料理家・冷水希三子の何食べたい?

素材のおいしさ閉じ込める、青ネギとホタテのチヂミ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれるという夢の連載。今回は自宅でも本格的な味を出せるチヂミの作り方を教えていただきます。

     ◇

―― 冷水先生、こんにちは。今日も張り切って読者さんからのリクエストに応えていきたいと思います!

冷水 はい、今日も楽しみです。

―― 今回はピンポイントで食材をテーマにしたリクエストです。その食材とは……ずばりホタテです。

冷水 ほほう! どうしてまたホタテなんでしょう?

―― お便りによりますと、ホタテが好きでスーパーで新鮮なものを見つけると喜び勇んで購入するのですが、よくよく考えるとホタテフライくらいしかホタテが主役になるお料理が思いつかない……という。

冷水 言われてみれば……、そうかもしれませんね(笑)。

―― 単体でバター焼きとか野菜と一緒に炒めたりという手もありますが、ホタテってすぐに火が通ってしまって、ぼやっとしてるとギュッと縮んで硬くなってしまいますよね。

冷水 火加減は難しいですね。

―― その辺りもぜひ考慮して、あのプリプリ食感とうまみを生かせるお料理を、私もぜひ教えていただきたいです!

冷水 では……、チヂミなんてどうですか?

―― チヂミ! 恥ずかしながら自宅で作ったこと、ありません……。

冷水 特別な材料もいらないですし、すごく手軽なんですよ。衣をつけて揚げ焼きのようにするので、ホタテにじんわりと熱が伝わって硬くなりづらいんです。

素材のおいしさ閉じ込める、青ネギとホタテのチヂミ

材料はこれだけ。今回は九条ネギを使いました

―― おおお、それはありがたい。確かにホタテの天ぷらも中がいい感じでレアだと、すごくおいしいですよね。あれは衣があるおかげなんですね。

冷水 そうそう、天ぷらはおいしく作ろうと思うとちょっとコツがいりますけど、チヂミなら失敗する確率は限りなく低いですよ。

―― やる気が出てきました! ぜひよろしくお願いします。

冷水 じゃあ、まずはタレから作っていきましょう。

―― タレから手作りって、かっこいい!

冷水 ふふふ、でも切って混ぜるだけだから手軽なんです。ネギの白い部分をみじん切りにして、しょうゆと酢、韓国産の唐辛子粉を混ぜるだけで出来上がりです。

―― もし韓国産の唐辛子が手に入らない場合はどうしたらいいでしょうか?

冷水 一味唐辛子で代用できます。韓国産の唐辛子粉より辛みがあるので、分量は少し控えめにするといいと思います。

―― こんなに簡単にタレが作れるんですね。

素材のおいしさ閉じ込める、青ネギとホタテのチヂミ

衣液をつけたホタテをフライパンに並べていきます。衣液が少ないように見えますが、ちゃんと一枚の生地になるのでご安心を。ごま油は大さじ2とたっぷり引いて、揚げ焼きにしていきます

冷水 次は食材の下ごしらえです。今回は具材が二つ、青ネギとホタテのシンプルなチヂミです。青ネギは九条ネギや万能ネギを使ってもおいしいですよ。

―― あれ、結構ダイナミックに切るんですね!

冷水 はい! 青ネギは細かく切らずにざっくりと切って使います。フライパンの直径より少し短い長さに切ってください。ホタテの大きさは500円玉大くらいの生食用がいいと思います。プリッとした食感が味わえますよ。

―― わ~、立派なホタテですねぇ。あれ、せっかく肉厚なのに、半分の厚さにスライスしちゃうんですか?

冷水 あんまり分厚いと火が通りにくいので。半分の厚さでも十分プリプリ感は残りますし大丈夫ですよ。

―― 食材の下ごしらえは……切るだけ!? なんという手軽さ……(笑)。

冷水 次は衣液の準備です。ボウルに薄力粉と上新粉、塩、水を加えてよく混ぜます。以上!

―― え~!! 以上なんですか!? かなり手軽につくれますね。あ、ひとつ質問なのですが、上新粉って……なんですか?

冷水 上新粉は和菓子を作るときによく使われる、お米(うるち米)からできた粉です。なので、米粉を使っていただいても大丈夫ですよ。

素材のおいしさ閉じ込める、青ネギとホタテのチヂミ

続いて青ネギも同様に。こんなふうに束にして手に持ち、衣液にくぐらせてからホタテの上に置いていきます。余分な衣液を落とすのが軽い食べ心地の生地にするポイント

冷水 衣液ができたら、早速焼いていきましょう。フライパンにごま油を入れて熱します。揚げ焼きにしたいので、炒めものよりも油の量は多めです。衣液が入ったボウルにホタテを入れて衣液にくぐらせたら、フライパンに並べて焼いていきます。

―― ちょっと、待ってください! 私はてっきり具材を全部を衣液が入ったボウルに入れて、お好み焼きみたいに一気に焼くものだと思ってました……。だってチヂミって「韓国風お好み焼き」ですよね!?

冷水 おっしゃる通り、使う具材によってはお好み焼きのような工程で作ることもありますが、今回はホタテの食感やうまみを際立たせたいので、衣は少なめでいきたいなと思って。

―― へ~、なんだかチヂミって自由なんですね。

冷水 以前、韓国を旅行したときに食べたチヂミも、衣が軽やかですごくおいしかったんですよ。チヂミは薄力粉だけでも作れますが、今回、上新粉と混ぜたのも生地に軽さを出すためなんです。

―― すべてはホタテの存在感を守るため、ですね!

冷水 では、お料理に戻りますね。衣液をつけたホタテをフライパンに並べたら、その上に同じく衣液をまとわせたカットした青ネギをのせていきます。

―― おお……青ネギをボウルに突っ込んで衣液を絡ませ、そのままダイナミックにホタテの上にオン!

素材のおいしさ閉じ込める、青ネギとホタテのチヂミ

裏返すとこんな感じ。生地にほんのり焼き色がついていますが、中のホタテはちょうどいい火の通り具合です。この上からヘラなどをギュッと押し当て、生地をよりカリカリに仕上げます

冷水 はい(笑)。でもあんまりたくさん衣液が付いていると生地が重たくなってしまうので、余分な衣液を落としてからホタテにオンしてください(笑)。

―― じゅうじゅう~とおいしそうな音がたまりませんね。で、このあとはどうしたら……?

冷水 フライパン側の生地が固まってきたら、えいやっと裏返します。

―― おおお、ホタテと青ネギのミルフィーユや~!!

冷水 今度は青ネギが下になったので、こんがり焼いて仕上げましょう。途中、ヘラなどでギュッと押さえつけるとカリカリに仕上がっておいしいですよ。

―― この焦げ目、たまりませんね。

冷水 そうそう、フライパンから取り出したらすぐにお皿にのせず、網の上などに置いて油を切ってください。せっかくカリカリに仕上げた生地が油でベチャッとなってしまうので。

―― 大切なのは、最後まで気を抜かないこと、ですね!

冷水 さあ、油が切れたので、さっそく召し上がれ。

―― 外はカリカリで香ばしくて、中にはプリプリしたホタテのうまみが充満してます~! あと、上新粉を入れたおかげなのでしょうか、生地が少しもちっとしていて、クセになる食感ですね。

冷水 生地が重たいと、具材の味がぼんやりしてしまうこともあるので、ことホタテのような繊細な食材の場合は軽めの生地がおすすめです。

今日のレシピ

青ネギとホタテのチヂミ

◎材料(2枚分)直径24cmのフライパンを使用

青ネギ 1束
ホタテ 8個(500円玉くらいのもの)
薄力粉 120g
上新粉(米粉でも) 60g
水 240g
塩 2g
ごま油 大さじ4

A
白ネギみじん切り 10cm分
しょうゆ 大さじ2
酢 大さじ3
韓国産の唐辛子粉 2g

◎作り方

 青ネギをフライパンの直径より少し短い長さに切る。ホタテは半分の厚さにスライスする。
 の材料を混ぜ合わせてタレを作る。
 ボウルに薄力粉と上新粉と塩と水を加えて、よく混ぜる。
 のボウルに分量の半量分のホタテを入れて生地をつけ、ごま油大さじ2を引いて熱したフライパンにのせる。続けて分量の半量分の青ネギに生地を絡めてホタテの上にのせ、両面を焼く。
 両面がこんがり焼けたら、好みでのタレをかけて食べる。
※同じようにしてもう1枚焼きましょう。

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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)
 

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冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

素材のおいしさ閉じ込める、青ネギとホタテのチヂミ

料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

PROFILE

  • 小林百合子

    編集者
    1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

  • 関めぐみ(写真)

    写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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