東京の家族写真

古くて新しい、家族で写真を共有する時間 蛯原英里さん×大平一枝さん[PR]

  • 写真 松嶋 愛
  • 2017年5月24日

 かつて多くの家庭の真ん中にあった、分厚い写真のアルバム。棚から出しては家族と一緒にめくっていたのに、いつのまにかそんな習慣を失っていたという人も多いのではないでしょうか。デジタル時代、写真を気軽にたくさん撮れるようになったものの、スマホの中にたまる一方。SNSでシェアしても、家族など身近な人と共有することが少なくなってしまいました。

 家族にとって写真とは――? &wでは人気連載「東京の台所」のライター・大平一枝さんが4組の家族を取材、スピンオフ企画「東京の家族写真」で家族と写真の物語をつづってきました。ベビーマッサージの講師として活躍し、2歳の子のお母さんでもある蛯原英里さんも、取材させていただいたお一人です。

 本企画を記念し、5月13日(土)、蛯原英里さんと大平一枝さんによるトークショー「東京の家族写真ダイアローグpresented by おもいでばこ」(協賛:バッファロー)を、東京・渋谷区の朝日新聞社メディアラボ分室で開催しました。その模様をお届けします。

蛯原英里さん(左)と大平一枝さん

宮崎に帰るたびにめくるアルバム

大平一枝 英里さんに取材させていただくにあたり、まず宮崎のご実家におじゃまして、お母さまにお目にかかったんです。しっかりとていねいにアルバムにとっていらっしゃる様子を拝見してきました。お母さまは「英里も双子の姉も、それぞれ結婚する人を連れてきて、夜遅くまでアルバムを見せていた。二人ともまったく同じ行動でおもしろいわね」とおっしゃって。

蛯原英里 赤ちゃんのときから姉と一緒に写っているので、どっちがどっちというような当てっこクイズをやっていましたね。今でも宮崎に帰ると、必ずと言っていいほどアルバムを見返しています。

大平 お母さまがよく子育てしながら、まめにアルバムをまとめていらっしゃったんだなと感心しました。じつは今日、ご実家からお預かりしてきたアルバムを持っているんです。英里さんがご自分で編集したアルバムです。(会場に向かって)みなさん、この分厚くて重い感じ、なつかしくないですか?

蛯原 小中学生くらいのときに、このアルバムがはやったんですよね。けろけろけろっぴとキティちゃんがあって、私はけろっぴ、姉はキティちゃんにしました。

大平 ちょっと中を見せてもらっていいですか?

蛯原 これは家族でえびの高原を旅行した途中で撮った写真ですね。真ん中が父です。

  

蛯原 これは小学校4年のときの夜間ハイクですね。あったかいお茶を水筒に入れて、母の手作りの手袋をして、学校の友だちと歩きました。中間地点で待っている豚汁のために頑張って歩いた、そんな記憶がありますね。夏の子ども会で、プールの近くでバーベキューしたときの写真も。私、このときが一番髪が短かったですね。

大平 わー、かわいい!よく日焼けしていますね。

蛯原 はい。水泳をやっていたので。

大平 九州代表で水泳大会に出場したそうですね。

蛯原 写真と一緒に、そのとき何位だったかとかが書かれた新聞の切り抜きも貼ったりしています。びりっと破れているところもあって、これはおそらく姉か弟とけんかしたときにやってしまったんですね。そういうことも含め、アルバムには思い出がつまっています。

  

今が一番小さい。だから、この瞬間を大切に

大平 私は「東京の台所」という連載で様々な台所を訪ね歩いて、住む人の価値観や生きてきた道のりを取材しながら写真もたくさん撮っているんですが、英里さんは月に2千枚も撮っているそうですね。

蛯原 はい。なにかイベントがあったりすると月に3千~4千枚になっちゃうこともあります。動画も撮っています。

大平 英里さんを取材したときのお話の中で、強く印象に残ったエピソードがあるんです。生まれたばかりの赤ちゃんを、お母さんや遠くから駆けつけただんなさんのご両親が囲む様子の動画をあとで見たとき、とてもうれしかったというお話。普通だったら、自分の赤ちゃんばかり見てしまいますよね。でも英里さんは、周りのご家族の表情を見て「こんなに喜ばれたんだと感動した」って。

蛯原 そのときは自分のことで必死だったんですけど、あとで動画で見て、この子はこんなに待たれて生まれてきたんだと思いましたね。うれしい気持ちは、私だけでなく、みんなも同じなんだなと。

大平 その後、子育ての最初の4カ月はつらかったんですよね。

蛯原 生まれて3、4カ月の頃、夜中に何度も起きて授乳したりするのがつらかったですね。でもある日、ふとソファに座って「おもいでばこ」にためてきた写真や動画を見返していたら、生まれたばかりの娘がもっと小さくて、か細い声で泣いていて、「今もこうやって目の前で泣いているけれど、確実に成長しているんだと気づいたんです。今が一番小さい。だからこの瞬間を大切にしなければと思いました。月に2千枚なんて、撮りすぎですよね(笑)。でも、私にとっては秒単位で変わる表情が、かけがえのないもの。二度と味わえない瞬間を撮ろうと思っています。

大平 いつ写真を眺めるんですか?

蛯原 夜、娘が寝たあとですね。ふつう「映画でも見ようか?」というところを、うちの場合は「『おもいでばこ』を見ようか」と。写真で夫婦の会話がはずみまくって、1、2時間くらいそれで話しちゃうこともありますね。何かに行き詰まったときも、写真を見返しているうちに「まあいいや」って思えたり。

  

なにげない輝く一瞬をとらえた写真

大平 宮崎のご実家にうかがったとき和室に飾ってあった1枚の写真が忘れられません。麦わら帽子をかぶって、野良仕事の最中の、ぜんぜんおしゃれしていないんだけど、とびきりの笑顔のおばあちゃんの姿。

蛯原 大平さんは、おばあちゃんが亡くなった直後に取材に行かれたんですよね。

大平 なにげない輝く一瞬をとらえた写真だなと思いました。そしてこれを撮ったご家族は、おばあちゃんのことが本当に大好きだったんだなあと。「こういう1カットを大事にするおうちのお子さんなんだ、英里さんは」と思ったら、もうお会いする前にどんな方かわかった、というか……。

蛯原 これは、一番ばあちゃんらしい普段の姿ですね。ずっと元気でぴんぴんして畑に行っていました。

  

みんなで写真を見て、振り返る時代が戻ってくる

大平 写真に記録するということの意味、英里さんはどう思いますか?

蛯原 母が子育てをした時代は、当たり外れがある写真を現像して1枚ずつアルバムに貼っていたのに対して、私の時代はたくさん撮ってデータでおさめられるようになった。母ほどアルバムというものを作っていないんですけど、家族で写真を見返しながら話をしたり、娘に「このときはこうだったんだよ」なんて言いながら眺めるのっていいことだなと改めて思いました。

大平 「おもいでばこ」は新しいツールのように見えるけれど、じつはみんなで分厚いアルバムを眺めていたあの時代が戻ってくるように思いました。「絆を確かめる」というほどの気持ちでもないけれど、振り返り、過ごしてきた時間がよかったことを確認する時間が。

蛯原 子ども、親、おじいちゃんおばあちゃんまで、みんなで一緒に写真を楽しみたいですね。

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「おもいでばこ」が、家族のコミュニケーションのきっかけに

 スマホ・デジカメなどの写真や動画を取り込んで、瞬時に自動整理、リビングのテレビや手元のスマホなどで身近な人と自由に楽しむ時間を提供するデジタル・フォトアルバム「おもいでばこ」。イベントの後半では、バッファローのプロモーション担当・竹内優さんと広報の小粥(おがい)麗香さんから、製品にまつわる話がありました。

 「当社はパソコン周辺機器で知られるメーカーですが、たくさん写真を撮る時代になり、増え続けるデータをどう整理したらいいのか誰もが悩む時代がいつかやってくると思っていました。その問題を解決できないかと考え続け、ご提供しているのが『おもいでばこ』です」「フィルムの時代は、撮った写真は撮った人のものではなかった。現像したものを一緒に確かめる、家族の時間がありましたよね。写真をきっかけとした、そんな家族の時間や空間をもう一度作りたいと思いました」と、竹内さん。

 子育て中の小粥さんは、自身が撮った写真や動画を披露しながら、実体験を交えて語りました。

 「育児休業中は、一人で子どもと格闘する日々でした。でも、『おもいでばこ』を夫と一緒に見る時間を持つことで、その大変さをわかってもらい、コミュニケーションに役立ちましたね。子どもが初めて外を歩いたよちよち歩きの様子を動画に撮りましたが、こんなふうに動画と写真を等しく表示できるのも、『おもいでばこ』のよさです」

 また、写真をランダム表示して、その写真を中心に前後に撮った写真を表示する機能も説明。「忘れていた写真が表示されることがあります。なにげなく撮った1枚から、記憶がよみがえってくることもありますよ」

バッファローの小粥麗香さん(左)と竹内優さん

蛯原さん、大平さんを囲んで記念撮影

「おもいでばこ」ホームページはこちらhttp://omoidebako.jp/

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