野村友里×UA 暮らしの音

UAさん「今日私は、一体幾つのどんな考えを持ったのだったかしら?」

  • 文・写真 UA
  • 2018年9月3日

料理人、eatripを主宰する野村友里さんから、カナダにいる歌手のUAさんへ、「所有すること」をテーマにつづられた前回のお手紙。「どんなにお金があっても、結果本当の意味での満たされる気持ちや幸せは、買えるものでも所有できるものでもないとも感じる」という野村さんに向けてつづられる、UAさんにとっての「所有」とは--?

    ◇

森で小さな村づくり

>>野村さんの手紙から続く

大の字になって寝っ転がる。うん最高。
実際、副交感神経もよく働くようだし、天地生命の氣を取り入れるにはもってこいのポーズなんでしょ。Yogaでは、死者のポーズと言うものね。
私の方は、夏の勢いに乗せられ、子どものあふれんばかりのエネルギーに応えようと、駆け回るうちに、うーん、夏バテだわね。。すっかり氣落ちしちゃって。やりたいことは頭に浮かぶばかりで、どうにも身体がついてかない。さりとて子どもたちとの日々に休みなし。

島の最北まで行ったついでに海にザブンとつかってね、そのあとトレイラーハウスの2階の天窓の下で、はい、大の字ポーズ。
もう、夜の寝入り以上の急降下(上昇?)。古家の改装工事の音と子どもたちのはしゃぐ声が遠くに聞こえたのもつかの間、すぐさまたどり着いた深~い自我の忘却。
そして目覚めたらもう夕方の畑の水やりの時間だったんだけど、すっかり氣は満ちて、目に映るものみんな新鮮で、鼻歌もジョークも冴(さ)えわたり、秋まきした新芽たちの愛らしいことといったらもうこの上なし。

そして今夏の体験としては、子どもたちと近所の山に登ったらね、たまたま犬をお留守番させたおかげで、フクロウに遭遇。ネズミを目で追い捕らえて食らいつくところまで間近で観察できたの。
獣たちは人間の心や頭の中までお見通しというのは、実にうなずける。皆で手を合わせるように「ふつつか者ですがどうかよろしくお願いします」的な低姿勢マインドで居たら、フクロウの方はまるで動じず、くるくると首を回しては時折こちらを眺めるようで、悠々と狩りを続けてくれるのだった。そこでもし、捕って食おうか、連れ帰ろうかなどと一瞬でも頭によぎろうものなら、そんなギフトは直ちに終了しただろう。

森で小さな村づくり

夜光虫を見にいく

夏は22時過ぎまで薄明るいこちら、夜光虫を見にいくには、子どもたちはかなり頑張って起きていなければならない。でもそうしてまでも行く価値はあるなとうなずいた夜。
民家がそばになく、人工的なライトアップもまるでない入り江の小さな船着き場、一見するといつもと変わりなさそうな漆黒の海。ところが、どっポンと石を落とせば、緑青(みどりあお)の光る粒子が彗星(すいせい)のごとく現れて、水底まで続く。子どもたちは大はしゃぎで、棒でかき回したり足を揺らしたり、重い石を両手で抱えてきては、水底まで続く流星現象が起きるのを飽きずに何度でも繰り返す。さすがに 飛び込む勇気はなかったみたいだけど。

夜光虫は前に日本の海岸で見たことがあったような、まるでうろ覚えな記憶しかなかった私、あまりの不思議さに見とれること小一時間。翌日まで、ふと視点をぼかすと粒子がチラチラと様々な物体から発光してるような錯覚が続いたの。夜光虫からのギフトで、つかの間に通常の視覚以上に量子の発光を見られたのかも、なんてね。しかし、あれが日中だと赤潮になるなんて何だか信じられない。

ワイルドな白雪ちゃんとその雛(ひな)たち

10歳になった娘の誕生日には母娘2人でお出かけできるというギフトを男組からいただいたのね。氣の向くままのデートってわけ。娘以上に母のほうがワックワクよ。

いつも決まって弁当持参な家族行動とは違って、コンブ茶(紅茶キノコの方ね)しか持たなかった女組。フェリー乗り場の待ち時間に、家族行動だとなかなかお邪魔しないであろうカフェで、ヴィーガンサンドのテイクアウトを注文。7分でできると言われたまま20分は待ったかな(カナディアン島タイム)。でもその間も娘にとっては社会見学。オーガニックヴィーガンカフェならではの、アニマルテストや毛皮、フォアグラ反対派のフライヤーなどは彼女には大ニュース。ブツブツと解説しながら表に目をやると、駐車された車のバックドアには
「Don't change the island, let the island change you」
のステッカー、うんナイス!

そのお店はカフェ兼ブックストアになってて、陳列される数々の(主に精神世界系の)本の中から一冊のタイトルが目に留まったの。
『You are not what you think』
。。。言い得て妙だけど、そりゃ間違いないわ。
しかし、分厚い英語の本なので購入するには及ばず、とりあえずは、そのタイトルから連想されるフィーリングを持ち帰ったのね。

心の中に起きることと、「所有」すること

そもそも言いだしておいて何だけど、今回のお題「所有」。
これを頭で考え始めると、正直だんだ~んむなしくなっちゃうのよね。これも夏バテ?
だからなおさら、友里の手紙は真摯(しんし)に等身大で、とても染みたのよ。

朝摘みプラムとブラックベリーをマーケットに売りに行くぞ

さあ屍(しかばね)のポーズで一呼吸したら、細胞ときめくように進んでみるぞい。
まず今日私は、一体幾つのどんな考えを持ったのだったかしら?
思考は、記憶や予感のページをめくりながら、「今」に質問するようで、波のような満ち引きの中で、閃(ひらめ)くような、受信してるような感覚でもあり。

もしも空気を通じて人の想念が行き交うのが見えたら、卒倒しちゃうだろうね。しかし事実、世界は集団意識による影響は大きいし、何より手強いもの。
人は大体1日に5万を超える思考を持つんだって。それが全部自分のものだとしたら、と言うより、それが自分なんだと言われたら、何だか違和感ない?
そこで、改めてわかるのは「心」は「思考」とは別のものなんだってこと。
もちろん思考は心の中にわき起こるもので、常にまずは自分の思考に注目してしまうし、そもそも先に選ぶこともできない。それによって感情までいちいち動かされていたら参っちゃう。
多分、止まることない思考を眺めながら、それを意見として聞けるような心持ちでいられたら楽なんじゃないかと。「グラウンディング」の意味って、地に足つけるのは然り、そうして心に触れていることなんだね。

たわわに実るブラックベリー

私もさ、これまではそんな時間あれば貯まってる本でも読みたいわと思っちゃってたんだけど、 今回これを書くにあたり、ついにきたきたこの言葉、
「瞑想!」
たとえ数分でも、大文字ポーズでも料理しながらでも風呂に浸かりながらでも、歯磨き中でさえ、思いついたその時に「瞑想」にチャレンジする時間を選ぶことは、まだまだやかましい脳の副産物と付き合っていくこの先、増殖しようとする「思考」を観察しては心に問うて、不要なら宙に返すような、そんな作業の練習になるんだと、ようやく理解したわけ。

  

東京暮らしで、忙しいほどに頭の中までパンパンになって心は置き去り、なんてことは少なくなるだろうし、必要以上に自分に傷ついたり責めたり恥ずかしくなったりさ、もうしなくて済みそうじゃない?
自分の心の中に起きたからといって、それが自分のものになるということはないということ、それは例えば、物質面でも同じことが言えるのかもしれないなあ。
計れるものを、自分のものとして、または自分だけのパワーだと過信し続けるなら、ウツクシイ ミライへの鍵はなかなか見つからなさそうだね。

最後に余談になるかもだけど、もしも友里のように恵まれた容姿と才があったら、すっかり勘違いしてしまうような人は少なくないと思うの、だけどあなたが決してそうならないのは、何より心を一番大切にする人だから。

私が友里を大好きな理由ね。

残暑に負けないおいしいメニューを明日もよろしく。

うーこ



>>野村友里×UA 暮らしの音 バックナンバーはこちら

PROFILE

UA(うーあ)歌手

UA

1972年大阪生まれ。母方の故郷は奄美大島。1995年デビュー。1996年発表のシングル「情熱」が大ヒット。2000年、ブランキー・ジェット・シティを解散した浅井健一とAJICOを結成。同年、初主演映画「水の女」(テサロニキ国際映画祭グランプリ受賞作品)公開。2003年から放送されたNHK教育テレビ番組「ドレミノテレビ」に、歌のおねえさん「ううあ」としてレギュラー出演。2004年、数々の童謡・愛唱歌を集めた、ううあ名義アルバム「うたううあ」をリリース。2006年、菊地成孔とスタンダードジャズアルバム「cure jazz」をリリース。2010年、デビュー15周年企画カバーアルバム「KABA」をリリース。2016年、7年ぶりとなるオリジナルアルバム「JaPo(ヤポ)」をリリースした。また、2005年より都会を離れ、田舎で農的暮らしを実践中。現在はカナダに居住。4人の母でもある。
UAオフィシャルサイト:http://www.uauaua.jp/

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

UA(うーあ)歌手

UA

1972年大阪生まれ。母方の故郷は奄美大島。1995年デビュー。1996年発表のシングル「情熱」が大ヒット。2000年、ブランキー・ジェット・シティを解散した浅井健一とAJICOを結成。同年、初主演映画「水の女」(テサロニキ国際映画祭グランプリ受賞作品)公開。2003年から放送されたNHK教育テレビ番組「ドレミノテレビ」に、歌のおねえさん「ううあ」としてレギュラー出演。2004年、数々の童謡・愛唱歌を集めた、ううあ名義アルバム「うたううあ」をリリース。2006年、菊地成孔とスタンダードジャズアルバム「cure jazz」をリリース。2010年、デビュー15周年企画カバーアルバム「KABA」をリリース。2016年、7年ぶりとなるオリジナルアルバム「JaPo(ヤポ)」をリリースした。また、2005年より都会を離れ、田舎で農的暮らしを実践中。現在はカナダに居住。4人の母でもある。
UAオフィシャルサイト:http://www.uauaua.jp/

今、あなたにオススメ

Pickup!

Columns