朝日新聞ファッションニュース

エルメスの世界観にあなたが迫る。東京で参加型の展覧会

  • 2018年8月6日

エルメスの世界観を伝える「彼女と。」展が東京・六本木の国立新美術館で開かれた。観客は、ひとりの女性の人物像を追い求める映画の撮影スタジオに入り込み、撮影を目撃したり自ら演じたりといった体験を通して、「彼女」=エルメスが思い描く女性像に迫っていく。

スクリーンに映し出される「彼女」。手前は物語を説明するガイド

ブランドが思い描く女性像 物語に入り想像

昔の映画館のような会場に入ると、そこは赤い床のロビー。シアターのスクリーンに映るのは、緑の中で馬に乗るひとりの女性だ。彼女は、ある作家が忘れられず会いたいと思っている女性という設定。観客は、一般から募集した作家役とともに会場を巡る。

シアターを出ると、映画の撮影現場さながらのセットが並ぶ。彼女を知る3人に作家が話を聞くシーンの撮影が目の前で行われる。友人、恋人、隣人の花屋。それぞれが、彼女についての忘れられないエピソードを語る。

「彼女」の友人(左)と作家が対面するシーン

3人が話した回想シーンの撮影現場にも入り込む。衣装や小道具として置かれているのは、コートやバッグ、靴など、エルメスの2018年秋冬コレクションだ。そして作家はいよいよ、彼女の家へ入る――。

観客は物語の一部に入り込み、断片的に積み重なっていく情報から、彼女の人物像を膨らませていく。展覧会の演出を手がけたパリ在住の映像作家、ロール・フラマリオンは「エルメスが思い描く女性は、色々な女性がありうる。教養があり、人々や物事を敬うことを大事にしていて、ものすごく自由な女性。参加型にすることで、彼女と自分が近くなる感覚を持ってほしいと思った」と話す。

セットの裏に置かれたエルメスのバッグや衣装=展覧会はいずれも東京・六本木の国立新美術館

サプライズで心情に訴えかける 監修のバリ・バレ

展覧会を監修したエルメスのレディース部門アーティスティック・ディレクター、バリ・バレに展覧会の狙いやブランドの今後について聞いた。

    ◇

(C)Liz Collins

――なぜ映画仕立てで、女性をテーマにした参加型の展覧会に?

エルメスの世界に対する手がかりを得てもらいたい。エルメスの女性像を一つのかたちで演出し、映画の撮影の中に一般の人が浸り込めるような、サプライズを準備したらよいのではと考えた。皆さんの心情に訴えかけることが展覧会の狙いです。

――なぜ日本で開催を?

エルメスにとって日本は中心的な国。感性的な結びつきもあり、繊細なものや美意識を日本の人は理解してくれている。

――伝えたいエルメスの世界観とは。

いかに人生を楽しく享受できるかということ。展覧会では「彼女」の家も見られるが、かなり自由な女性だとわかる。大事なことだと思う。

――エシカル(倫理的)な消費など、ラグジュアリービジネスが変化に直面する中、エルメスの方向性は?

エルメスの素地にあるのは職人芸。技が蓄積され、継承されていくというのは社会全体にとって大事な一つの方向性です。でも他のブランドがそうかというと、そうでもないのでは。これまでたどってきた道をこれからも追い続けたい。(神宮桃子)

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