スリランカ 光の島へ

<3>スリランカごはん 

  • 文・写真 石野明子
  • 2018年8月10日

&wの連載「ブックカフェ」やインタビューでもおなじみの写真家、石野明子さんが2017年、30代半ばにして、家族3人でスリランカに移住しました。今回は日本でも最近人気が高い、スリランカカレーの秘密です!

    ◇

「3食カレー食べてるんでしょ? スリランカの人は」

と、よく聞かれる。その通りなんだけど、その3食のバラエティーはとても豊か。辛い、甘い、酸っぱい、苦いカレー(おかず)に合わせるのはごはんだけでなく、赤い玄米や米粉から作られた麺や蒸しパン、クレープのようなものや小麦粉から作られる平たいパン(ロティ)など、組み合わせはものすごい数になる。

スリランカはスパイスや薬草、食物がとても豊かな土壌で、そのためにスリランカアーユルヴェーダが独自に進化した。アーユルヴェーダの考え方では、食事に5種の味覚が存在するように料理するそう。私たち日本人になじみのある果物もカレーになるし、見たことのない野菜もたくさんある。

スリランカカレーは日本のカレーのように、いろいろな具材を入れたものではなく、だいたい1種類のメイン食材で作る。例えばチキンカレー、かぼちゃカレー、いんげんのカレー、ゴーヤのサラダ、ゴトゥコラ(薬草)のあえ物を用意して一つのお皿にご飯とともに盛り付ける。日本でいう定食といった感じ。

【動画】スリランカの大衆食堂でカレーを盛りつけてもらう

 

これをお皿の上で指で少しずつ混ぜながら口に運ぶ。口に運ぶ前に指でぎゅっとカレーとご飯を一体化させると、スプーンで食べるのとは全く異なったおいしさになるらしい。「らしい」というのは手で食べるのが意外とむずかしく、私はまだその境地に至っていないから。手で食べるにはお皿の余白スペースがとても大事になるらしく、ホームパーティーなどでは大きなお皿をお客様に提供するのがおもてなしの印だとか。

日本のカレーや北インドのカレーと違って、スリランカのカレーは、それほどこっくりしていない。油ももちろん使うが、ココナツミルクでコクを出している。そしてモルディブフィッシュという日本のかつお節に似たものをうまみの隠し味として使う。干したかつおを細かく砕いてカレーやあえ物に入れるのだ。その少し硬めの食感や、かむとにじみ出るうまみは、口の中に入るとアタリをひいたようなうれしい気持ちになる。

スパイス使いはお母さんたちの腕の見せどころ。やはりおふくろの味がスリランカにもあって、とってもメジャーなダール(豆)カレーも家庭によって全然違う。「ほほう。このおうちはシナモンを入れて香りを変えてるな」「トッピングに素揚げカリカリガーリック、玉ねぎをのせて食感を足してるな」と興味深い。たくましい二の腕で優しいカレーを家族のためにせっせと作る。

スーパーマーケットに行くとスパイスの棚はとても大きく、食事当番のスタッフにスパイスのお使いを頼まれるのだが、チリといっても刻みチリ、ドライチリ、チリペーストなど探し出すのに時間がかかってしまう。せっかちな私は同じチリなんだからどれでもいいだろうと適当に買っていったら「違う、使えないです、アキコサーン」と言われた。

スリランカカレーはざっくりした作り方をするのかと思っていたけれど、スタッフや現地の人のキッチンを見ていると、手間ひまかけてる! と驚愕(きょうがく)。ココナツミルクひとつとっても新鮮なココナツをたたき割って、ゴリゴリ削って、濃いココナツミルクを抽出、そのあと薄いミルクを抽出(一つの料理で濃いミルク、薄いミルク両方使う)。カレー作りにトライしようと思った気持ちが……遠のいた。ココナツミルクパウダーを使おうと言ったら、スタッフが少し悲しい顔をした。

このスリランカのRice & Curry(発音はライセンカリー)、ぜひスリランカに来て本場の味にトライしてほしい。辛いお店やしょっぱいお店など食堂の個性もいろいろ。

街を歩けば簡単にRice & Curryの文字が見つけられる。価格は大衆食堂でだいたいRs.140(約100円)くらい。スリランカの人々はお昼はライセンカリーでなきゃ! という人が多く、その場で食べていく人もいれば、職場の人に頼まれたのか10個近く持ち帰る人も珍しくない。

私は初めてのお店は客層で判断している。お客さんにOLさん風の女性がいることが私の判断基準。日本と同じで男性が多いお店はごはん山盛り、塩分強め。その点、女性が来ているお店はこぎれいで野菜カレーが充実している気がする。日替わり野菜カレー4種に合わせて、チキンかフィッシュかタマゴかそのままベジか。最近はお昼になるとライセンカリーが食べたくなってくる私たちなのである。

(第4回につづく)

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PROFILE

石野明子(いしの・あきこ)

いしのあきこ

2003年、大学卒業後、新聞社の契約フォトグラファーを経て06年からフリーに。13年~文化服装学院にて非常勤講師。17年2月、スリランカ、コロンボに移住して、写真館STUDIO FORTをオープン。大好きなスリランカの発展に貢献したいと、その魅力を伝える活動を続けている。
Instagram @studiofortlk
http://studio-fort.com/
http://akikoishino.com/

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石野明子(いしの・あきこ)

いしのあきこ

2003年、大学卒業後、新聞社の契約フォトグラファーを経て06年からフリーに。13年~文化服装学院にて非常勤講師。17年2月、スリランカ、コロンボに移住して、写真館STUDIO FORTをオープン。大好きなスリランカの発展に貢献したいと、その魅力を伝える活動を続けている。
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