川島蓉子のひとむすび

<47>新しいサラダと、いちじく好きの口福。福田里香さん(前編)

  • 川島蓉子
  • 2018年8月1日

小さい頃からお菓子好きで、本棚には愛読してきた“お菓子本”が何冊か並んでいます。そのひとつが、菓子研究家の福田里香さんの本――季節の果物をふんだんに使ったレシピもさることながら、お菓子を入れる器、盛りつけ方、ギフトにする時のラッピングなど、さりげなくてセンスがいいと、つい見入ってしまうのです。

笑顔がキュートな福田里香さん。さっぱりした語り口のおしゃべりが楽しい

里香さんにお会いしたのは、かれこれ10年以上も前のこと。気さくさと繊細さ、さっぱりした感じとシャイな感じが同居している。チャーミングなキャラクターに惹(ひ)かれ、何度かお仕事もご一緒しました。

最近、里香さんが出した本は『新しいサラダ』(KADOKAWA)と『いちじく好きのためのレシピ』(文化出版局)です。ページを開くと、お菓子だけでなくお料理の数々も――カラフルな色使いやキュートな造作がちりばめられていて、お菓子が持っている楽しさが息づいている。里香さんらしさが詰まっていると感じました。今回、久しぶりに、お菓子のあれこれ、暮らしのあれこれについて、聞いてみました。

里香さんがご自宅で作ってくれた、2種類のサラダ

ブルーベリーとカリフラワーという意外な組み合わせがおいしい

取材にうかがったご自宅で、里香さんは2種類のサラダを作ってくれました。
ひとつは「ブルーベリーのカリフラワーよごし」。26℃で固まるココナツオイルの性質を生かし、みじん切りにしたカリフラワーの花芽をココナツオイルであえ、ブルーベリーにまぶして冷やした一品です。口に入れると、ブルーベリーのぷちっとした歯触りとカリフラワーのぶつぶつした触感を、とろりと溶けたココナツオイルがつなぎ、甘みが一層引き立っています。

みずみずしいいちじくもサラダの主役に

もうひとつは、「桃といちじくのカプレーゼ」。まず桃はナイフで切り分けてボールに、いちじくは皮をむいてから、手で適当な大きさに割って別のボールに。「いちじくはもろいので、半分に割ってから、内側のツブツブ部分を表に返すように押して、手でほぐすといいんです」と里香さん。それぞれを、オリーブ油、レモン果汁とビネガーであえます。いちじくとチーズは相性が抜群で、桃の代わりにプラムやすいかにしてもおいしいと教えてもらい、思いもつかない組み合わせだけど、里香さんのお薦めならやってみようと思いました。

彩り豊かで、豪華な一品に。みんなで囲んでワイワイいただけそうです

そして盛り付けです。ここで登場したのは、オーバル型の白いお皿。中央にまず桃を並べ、その上にいちじくを盛りつけるのですが、いちじくのピンクの面が出るように並べるのがポイント。その上に手で割いたモッツァレラチーズをのせて、塩・こしょうを。その両脇に「ブルーベリーのカリフラワーよごし」を添えてできあがりです。

こういった一連の工程が、あらかじめテーブルの上にそろえてあった材料や調味料、道具一式を前に、実に手際よく進んでいくのです。作りながら交わす会話も、知恵がいっぱい詰まっていて、気さくで楽しいおしゃべりです。あっという間に2品ができあがるので、「これなら私でもできるかも」という気になりました。

そして、いざ試食。口に入れた途端、「わー、おいしい」とにんまりです。香りや食感、甘みと塩気のバランスが絶妙で、取材チームは大喜びでした。

初めてのサラダ本、そして大好きないちじくの本

本の装丁や写真もおしゃれ

『新しいサラダ』は、「自分で作ったサラダをインスタグラムにのせていたら、本にまとめませんかというお話をいただいて、初めてのサラダ本を作ってみました」。見た目に美しく、食べておいしそうなサラダばかりです。

たとえば「シャインマスカットと和梨のサラダ」は、円形に重ねた薄切りの梨の上に、スライスしたみずみずしいマスカットがのせてあって、ケーキのようなたたずまいですし、「とうもろこしのジェラートサラダ」は、コーンポタージュをジェラート状にしたものに、半熟のゆで卵とパセリが添えてあって、涼やかで美しい。「どんな味だろう」と興味が湧いてきます。

一方、もう1冊の『いちじく好きのためのレシピ』は、里香さんが昔からいちじくが大好きだったことから作ったもの。ケーキやマフィンといったお菓子はもちろん、お料理に使ってもおいしいのがいちじく。最近は、ドライフィグ(干しいちじく)なども随分とポピュラーになっていますが、それでもチーズと合わせたり、サラダのトッピングにするくらいで、私のレパートリーは限られています。
「サラダや肉料理との相性も抜群で、いちじくのさまざまなおいしさをもっと知ってほしい」と里香さん。こちらも、「いちじくのフルーツサンド」や「いちじくと生ハムのタルティーヌ」など、惹かれるレシピが並んでいます。

里香さんの料理は、見た目で「かわいい!」と盛り上がり、口にして歓声が上がって、おしゃべりに花が咲く――「口福」という言葉を里香さんは使いますが、「口の福」が「人の福」につながっていって、皆を幸せな気分にするのだと思いました。

しかも、しゃれているのに、凝りすぎない気楽さが、里香さんのレシピの魅力。どこか乙女心をくすぐる愛らしさがあって、にっこり笑顔になるのです。

次回は、里香さんの持っている乙女心のもとについて、触れてみたいと思います。



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PROFILE

川島蓉子(かわしま・ようこ)

川島蓉子

伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。
1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。多摩美術大学非常勤講師。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。
ifs未来研究所 http://ifs-miraiken.jp

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伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。
1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。多摩美術大学非常勤講師。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。
ifs未来研究所 http://ifs-miraiken.jp

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