おうちでワイン

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

アウトドアが気持ちのいい季節。換気や「密」をあまり気にしなくてもいいとあって、BBQ(バーベキュー)を楽しむ人も多いのでは? 今回は、ワインで楽しむBBQのコツを、レストラン、ワインショップ、醸造所を手がけ、最近ではBBQ場をプロデュースする藤丸智史さんがナビゲート。今夜早速やってみたくなる「おうちでワインでBBQ」の楽しみ方も伝授する。

今回のソムリエ
秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ
秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

 

藤丸智史(ふじまる・ともふみ)

株式会社パピーユ代表取締役、シニアソムリエ。ソムリエとしてレストラン勤務後、海外のワイナリーやレストランで研修。2006年、「ワインショップ FUJIMARU」を開店。2010年から耕作放棄地を中心にブドウ栽培をスタート、13年に大阪市内に都市型ワイナリー「島之内フジマル醸造所」、15年に東京に「清澄白河フジマル醸造所」をオープン。併設のレストランとともに人気を博す。現在、東京2店舗、大阪6店舗のワインショップやレストランを展開中。https://www.papilles.net/

 

コンパクトなグリルで、いつでもどこでも

自粛生活に入る前は、月に一度は仲間やスタッフとともに集まってBBQをしていたという藤丸さん。自宅のベランダや、趣味のサーフィンの後などに1人で炭をくべる「ぼっちBBQ」を堪能しているという。「僕にとってBBQは文字通り『日常茶飯事』なんです」と笑う。コンパクトなBBQグリルにちょっといい炭、アウトドア用のコンパクトなカセットコンロなどをバッグにまとめて常に車に積み、「いつでもどこでもBBQ!」。

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

藤丸さんのようなBBQを日ごろから楽しんでいる人はともかく、慣れていないと気合が入り、ガンガン火を起こして野菜も肉も一斉に焼いて、焼けた先からどんどん食べて……と、慌ただしいBBQになりがち。「ワインは時間をかけてゆっくり味わいたい。ワインBBQならスロースタイルがオススメです」と藤丸さん。

スローなBBQにオススメなのが、塊肉や大ぶりの肉。「単純に焼き上がるまでに時間がかかる。炭で焼けば、遠赤外線でじっくりじんわりと火が通り、驚くほどジューシーに仕上がります。肉が焼けるのをのんびりと待ちながら、野菜を焼いたり、スキレットなどで作ったほかの料理をつまんだりして、のんびりとワインを楽しむ。最高ですよ」

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

アウトドアのワインは季節に合わせて

アウトドアでワインを準備するコツは?

「春や夏は気温と火の影響でどうしても温度が上がってしまうので、ワインはキンキンに冷やして持っていきます。赤は冷やすと味がわかりにくくなりがちなので、繊細なタイプよりは、濃厚でしっかりとした味わいのワインがオススメです」

対して、秋から冬にかけては「ちょっといいワインを」と藤丸さん。この時期のBBQで、秘蔵のブルゴーニュなどを開けることがあるという。「場所にもよりますが、今の季節、特に赤ワインは、外気の気温で自然と『適温』になる。ワインを飲む人にもワイン自体にとっても、最高のシチュエーション。せっかくだからとっておきのいいワインを開けてみては?」

ワインBBQの秘訣(ひけつ)は?

「料理に合わせるというよりは、気候やシチュエーションに合うワインを選び、その上で料理を考える。それが僕のワインBBQのパターンです。季節にワインを合わせると自然と旬の食材にも合ってきます」

グッズにもこだわりが。藤丸さんが愛用しているのが木製のグラス。本来はコーヒーを飲むカップだが、ステム(脚)がないので安定感があり、形状もアウトドアでワインを楽しむのに最適という。

「ふっくらした形なのでワインの香りを楽しむことができるし、木は熱伝導率が低いので温度変化の影響を受けにくく、火の近くでもワインの温度が上がりすぎることもありません。何より、持ち運びの時も含めて割れる心配がまずない。プラスチックよりも質感がよく、自然素材なのでアウトドアのシチュエーションにピッタリです」(藤丸さん)

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

ベランダでお手軽BBQ!

さて、藤丸さんが日ごろから楽しんでいるのが「おうちでワインでBBQ」。自宅のベランダにお気に入りの「辞書サイズ」と表する小ぶりなBBQグリルをセットし、あれこれ焼いてはグラス片手におうち時間をゆるゆると満喫しているのだとか。

「家の食事って、あっという間に終わってしまう。それがさみしくて(笑)。のんびり食事をするのにおうちBBQは最適。たまに息子も付き合ってくれます」

おうちBBQも、やはり大きめの肉を焼くスロースタイルが基本。サーフィンの帰りに道の駅に立ち寄っては季節の食材を探すそうで、「魚の一夜干しとかもBBQグリルで焼きます」と藤丸さん。定番は、鶏のもも肉の丸ごと炭火焼き。「手に入りやすく、価格も手頃。それでいて、フライパンで焼くのとは一線を画す極上のおいしさが味わえる。一度やるとやみつきになります」

今回は、ひと手間加えた「タンドリーチキン」を。

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

大きめの鶏もも肉1枚、ショウガとニンニクのすりおろし(チューブでOK)、はちみつをいずれも人さし指の爪ほど、カレーパウダー大さじ1、無糖ヨーグルト大さじ3を、すべてポリ袋に入れ、30分~1時間ほど味をなじませる。「炭火を起こしている間に、いいあんばいになります」と藤丸さん。「鶏肉に切れ目を入れない、が唯一かつ最強のコツ。切れ目があると、そこから肉汁やうまみが抜けていってしまう。決して手抜きではなく、味をつけるだけでそのまま焼きましょう!」

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

大きな肉を焼くと愛用の小さなBBQグリルは肉に占拠されてしまうので、コンパクトなカセットコンロを準備。肉の焼き具合を眺めながら、隣でもう一品。藤丸さんの大好物は「砂ズリのコンフィ」。砂ズリは砂肝のことで、西日本を中心にそう呼ばれている。

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【砂ズリのコンフィ】

材料
砂ズリ(砂肝) 80g
メークイン 60g
ニンニク 1片
オリーブオイル 100ml
塩・コショウ 少々
ローリエ 1枚
ローズマリー 1本

作り方
1. 砂ズリは食べやすい大きさに切り、塩・コショウをもみ込む。
2. スキレットなど火にかけられる厚手の鍋や器に、、メークイン、つぶしたニンニク、ハーブ類を入れ、オリーブオイルを注ぐ。
3. 火にかけて、グツグツしてきたら5~10分ほどオイル煮にする。煮えた先からつまんでいく。

砂ズリとポテトを食べ終わってからもお楽しみが。「残ったオイルに野菜やキノコ類、バゲットをつけてオイルフォンデュに。いろんな食材が味わえてワインがどんどん進みます」(藤丸さん)

この2品はもちろん、さまざまなBBQシーンで活躍してくれるワインをセレクトしてもらった。

フランスの弱発泡性ワイン「ペティアン」

「最初はちょっとシュワっとしたさわやかなものが飲みたくなる。ペティアンを開けましょう」

ペティアンはフランス産の弱発泡性ワイン。主な産地ロワールでは、シュナン・ブランを使った白や、カベルネ・フランのロゼなどがある。優しい泡立ちが心地よく、さわやかな果実味、きれいな酸味、ミネラル感もあり、野菜料理にも合わせやすい。価格も1000円台からあり、気軽に楽しめる。

藤丸さんのお気に入りは「ガズゥイ」。ロワールの生産者、シルヴァン・マルティネズが手がける自然派のペティアンだ。

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

「ベランダなど外の空気の中で気持ちよく飲めるペティアンですが、深まる秋には少しコクのあるタイプを。『ガズゥイ』は熟した洋梨のニュアンスに、アジアンスパイスのようなオリエンタルな香りもたっぷり!  前菜系はもちろん、スパイシーなタンドリーチキンとの相性も抜群です」

ピュアでシンプルなブルゴーニュの赤を

中盤からは赤ワインを。「アウトドアでは果実味がきれいなシンプルなワインがいい。草や土の香り、炭の香ばしさなど、ワインに求める複雑さがアウトドアには全部そろっていますから」。そう話す藤丸さんのお気に入りは、シャントレーヴという造り手による「ブルゴーニュ・ピノ・ノワール」。日本人の女性醸造家が手がける、注目のブルゴーニュワインだ。

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

「フレッシュな赤い果実のアロマときれいな酸味が心地いい。ACブルゴーニュ(ブルゴーニュ地方の広域で栽培されたブドウをブレンドして造るワイン)なので、地域や村、畑などを特定するワインに比べると複雑さは劣りますが、そのピュアでシンプルな味わいがBBQにはむしろピッタリなのです」

最近はコンパクトながら炭火焼ができるグリルが様々なメーカーから売り出されている。家族で囲むのもよし、やってみるとおひとりさまBBQも悪くない。

秋はおうちで炭をくべながら、ワインでBBQ

「パチパチと静かに熱を放つ炭火を見ながら、ゆっくりと肉を焼き、ワインを楽しむ。おうちごはん、おうちワインにこそBBQをオススメします」と藤丸さん。

おうちでワインでBBQ。この秋のマイブームになりそうだ。

「ガズゥイ 2019年」シルヴァン・マルティネズ、3960円(税込み)

ロワールの小さな村シュメリエにあるワイナリーで、シルヴァン・マルティネズ氏が、自然環境を重んじ、SO2無添加で自然派ワインを造る。果実味とともにうまみがしっかりと感じられるペティアン。「カズゥイ」とは、幼児のカタコトや、さえずりという意味を持つ。

「ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2018年」シャントレーヴ、3170円(税込み)

「シャントレーヴ」は、醸造家の栗山朋子さんと、ブルゴーニュのドメーヌで醸造を担当していたパートナーのギヨーム・ボット氏が2010年ヴィンテージから始めた注目のメゾン。「ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2018年」は、フランボワーズやイチゴ、ブルーベリーなどの果実味が豊かで、アタックはしっかりしているもののピュアでチャーミングな味わい。コストパフォーマンスの高い一本。

ワインショップフジマルで購入可能。

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PROFILE

中津海麻子

執筆テーマは「酒とワンコと男と女」。日本酒とワイン、それらにまつわる旅や食、ペット、人物インタビューなどを中心に取材する。JALカード会員誌「AGORA」、同機内誌「SKYWARD」、ワイン専門誌「ワイン王国」、朝日新聞のブックサイト「好書好日」、同ペットサイト「sippo」などに寄稿。「&w」では「MUSIC TALK」を連載中。

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