朝日新聞ファッションニュース

未来も自由をこの手に 18年秋冬ミラノ・コレクション

  • 2018年3月12日

プラダ

18年秋冬ミラノ・コレクション

 2月下旬に開かれた2018年秋冬ミラノ・コレクションは、ネオンカラーや光沢のある素材で、SFのような近未来的な要素を打ち出すブランドが目立った。1960~70年代のヒッピーのような自由な感覚の重ね着やビッグシルエットと融合させ、独自のスタイルを競った。

SFテイスト×60~70年代風

 物議をかもしたのはグッチだった。テーマは「サイボーグ」で、近未来の視点を打ち出した。会場にはSF映画を思わせる無機質な手術台が置かれ、モデルは自分の顔とそっくりの“生首”をクラッチバッグ風に脇に抱えたり、生きているようなリトルドラゴンの模型を抱いていたり。額に第3の目をつけたモデルも。

グッチ

 スタイル自体はビンテージ調やスポーツの要素、刺繍(ししゅう)などの手仕事のミックスで、これまでと印象は変わらない。だが、ショッキングな演出は賛否両論を呼んだ。

 地元紙によると、ミラノの大御所ジョルジオ・アルマーニは、「やりすぎの演出抜きで、服自体に語らせることが重要」といった趣旨の言葉で暗に批判したという。とはいえ、賛美歌調の音楽もあいまって、人間も動物もサイボーグさえもみな平等なのだ、というメッセージはショーから伝わった。

 プラダは、会場の外にネオンサインを輝かせ、作品に蛍光色を満載した。パーカなどのスポーツウェアに透けるチュールを重ねてフェミニンに。素材と色と大きなシルエットで、未来的な印象を作った。ナイロンなどで日本製の素材がたくさん使われているという。

(左)モスキーノ(右)ドルチェ&ガッバーナ

 ドルチェ&ガッバーナは、「テクノロジーとファッションを融合させる新しい方法」として、バッグを運ぶドローンをランウェーに登場させた。その後、人間のモデルが、天使の柄のドレスなどでファッションの楽しさをアピールした。

 タイムトンネル風のランウェーに、60年代のジャクリーン・ケネディ元米国大統領夫人そっくりのモデルにカラフルなスーツを着せたのは、モスキーノ。完璧な人形風メイクや、青や黄色に染めた肌が人造人間のように見えた。

 今、なぜ「フューチャリスティック(未来的)」なのか。急速に進化するテクノロジーに対し、どこか畏怖(いふ)を感じながらも、関わり方を模索する。IT社会の中で、何よりファッションは人に「生」の実感をもたらすものであるはず――。そんな作り手たちの思いが感じられた。

(左)マルニヴェル(中央)ヴェルサーチ(右)ミッソーニ

 一方、性差や国籍などによる不平等や排外主義に対し、メッセージを発する動きがさらに広がった。

 今季はアフリカ系のモデルの起用が目立ち、ミッソーニのように冒頭から褐色の肌のモデルを登場させたブランドもあった。音楽はレゲエ。赤、黄、緑のラスタカラーの70年代調ニットドレスからは、自由や平等を求める強いエネルギーが感じられた。

 反抗の表現か、パンクスタイルも目に付き、ヴェルサーチは可愛らしくパンクを表現した。

 マルニの会場の客席は束にした古着や古新聞。服は半身ずつ合体したコートや、つぎはぎをしたようなドレスが並んだ。今はゴミでも、以前は生活に必要だった物。女性たち一人ひとりの生活や個性にスポットを当てたいとの思いがあったからだという。

 服でどう社会性を表現するのか。「トレンド発信のミラノ」が、単なるスタイルの打ち出しではなく、社会の課題に真剣に向き合おうとしていることは確実な変化だ。

(左)アニオナ(右)サルヴァトーレ・フェラガモ

 派手さはないが、フェミニンで旬のバランス感覚を表現した上質な服も目立った。サルヴァトーレ・フェラガモアニオナなど、知的な印象をもたらす茶系や、深みのある青や緑を効果的に使うブランドが多かった。

(左)フェンディ(右)ジョルジオ・アルマーニ

 ジョルジオ・アルマーニはピンクや淡いグレーを生かしたロマンチックなスタイル。フェンディは茶系やグレーを品良くミックスし、箱形のケープを合わせてみせた。(編集委員・高橋牧子)

 <写真は大原広和氏撮影>

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