朝日新聞ファッションニュース

英国調 色を着る秋

  • 2017年8月21日
  • [1]赤(マックスマーラ)=大原広和氏撮影

  • [2]ピンク(ヴァレンティノ)=大原広和氏撮影

  • [3]英国調(ソニア・リキエル)=大原広和氏撮影

  • [4]ワイン、英国調、ショッパーバッグ(バレンシアガ)=大原広和氏撮影

  • [5]ビクトリアン調(ブルーガール)=大原広和氏撮影

  • [6]エコファー(ミュウミュウ)=大原広和氏撮影

  • [7]レトロ柄フェミニンスカート&ブーツ(イザベル・マラン)=大原広和氏撮影

  • [8]ジーンズ・イン・ブーツ(サンローラン)=大原広和氏撮影

  • [9]ラルディーニ

  • [10]ジョセフ・チーニー

  • [11]バブアー

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 そろそろ秋の身支度の季節。今年秋冬のトレンドは、レディース、メンズ共に穏やかで正統派の英国調が注目されている。レディースでは明るい色使いやフェミニンなスタイルが復活。軽さや着やすさといった機能性により配慮しているのも今季の特徴だ。

今季トレンド、明るさ復活

 この秋は、久しぶりに色を着よう。レディースで主流になりそうなのは、英国風のチェック柄を含めて、深みのある赤や黄など明るめの色。その色の取り入れ方は、これまでのように差し色としてではなく、広い面積でまさに「色を着る」といった感覚である点が新しい。

 服の形やオーバーサイズ気味のシルエットに大きな変化はないが、「フィット&フレア」など女性らしいと言われるシルエットが多い。この夏に流行中の、きれいな赤や緑などのプリーツやフレアスカート(通称「ど派手スカート」)で色を着る傾向が、この秋冬はさらに様々なアイテムに波及していきそうなのだ。

 なかでも、多くのブランドが一押ししているのが、こっくりとした赤。コートからニット、ボトムなどたくさんのデザインが提案されている=[写真1]。

 ほかに、ワインカラーやマスタード、深緑も。ピンクは、薄く粉っぽいタイプから鮮やかなフクシャピンクまで=[2]。

 注目の英国調は、キルトスカートなどずばりそれらしいアイテムより、タータンなどのチェック柄の軽いシャツやタイトスカート、チェック柄のパッチワークなどでさりげなく取り入れるのが今年風=[3][4]。

 同じ英国調として、ビクトリアンブラウス風の繊細なフリル付きの立ち襟もロマンチックで新鮮=[5]。首元にフリルやリボンがつき、顔を引き立てるようなデザインが印象的だ。

ベロアが旬・ブーツ多様に

 素材で人気になりそうなのが、ベロア。ウェアから靴、バッグでも使われていて、レトロな印象と毛羽立った感触にほっとしそう。こちらも黒やグレーなどベーシックな色ではなく、今年らしい明るい色が旬だ。

 同じ毛羽立った素材では、ファーも。動物の毛皮ではなく、特殊な加工でファーのように見せた「エコファー」=[6]が増えている。

 コートのトレンドは長くゆったりとしたシルエット。この秋はコートやシャツ、ニットなどは脇にスリットが入り、色や柄の重ね着を楽しめそうな物がたくさんある。パンツはハイウエストでやや太めの傾向が継続しそうだ。バッグは、買い物袋風のショッパーバッグが目新しい。

 バーニーズジャパンの鈴木春ファッションディレクターは、「この秋は、足元が大きく変化するのでは」と予測する。これまでのスニーカーやスリッパ調の低く平たい靴から、ひざ上から足首までの多様なブーツへ。そんなブーツをひざ下丈のスカートなどに合わせる=[7]。デニムのパンツも今季は裾をブーツに入れる=[8]だけで、ボトムのバランスはオーケーだという。

 最近は、人々の生活スタイルが多様化してトレンドも細分化し、ビッグトレンドが出なくなったといわれている。ファッション消費への興味も希薄になりつつあるとの声もある。そんな中で、欧米の17年秋冬コレクションでは多くのデザイナーが、性差や肌の色、地域などによる不平等や排外主義に異を唱えたり、平和へのメッセージを発したりした。

 価格的にも納得がいき、しかも、単にかわいいとかきれいとかではなく、着る意味がどこかに感じられるような服が求められ始めているのではないか。鈴木ディレクターは「たとえば、デニムやシャツなどよく着る“自分のスタンダードアイテム”だけでもトレンドをちょっと取り入れて、アップデートしていけばいいのでは」と語る。

(編集委員・高橋牧子)

メンズはクラシック回帰、着心地軽く

 メンズも英国調が秋冬トレンドを席巻しそうだ。近年、スーツスタイルは「クラシック回帰」が進む。パンツはピッタリから太めに、ジャケット丈も短めから長めに。襟付きベストや丸みのある靴など、英国伝統のディテールを表現したアイテムがそろっている。

 イタリアのブランドラルディーニ=[9]は、英国の紅葉を思わせるブラウンを基調色に掲げた。英国クラシックは重厚な生地が特徴だが、英国調のチェックやストライプは用いつつも、生地は軽さを保った。柔らかな着心地にするため、ジャージー素材を用いたものもある。

 足元はシンプルな革靴が合う。例えばジョセフ・チーニーのアルフレッド=[10]。英国の職人が1足に8週間もかけて作る。丸みのあるつま先には、直線のデザインを施すストレートチップ。靴ひもの部分が甲と一体化する内羽根式で、定番の美しさが際立つ。

 決めすぎを避けるには、英国のバブアー=[11]のスポーツテイストを混ぜるのも手だ。乗馬用に開発したジャケットをスーツに羽織れば、より「軽さ」を演出できる。ベーシックなキルティングジャケットもあり、今季の英国トレンドでも注目のアイテムがそろう。

 なぜ英国調なのか。ファッションディレクターの森岡弘さんは「楽さを求めるイタリアのスーツと違い、背筋の伸びた紳士に見える。不安定な時代なので、正統性が求められているのだろう」と話す。着こなすポイントは引き算。「英国調のディテールを盛り込みすぎると、かえってコスプレのようになりかねない。バランスが大切です」

(高津祐典)

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