クリトモのさかな歳時記

春に食べたくなる魚「サクラマス」

サクラマスのおいしい季節がやってきました。サクラマスはサケ科の生き物ですが、サケとは違う種類の魚です。河川に残る陸封型(河川残留型)だと「ヤマメ」、海に下って成長する降海型だと「マス」と分類されるのだとか。ちょっと説明が難しいです。でも、どちらもおいしいというのは一緒。曖昧(あいまい)でごめんなさいね。

さて、何がおいしいかって、やはりこの柔らかい身! 特に今回取り寄せたのは、山形県の川マス(※)。川マスは川を遡上(そじょう)しているので身が締まって脂の質も違うのだとか。漁獲量が少ないので高額で取引されている貴重なお魚です。1年に1度の贅沢(ぜいたく)品。ここは食べておかないと。

※山形では、産卵期を迎えて川を遡上して最上川河口付近で獲れたサクラマスを「川マス」と呼んでいる。

春に食べたくなる魚「サクラマス」

というわけで、今回の料理はサクラマスのバターソテー。バターソテーといっても普通のバターではなく、贅沢に発酵バターで。普通のバターと何が違うかというと、乳酸菌が入っているんですって(ネット検索結果)。味はコクがあるというか、うまく言えないけど、普通のバターを使うよりもおいしく仕上がりそう。サクラマスにあらかじめ軽く塩をして半日ほどおいて、発酵バターでゆっくり弱火でソテー。このとき、最初に皮目から焼くこと。川の魚は皮目からっていいますからね。

好みの焼き加減まで焼いたら、サクラマスをフライパンから取り出し、残った油にしょうゆとみりん少々を入れて煮詰めます。そうすると甘めのバターしょうゆソースが出来上がります。これをサケにかけて、春らしく花山椒(はなさんしょう)をぱらっと。なんて贅沢!

花山椒はとても高価なものだけど、ここ最近値段が下がってきました。食べられる期間はとても短いので、旬を楽しむ食材としては最高です。

春に食べたくなる魚「サクラマス」

もうね、サクラマスの油とバター、花山椒の香りが合わさって、口の中は春真っ盛りです。こんな一切れ、速攻で完食してしまいました。ああ、もっとゆっくり食べればよかったな。

PROFILE

栗原友

料理家
1975年生まれ、東京都出身。料理家。母は料理家の栗原はるみさん、父は元キャスターの故栗原玲児さん。弟の心平さんも料理家。37歳で築地の水産会社に飛び込み、魚料理についてつづった&wの連載コラム「クリトモのさかな道」が、『クリトモのさかな道:築地が教えてくれた魚の楽しみ方』(朝日新聞出版)として出版されている。現在、目黒の飲食店「クリトモ式混ぜ麺」「クリトモ式ツナマヨ混ぜカレー」、築地の鮮魚店「クリトモ商店」を営む傍ら、コンサルティングやメニュー開発などで活躍中。

食べそびれる前にイイダコを

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