朝日新聞ファッションニュース

コシノジュンコ×観世流 能とファッションショー、融合で新境地 

ファッションと伝統芸能である能が程よく溶けあう。コシノジュンコによる能装束での舞と、日本の美意識を表した洋服のショー。そんな舞台が9日、東京・銀座の観世能楽堂で開催された。

コシノジュンコ×観世流 能とファッションショー、融合で新境地 

コシノジュンコのショー

この「能+ファッション 継承される伝統と現代の融合」は、第1部がショーと能、第2部が能の演目「紅葉狩(もみじ・がり)」という構成。能では珍しい革やエナメルで仕立てたコシノの衣装で、風神雷神の舞などが披露された。観世流宗家の家元、観世清和は金箔(きん・ぱく)を使った織物の華やかな鬼装束で舞った。

ショーでは、コシノが「キモノと同格になるような洋服」として、松やカメの金色の裾模様入りのキモノドレスがずらりと並んだ。帯ベルトや振り袖を思わせるベルスリーブなど細部も和風。モデルは笛などのおはやしの強弱に合わせて、松の絵を背にそろりそろりと歩いた。プロジェクションマッピングによる演出も印象的だった。

今回の協業について観世清和は、「700年の歴史を持つ能楽は、現代の感性をもっと取り入れないとだめ。新しい衣装で、新境地に行ける。ただ、能とファッションの境界線をきちんと認識してやることが大事だと思った」。コシノのデザインについては「能衣装の規範を守りながら、シャープで斬新」とたたえた。

コシノジュンコ×観世流 能とファッションショー、融合で新境地 

コシノジュンコ作の装束で能「紅葉狩」を舞う観世清和

コシノは、「能と最新モードは対極にある世界。その伝統と歴史に出合い、尊敬することから始まった」という。また、コロナ禍で、今改めて、日本の伝統を見直す時期だとも。「今までの価値観が変わり、考え方を根本から見直す時期。これまで遠い外国ばかり見ていて目に入らなかったけれど、よく見たら目の前に素晴らしい物、お能があった」

能とファッションが融合することで双方の可能性の広がりだけでなく、和服の未来性まで感じさせる内容だった。

(編集委員・高橋牧子)

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