューヨークコレクション

ジェイソン・ウー(C)Dan Lecca

トム・フォードは、CFDA会長でもあるデザイナーが、ここ数カ月の心境などを語った動画を配信。ロックダウン中は、まるで「悪夢のような毎日」で「クリエーティブには程遠い環境だった」と振り返った。今季はスキップすることも検討したが、今改めて必要な服とは何か?と考えた時「人々に笑顔をもたらし、安心感を与えるものが必要」という結論に至ったという。色鮮やかな花柄のドレスなど、ドレスアップすることの楽しさを思い出させてくれるラインアップだ。

コリーナ・ストラーダは、モデルたちの動きにコンピューターグラフィックスによる画像を組み合わせた動画で、おもちゃ箱をひっくり返したようなカラフルで遊び心あふれるデザインだった。環境への配慮など社会的な取り組みでも知られるブランド。今季もモデルは様々な人種や年齢、ジェンダーで、障害者も起用した。

明るく鮮やかに、人々に笑顔を。2021年春夏ニューヨークコレクション

トム・フォード(C)TOM FORD(写真左)、コリーナ・ストラーダ(C)Charlie Engman

街中の遊歩道で、ゲリラ的なショーを行ったのはエクハウス・ラッタだ。ライブ配信された動画には、たまたま居合わせたランナーや通行人の姿も。パターンに工夫を凝らしたニットアイテムを主力に、マスクとのコーディネートも見どころだ。

00年代初頭に人気を博したイミテーション・オブ・クライストが久々に復帰した。当時はビンテージ衣料をリメイクするはしりだったが、サステイナブル(持続可能)な観点から時流に即したコンセプトと言える。道にオペラ歌手が整列し、アカペラを披露するパフォーマンスを実施。背景の壁には、新作動画のほか、トランプ大統領の顔やコロナ禍に苦しむ街の様子などが投影された。

明るく鮮やかに、人々に笑顔を。2021年春夏ニューヨークコレクション

エクハウス・ラッタ(C)Darian DiCianno(写真左)、イミテーション・オブ・クライストのパフォーマンス=市川暁子撮影

著名ブランドのパターンも多く手がける大丸隆平のオーバーコートは、人気アートディレクターのピーター・マイルズと協業したプリントを用いたデザインを発表。NYに先駆け、今夏に東京で顧客が先行注文できる機会も設けた。大丸は「東京で顧客と会うのは初めてだったが、NYの5倍売り上げがあった。デジタル化されて便利な時代になったようだが、実際はよりニッチで丁寧な接客が求められている」と話した。

明るく鮮やかに、人々に笑顔を。2021年春夏ニューヨークコレクション

オーバーコート(C)Julius Frazer

コロナの渦中、“BLM(黒人の命は大切)”運動が改めてクローズアップされている。会期中に発表されたCFDAファッションアワードの米メンズデザイナー大賞は、黒人文化に根ざしたメッセージ性の高い作品で知られるパイヤー・モスのカービー・ジャン・レイモンドが獲得した。

(ファッションジャーナリスト・市川暁子)

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