花のない花屋

大嫌いだった姉へ、はじめてエールを送りたい

  • 花 東信、写真 椎木俊介
  • 2018年2月8日

  

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〈依頼人プロフィール〉
加藤良子さん 33歳 女性
兵庫県在住
デザイナー

    ◇

 4歳上の姉がいます。小さい頃からどこへ行っても「よくできる姉とその妹」という扱いをされ、私は親の敷いたレールの上をまっすぐ歩く姉が大嫌いでした。

「完全に雪解けしたなあ……」と感じたのは、私が社会人3年目を迎えた25歳くらいのこと。距離的にも離れていて職種も違いましたが、仕事で落ち込んだときなどによく姉に電話をしました。どんな親友よりも長い時間、自分の素直な気持ちを話すことができ、「結局一番自分を理解してくれるのは姉なのだ」と気づいたのです。逆に、真夜中に姉の恋愛相談に付き合い、姉が泣かないようにと必死にあれこれ話したこともあります。毎日2時間ほど電話していた時期もありました。

 そんな姉が昨年の夏に結婚し、年末に待望の第一子を出産しました。親は、最初は「順番が違う!」と大絶叫して怒っていましたが、私はその知らせを聞いて本当にうれしかったです。

  思えば、卒業式も成人式も、社会人初日のときも、私の一方的な反抗心と嫉妬心から、一度も姉にエールを送ったことはありません。私は節目ごとに姉から万年筆や名刺入れなどプレゼントされていたのに……。そこで、出産のお祝いに、冬を彩る明るい花束を作ってもらえないでしょうか。

  姉は歯科衛生士で、趣味でよくパンを作っています。オレンジや黄色が大好きで、結婚式のときはヒマワリをたくさん使いました。また、子どもの名前は「柚衣 (ゆい)」といいますが、姉は「子どもの名前に季節の色をつけたい」という思いから、冬至でも使われる“柚子”の“柚”をとったそうです。緑色のつぼみから白い花を咲かせ、黄色い実をつける柚子は“健康の象徴”でもあるそうです。ぜひ、黄色やオレンジをベースに愛らしい花束をお願いします。

花のない花屋

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PROFILE

東信(あずま・まこと)フラワーアーティスト

写真

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。http://azumamakoto.com

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