花のない花屋

帝王切開・出ない母乳・発疹…想像と違う出産育児でうつに。見守ってくれた母へ花束を

  • 花 東信、写真 椎木俊介
  • 2018年9月6日

  

  •   

  •   

  •   

  •   

  •   

〈依頼人プロフィール〉
長谷川かなさん(仮名) 42歳 女性
静岡県在住
無職

    ◇

 第一子が生まれたとき、母乳が出ず産後うつのようになってしまいました。今思えばどうでもいいことなのですが、当時は経膣分娩(ぶんべん)だと思い込んでいたら帝王切開になり、おっぱいが出ると思ったら出ず、赤ちゃんは広告のようにお肌がすべすべだと思っていたら、発疹が出て……。いろいろなことが自分の思い描いていたのとは違い、とても不安になっていたのです。

 神経質になっていた私は子どもを抱っこもせず、インターネットで情報を調べてばかり。そんな私に代わり、子どもに話しかけ、抱っこし続けてくれたのが母でした。

「お母さんは、自分の子どもはみんな粉ミルクで育てたし、何が違うの? 幼稚園にいる子で、この子はミルク、この子はおっぱいって誰も見分けがつかないし、その頃はみんな気にもしないよ」

 母はそう言ってくれましたが、私は母乳育児があきらめきれず、母の言葉が耳に入ってきません。結局、車で母乳外来に通うことになったのですが、そんな私を否定もせず、ときに励ましながら寛容に最後まで付き添ってくれたのも母でした。

 そのときの子どもももうすぐ8歳です。私は実家から車で30分ほどのところに住んでいたので、仕事に復帰してからも、保育園の送り迎えなど、母は何かと子どもの面倒を見てくれました。

 これまであまりに近すぎて、そんな母の存在が当たり前になっていましたが、実はこの夏、夫の仕事の関係でインドへ引っ越すことになりました。おそらく5年ほどは帰ってきません。いざ地元から遠く離れるとなると、母には本当にいろいろなことをしてもらってきたな……と思い、胸がいっぱいです。

 ずっと隣にいたので、もちろんケンカをしたこともありましたし、ずいぶん甘えてきたと思います。そこで、この機会に東さんの花を贈り、これまで言うことのできなかった感謝を伝えたいです。

 母は自由奔放で、すごくあたたかいハートの持ち主です。新しいもの、珍しいものが好きで、色は赤が好きです。孫の好きな濃い緑色も加え、珍しい植物を使って世界に一つだけの花束を作っていただけないでしょうか。

花のない花屋


>>「花のない花屋」のバックナンバーはこちら

PROFILE

東信(あずま・まこと)フラワーアーティスト

写真

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。http://azumamakoto.com

[PR]

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

東信(あずま・まこと)フラワーアーティスト

写真

1976年生まれ。
2002年より花屋を営み続け、現在は東京・南青山にてオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS」を構える。2005年よりフラワーアーティストとして、ニューヨーク、パリ、ドイツ、ブラジル等、国内外で精力的な活動を展開。独自の視点から花や植物の美を表現し続けている。
作品集に「ピエール・エルメ サティーヌ」「ENCYCLOPEDIA OF FLOWERSII 植物図鑑」(ともに青幻舎)など。http://azumamakoto.com

今、あなたにオススメ

Pickup!

Columns