新テストにおけるリスクマネジメント ~SAPIX YOZEMI GROUP代表~[PR]

  • 2018年6月19日

新しいチャレンジに失敗はつきもの。リスクマネジメントの重要性

髙宮敏郎・SAPIX YOZEMI GROUP 共同代表

 大学入試センター試験に英語リスニングが導入された2006年、再生機器の不具合などが全国で437件ありました。数百人もの受験生に影響したとして当時はかなりの批判がありましたが、割合でいえば、事故率は0.1%です。それから10年以上が経過した近年は、この値が0.01%近くまで下がっています。つまり、現行の入試制度は99.99%の安全運行をしている信頼性の高いシステムということです。しかし2020年度からの大学入試改革によって、トラブルの確率は確実に上がるでしょう。

 もちろん、リスクがあるから悪いということではありません。新しいチャレンジに失敗はつきものですし、思考力・判断力・表現力を問う問題に、という新テストのめざす方向自体は間違っていないと思うからです。しかし私が知る限り、事故を何件以内に抑えることを目標とするのか、何%以内なら初年度としては許容範囲なのか、具体的に話し合われた形跡はありません。事故ゼロというのは精神論であって、実際に事故は必ず起こると考えるべきです。

 新テストのポイントは主に三つあります。第一に、思考力を問う新傾向の問題。第二に記述式問題。第三に英語4技能試験です。新傾向の問題については今春のセンター試験地理でムーミンに関する出題が議論を呼んだように、学術的な厳密性が保証されない可能性があります。記述式問題はそれほど高度な内容にはならないと思いますが、解答形式への慣れは不可欠です。そして4技能試験については、さらに多くの懸念材料があります。

 新テストの受験生は、高校3年の4月から12月までの間にGTEC、TEAP、TOEFL iBTなどの民間試験のいずれかを受験し、そのうち2回までの成績を大学入試に活用できるというのが新制度の骨格です。しかし、もしも12月間近になって運営者のキャパシティーを超える受験生が殺到した場合、希望の試験を受けられない可能性があります。「2回まで活用できる」とはいうものの、全員に2回以上の受験機会が約束されるかどうかは未知数です。その他にも、どの試験を利用するかで不公平は生じないのか、タブレットなどの機器や採点者が十分に確保できるのか、英語成績提供システムの構築が間に合うのか、さまざまな不安があります。

 受験生としては、リスクがあるという前提で自衛策を考えておくしかありません。新傾向の出題に対しては、基礎学習をしっかりやっておくことが一番の対策になります。記述問題については、模試などを利用して形式に慣れておくことが大切です。そして4技能試験については、高校3年のなるべく早い時期に受験するよう心がけてください。そのためには4月になってから慌てるのではなく、高校1年、2年のうちからそれを見越して学習や部活動などのスケジュールを組み立てておく必要があります。新テストはリスクマネジメントの戦い。それを念頭に置いて、しっかりと準備をしてください。(談)

    ◇

〈髙宮氏プロフィール〉
SAPIX YOZEMI GROUP
髙宮敏郎 共同代表
1974年生まれ。97年慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社。2000年4月、学校法人高宮学園に入職。同年9月から米国ペンシルベニア大学で大学経営学の博士号を取得。04年12月帰国後、同学園の財務統括責任者として従事し、09年から現職。

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