花のない花屋

帰省の度に顔を出すのが恒例!! 人生初の“アルバイト代”をくれた近所のおばちゃんへ

  • 花 東信、写真 椎木俊介
  • 2018年6月14日

  

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〈依頼人プロフィール〉
児玉さやかさん 38歳 女性
千葉県在住
フリーランス翻訳家

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 近所に住んでいたSおばちゃんは、血のつながりこそありませんが、私にとっては実の祖母よりも身近な存在です。

 うちは共働きだったので、保育園が終わった後は夕方までSおばちゃんの家で面倒をみてもらっていました。おばちゃんのやわらかい笑顔、出してもらうおやつ、水遊びの時間……そこは私にとってのオアシスでした。さらに、同い年の孫娘もいて、彼女と一緒に遊べたのも楽しさを倍増させてくれました。シイタケ採りのお手伝いをして、人生初めての“アルバイト代”をくれたのもおばちゃんです。

 大学進学を機に上京してからも、帰省の度に顔を出すのが恒例となり、はや20年が経ちます。私も手みやげを渡す年齢になり、「もう働きよるし、おばちゃんに合えたら何もいらんよ」と言っても、「ちょっと今現金がないけん、あとでおろして来らい。何日までおるん?」とお小遣いをくれました。

 でも今年のはじめ、家を訪ねたら息子さんしかおらず、聞けば「脳出血で倒れて入院したんよ」とのこと。病院は面会謝絶で会うこともできず、90歳近い高齢でもあり、もうお別れを覚悟しなければいけないのか……と悔しい思いで故郷をあとにしました。

 ところが先日、息子さんから無事退院したとの連絡が。もともと卓球をしたり、80代で四国遍路に出たりと健脚で、地域の川柳会に参加するなど社交的でもあったので、おばちゃんの生命力が粘りを見せてくれたのでしょう。

 入院中はお花を贈ろうかどうか躊躇していましたが、自宅に戻った今、ぜひ東さんのお花を届け、少しでも元気になってもらいたいです。これからもまだまだ長生きしようと思えるような、希望を感じられるお花を作っていただけないでしょうか。

 おばちゃんは、控えめながらも明るく朗らかな性格で、孫や近所の子どもたちの世話をしたり、公民会の手伝いもしていました。

 今は自宅療養中で、介護をされている息子さんも具合があまりよくありません。なので、あまり手がかからず、長持ちするアレンジだとうれしいです。

 おばちゃんのイメージは控えめだけどやさしい「かすみ草」や、素朴で明るい「菜の花」。紫やピンクなどの優しい色に、黄色などをちょっぴりさしていただけると元気がでるかなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

花のない花屋

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PROFILE

東信(あずま・まこと)フラワーアーティスト

写真

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。http://azumamakoto.com

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