おうちでワイン

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

おうちでワインを飲むことの、いいところ。それは、ちょっといいワインを、外食よりもリーズナブルに楽しめること。でも、未知なるワインとの出会いの機会が減ってしまうのもまた事実。今回は、世界のワイン好きが大注目、でも、おとなりのカリフォルニアほどメジャーじゃない、そんな知られざるオレゴンのワインの魅力を、東京・千駄木でレストランを営む外岡聡一さん、潤子さん夫妻が情熱解説!

今回のソムリエ
オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに
オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

 

外岡聡一(とのおか・さとし)、外岡潤子(とのおか・じゅんこ)

聡一さんはシェフ、シェフソムリエ。潤子さんは利き酒師、酒匠、製パン講師。
IT企業に勤務していた聡一さんは30歳で飲食業界へ。会社勤めをしながら酒や食関連の資格を取った潤子さんと結婚後、2004年、東京・千駄木に「SAKE&WINE tono;4122」をオープン。アメリカ・ワシントン州とオレゴン州、オーストラリアのワイン、厳選した日本酒や焼酎と、イタリア料理のペアリングを提供している。2020年には、ワシントン州、オレゴン州を対象としたワインの資格「Certified Specialist of PNW Wines」を夫婦そろって取得した。

 

1960年代から始まった「オレゴンワイン」

アメリカ西海岸、カリフォルニア州の北に位置するオレゴン州。この地を語るキーワードは、「ワインの女王」とも称されるピノ・ノワールだ。オレゴンは、フランスのブルゴーニュ、ニュージーランドのセントラル・オタゴと、「世界のピノ・ノワールの三大産地」として肩を並べている。

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

秋のオレゴンのブドウ畑

潤子さんはこう語る。「『ワインは気候風土と人が育む』と言われています。オレゴンワインは、それらが理想的にそろっているのです」

オレゴン州は、フランスの銘醸地ブルゴーニュやボルドーとほぼ同じ緯度に位置し、ワイン産地としては冷涼。この気候がピノ・ノワールや、ピノ・ノワールから変異して生まれた白ブドウのピノ・グリの生育に適している。西海岸ならではの地中海性気候で、夏の間は晴れが続きブドウがギュッと凝縮。主要な産地ウィラメット・ヴァレーはエリアによって土壌の特徴が様々で、複雑味のある多彩なブドウを生み出す。

こうした恵まれた気候風土はもちろん、「オレゴンワインは『人』を語らずしてその魅力を語ることはできません」と潤子さん。

オレゴンのワイン産業は、ウィラメット・ヴァレーに「ジ・アイリー・ヴィンヤーズ」のデイヴィッド・レット氏らが初めてピノ・ノワールを植樹した1965年から本格的に幕を開けた。その後、ワインへの夢と情熱を抱いた人たちが次々と入植。畑を開き、互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながらブドウ栽培とワイン造りに励んだ。

たゆまぬ努力はわずか十数年で実を結ぶ。1979年、フランスで行われたブラインドテイスティング大会で、「ジ・アイリー・ヴィンヤーズ」のピノ・ノワールがブルゴーニュの銘醸ワインを抑えて10位に。さらに翌80年には2位に食い込み、「オレゴン・ピノ・ノワール」の存在と実力を世界に知らしめた。

今やワイナリーの数は800近くに。多くは「ブティックワイナリー」と呼ばれる小規模の生産者で、それぞれがこだわりを持ってこの地を表現するワインを生み出す。一方で、ピノ・ノワールの「本家」ブルゴーニュの歴史ある造り手が次々とオレゴンにワイナリーを設け、ピノ・ノワールやピノ・グリの新たな可能性を追求している。

地元の人たちに愛される「地酒」っぽいワイン

たくさんの生産者たちが冒険と挑戦を続けるオレゴンで、外岡さん夫妻がイチオシするワイナリーが「ソーコル・ブロッサー」だ。

スタンフォード大学で学び、環境に興味を持ったソーコル・ブロッサー夫妻は、オレゴンの自然に魅せられ、創成期の1971年、ダンディー・ヒルズに初めてブドウを植樹。まさにこの地を切り開いたパイオニアの1軒だ。以来、家族経営で環境に配慮したサスイテナブルなブドウ栽培とワイン造りに取り組んできた。

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

2代目を担っているアレックス・ソーコル・ブロッサーさん(右)と、妹のアリソンさん

ワイナリーから出るゴミは細かく分別しリサイクルに回したり、施設や機材を洗った水は浄化してから排水したりと、実際にワイナリーを訪れたことのある潤子さんは、オレゴンの自然を大切にする姿勢に深く感銘を受けたという。

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ぶどう畑の脇に並ぶソーラーパネル。ワイナリーの電力をまかなっている

「オレゴンワインならではのエレガンスをまといつつ、この地の美しい自然をそのままボトルに詰めたようなピュアで力強い味わい。世界から称賛されるワインでありながら、オレゴンの人たちがオレゴンらしさを表現する、いい意味で『地酒』っぽさもこのワイナリーの大きな魅力です」(潤子さん)

地酒にはその土地で食されている食材が一番合う。オレゴンではサーモンが名物で、スギの板に打ち付けて直火で焼くワイルドなバーベキューはオレゴンっ子たちの大好物! ということで、聡一シェフ特製のサーモン料理と「ソーコル・ブロッサー」のピノ・グリ、そしてピノ・ノワールをペアリング!

「白ワインの『ソーコル ブロッサー ピノ グリ 2018年』には、低温でしっとりと仕上げたコンフィを合わせましょう」(聡一さん)

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

【サーモンのコンフィ(2人分)】

刺し身用サーモン(またはオーシャントラウト) 約120g2切れ
塩水(水200cc、塩10g)
オリーブオイル 100cc

付け合わせ(きのこのソテー)
しめじ、まいたけ 各100g(1パック)
ニンニク ひとかけ
バター 5g
オリーブオイル 小さじ1
白ワイン 大さじ1
生クリーム 100cc
塩・コショウ 各少々

バジルソース
バジル 5g
おろしニンニク(チューブでもOK)、塩・コショウ 各少々
粉チーズ 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ1
レモン汁 少々

作り方
1. サーモンを塩水に45分間、漬け込む。
2. の水気を拭き取り、ジッパー付きのビニール袋に入れオリーブオイルを加える。
3. 大きな鍋にたっぷりの水を張り、45℃まで温まったらゆっくりとを入れ、中の空気を押し出すようにしてジッパーを閉じる。温度を45℃に保ったまま1時間。

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

4. きのこソテーを作る。しめじとまいたけを食べやすい大きさにほぐし、オリーブオイルとバターを入れたフライパンで炒める。塩・コショウしてしんなりしてきたら白ワインを加え、水分が飛んだら生クリームを入れ少しとろみが出るまで加熱する。
5. バジルソースの材料を小さなミキサーなどで滑らかに。
6. を盛り付け、その上にオイルをペーパーでふき取ったサーモンを。皿にバジルソースを飾る。

サーモンは、火は通っているのにしっとり。口に含むとハラリとほどけ、なめらかな食感と優しいうまみが広がる。「ピノ・グリの洋ナシやシトラスなどの穏やかな香り、柔らかい酸味が、サーモンのうまみをふくよかに引き立てます。グリーンハーブのニュアンスが、バジルソースとも相性抜群!」と聡一さん。

ピノ・ノワールに合う、サーモンのロースト

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

メインディッシュもサーモンを使った一品、「サーモンのロースト」をご紹介。「同じサーモンときのこも、調理法や調味料を変えるだけでピノ・ノワールにぴったりの一皿になります」と聡一さん。今回は旬の秋鮭(あきさけ)を使って。

秋鮭に塩・コショウして10分ほど置き、表面に浮いてきた水分をペーパータオルなどでよく拭き取る。フライパンにオリーブオイルを引き、皮目を下にして並べ火をつけ、弱火で10~15分かけてゆっくりと加熱。身に触れてほんのりと温かくなったら火を止め、コショウを振り、フライパンの中の余分な油をペーパータオルなどで拭き取る。身を返し、余熱で火を通す。きのこのソテーとサーモンをお皿に盛りつけたら、煮詰めたバルサミコと白ゴマをまわりにあしらう。

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

きのこソテーは、コンフィの付け合わせと白ワインを入れるところまでは同じ工程。生クリームの代わりにバルサミコを半量まで煮詰めたもの少々と白ゴマを加えれば、赤ワインに合う味わいに仕上がる。

ペアリングするワインは「ソーコル ブロッサー ピノ ノワール ダンディ ヒルズ 2017年」

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

「カシスを思わせる果実の香りに、黒コショウやシナモンなどのスパイス感がアクセントに。ワインのリッチな味わいがカリッと焼き上げた秋鮭の皮の香ばしさ、ふっくらとした身のうまみを包み込み、バルサミコ風味のキノコの香り高さと互いを引き立てる。『赤ワイン=肉』と思いがちですが、オレゴン・ピノ・ノワールと優しく繊細なサーモンのエレガントなマリアージュ。ぜひおうちで体験してみてください!」(聡一さん)

海外旅行に行くことがなかなか難しい今。オレゴンの美しい大自然に思いをはせながら、その地ならではのワインと料理を楽しむ。旅するように、おうちでワイン。

「ソーコル ブロッサー ピノ グリ 2018年」 2950円(税別)

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「ソーコル ブロッサー ピノ ノワール ダンディ ヒルズ 2017年」 4800円(税別)

オレゴンの大自然が育むワインを、旬の秋鮭とともに

「ソーコル・ブロッサー」は、オレゴンワイン創成期から家族経営でワインを造り続け、1970年代にはすでに環境に優しいブドウ栽培とワイナリー経営に取り組み、この地の指導的な立場として業界を牽引してきた。

ワインのラベルには、ワイナリーの事務所の廃棄物をリサイクルした、漂白していない紙を使用。2005年、米国農務省の正式なオーガニック証明を受けた。

オルカ・インターナショナルのサイトで購入可能。

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PROFILE

中津海麻子

執筆テーマは「酒とワンコと男と女」。日本酒とワイン、それらにまつわる旅や食、ペット、人物インタビューなどを中心に取材する。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、ワイン専門誌「ワイン王国」、朝日新聞のブックサイト「好書好日」、同ペットサイト「sippo」などに寄稿。「&w」では「MUSIC TALK」を連載中。

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