このパンがすごい!

甘い香りと極上のさっくり感。3時のおやつのために生まれた進化系生食パン/hotel koé bakery

10月1日、渋谷公園通りの「hotel koé bakery」が発売した「フィナンシェ食パン」。私も監修にたずさわった。フィナンシェをモデルに、焦がしバターとアーモンドパウダーを配合、3時のおやつのために生まれてきた「進化系生食パン」だ。

普通の生食パンと思いながら封を開ければ、飛び出してくる甘い香りの濃厚さは、想定のはるか上をいく。ちぎってみれば、さわさわと難なくちぎれる心地よさ。味わってみれば、焦がしバターとアーモンドが作りだす、フィナンシェさながらのふくよかな甘さ、香ばしさ。溶けるごとに、それは後から後からとあふれ、渦巻く。感想を言うことさえ忘れて、夢中で食べ進んでしまう……なんども食べているこの私自身がいまだにそうなのだ。

甘い香りと極上のさっくり感。3時のおやつのために生まれた進化系生食パン/hotel koé bakery

フィナンシェ食パン ~進化系生食パン~ ©️秦瑛二

開発したのは、26歳の若きシェフ長谷川大泰さん。ただ贅沢(ぜいたく)な素材を使っただけではない。職人技で作り上げる。

普通の生食パンは「もっちり」が通り相場。これは反対に、夢の中で食べるかのごときさっくり感。ミキシング(こね)は精緻(せいち)を極める。素材の風味を殺さず、かつもっちりの原因となるグルテンをなるべく出さないよう、1度で済むはずの材料の投入を4度に分ける。

「できるだけミキシングを短くしてグルテンを作らず、むしろグルテンを壊すようなミキシングです」

甘い香りと極上のさっくり感。3時のおやつのために生まれた進化系生食パン/hotel koé bakery

パン売り場に立つ長谷山シェフ

フランス産AOPバター、沖縄県産本和香糖と素材の選択でもコクを重ねることで、重厚な風味を作りだす。

フィナンシェ食パンと同時に、計5種類の食パンをリリース。シーンや気分に合わせて選ぶことができる。

「ホテル食パン ~すばらしい朝~」は、その名の通り、すばらしい朝にはこんな食パンを食べたい、という理想のイメージを具現化したもの。ミルクだけでも、小麦だけでもない。両者がともに、豊かに香る。米カリフォルニアの製粉会社セントラルミリングの小麦粉「ハイマウンテン」を使用。北米産ならでは、麦の香りに濃度があり、鼻腔(びこう)をこするようにねっとり香る。食感は、しっとり、ぷるんぷるん。やわらかいのにコシがあり、口の中で躍る。酵母の香りも嫌みなく清らかだ。

甘い香りと極上のさっくり感。3時のおやつのために生まれた進化系生食パン/hotel koé bakery

ホテル食パン ~すばらしい朝~ ©️秦瑛二

日本の小麦も負けていない。「全粒粉食パン ~小麦畑からの風~」。風は北から吹いてくる。日本の至宝、十勝産キタノカオリを100%使用。ふすまの香りもすがすがしく、じーんと広がるキタノカオリの甘さに感動する。耳には、しょうがのような甘さとスパイス感。これもグルテンを出さず、ふにっとしてぱっつんと、歯切れは爽快。

「砂糖をあまり使わず、小麦本来の甘さを出しています。自家製のルヴァン種を使用し、低温で長時間発酵させ、穀物の持ってる栄養素をしっかり分解して、食べて健康になれるパンを目指しました」

「ショコラ食パン ~全身チョコまみれ~」は、ココア生地とチョコチップのダブルチョコ。素材のよさ。とろっと溶けるベルギー産チョコチップと生地のダブルの口溶けは、あまりの濃密さゆえに一瞬意識が遠のいてしまいそうだ。生地のテクスチャーもすばらしい。しなやかで、なめらかで、やわらかである。

甘い香りと極上のさっくり感。3時のおやつのために生まれた進化系生食パン/hotel koé bakery

ショコラ食パン ~全身チョコまみれ~ ©️秦瑛二

7時30分から11時まで、カフェスペースでは毎日「食パンビュッフェ」が展開される。食パンブームに沸く日本人たちへ、それぞれの個性をもつ4種類の食パン(フィナンシェ食パン除く)を味わってもらおうというもの。バターは自家製、あんこやジャムやレバーペーストはすべてつけ放題という大盤振る舞い。あえて生で供しているのは、オーブンから出たばかりの食パンの生き生きとした香り、なめらかさを味わってほしいから。

一方、フィナンシェ食パンの焼きあがりは、12時30分と15時30分。さらに、14時30分からは、カフェタイムとなり、フィナンシェ食パンを使用した「ブリュレシブースト」がイートイン限定で提供される。

食パンリニューアルと同時に、パン売り場を強化、クリームパン、カレーパン、ドッグパンなどのド定番に贅沢素材を使って作り上げた「贅沢シリーズ」もデビュー。渋谷のど真ん中から、日本をパンで幸せにしたいと意気込んでいる。
 

hotel koé bakery
東京都渋谷区宇田川町3-7 hotel koe tokyo 1F
050-5461-1690
7:30~23:00

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長谷山シェフのインタビューと実食レポートを、パンラボのYouTubeチャンネルで公開しています。

PROFILE

池田浩明

佐賀県出身。ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰
日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッドギーク(パンおたく)。編著書に『パン欲』(世界文化社)、『サッカロマイセスセレビシエ』『パンの雑誌』『食パンをもっとおいしくする99の魔法』(ガイドワークス)、『人生で一度は食べたいサンドイッチ』(PHP研究所)など。国産小麦のおいしさを伝える「新麦コレクション」でも活動中。最新刊は『パンラボ&comics 漫画で巡るパンとテロワールな世界』(ガイドワークス)
http://panlabo.jugem.jp/

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