移転まで5週間、最強の胃袋を持つ私が行く築地市場内飲食店(3)小田保・天房・ふぢの・八千代
- 文・ 栗原友 写真・馬場磨貴
- 2018年9月5日
クリトモさんが気になるお店を食べつくすシリーズ第3弾は、市場ならではの朝食、とんかつと天ぷら、そして前から目をつけていたというジャージャー麺を求め、まずは大好きな「小田保」さんから始まります。クリトモさんの食べ方や、とっておきの一皿たちを、近くで見たり一緒に少しずつ味わったりするうちにつくづく感じました。築地市場場内の食堂って、食のプロによるプロのための場所なんですね……。
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チャーシューエッグはこの食べ方で!「小田保」
読み方は「おだやす」さんです。
私が築地に行くときにお邪魔させていただく私の中の定番のお店のひとつです。こちらのお父さんの笑顔が大好き。「さっき体の大きな友達きてたよ」とか、「本読んだよ」とかいつも話しかけてくれます。
このお店のメニューで私がオリジナルと思って頼んでいるものがあります。有名なチャーシューエッグですが、これに揚げものについている自家製タルタルソースをトッピング。甘辛いタレにゆるめのタルタルソースを混ぜてチャーシューをくぐらせてご飯の上にバウンド。これが最高。あ、ポテトサラダは増量オーダーで。ここのポテサラ、おいしいんだ~。
あと私が好きなのがカツ煮。電車で行く時はこのカツ煮とビール。これに決まり。なんでこんなに柔らかいの? っていうほどかみ切るのが簡単なとんかつ。卵とじになっているけど、私は出てきたらサクサクの部分が湿らないうちにまず一口。うーん、最高! 冬はカキフライとカキソテーのハーフ&ハーフもおすすめです。私はまだ食べていないけど、冷やしカツ茶漬けなるものが出ているみたい。これはおいしそうでしたよ!
旬の海の幸の天ぷらが丼に!「天房」
読み方は「てんふさ」さんです。こちらもずっと行ってみたかったお店。なぜなら、私が食事をしたい時間にはもう天ぷらのネタが売り切れてしまっているから。何度も目の前まで行ってがっかりしていましたが、今回は取材なので絶対に食べられる! 早朝からこんなぜいたくたまらない! 天丼最高!
まずは稚アユ。ご飯と一緒というより単体で。おなかの苦みがほんのり香っていいお味! 次にタレのかかったご飯を一口。お漬物を一口。あとはフリーで芝エビ、穴子、キスなどを交互にお口にポンポンと運びます。旬の海の幸の天ぷらが丼になって1200円というお値段でいただける。これぞ築地グルメ!
築地って安いんじゃないんですよ。新鮮で上質な食材がすぐに調理されて食べることができる、最高のぜいたくができる場所なんです。どんな高級店で食べるより、まずは天房さんに行ってみてほしい。
タレを飲みたいぐらい!中華「ふぢの」
券売機の目立つところには半チャンラーメン、酸辣麺などが並んでいます。きっと人気商品なんでしょう。でも私がこのお店で食べたかったのは「ジャージャー麺」! 近所でもなかなか食べられないジャージャー麺。珍しいですよね。どうしてもこれが食べたくって今回取材させていただきました。見た目パンチがあって濃厚で重そう……。でも食べてみると、あら? 濃いのは色だけで、とっても食べやすい!
ジャージャー麺(編集部撮影)。名物の自家製チャーシューはサービスでしたがやわらかくておいしい! チャーシュー(トッピング)2枚(150円)や、シュウマイ1個とチャーシュー3枚の「盛り合わせ(半分)」(400円)などでも注文できます
いつもは、味が濃いところばかりだと疲れるので、麺とタレを全部混ぜ合わせず麺が何にも触れていない場所を確保し、タレ付きとタレなしの麺を交互に食べるスタイル。だったのですが、このジャージャー麺、もう麺とタレをぐばぐばに混ぜ合わせて一気にすすりたい! たまにきゅうりが口をさっぱりさせてくれるけど、もうタレを飲みたいくらい! しかも! 驚いたのはジャージャー麺についてきたスープ。普通のしょうゆラーメンのスープだけど、なんておいしいの! しょうゆの色は濃いけれど塩辛くなく、でもコクとうまみがある。次回は普通のラーメン食べなきゃ!
イチ押しメニューはミックスフライ!「八千代」
築地グルメを有名にしたお店といっても過言ではない八千代さん。様々な著名な方が紹介している築地の名店のひとつです。チャーシューエッグが人気メニューで、個人的感想ですが小田保さんはあっさり系、八千代さんがこってり系かなあ。「チャーシューエッグ戦争」なんて言われたりもしているようですが、どちらもおいしく、私はその日の気分ですかね。
八千代さんのメニューで私の一押しメニューがミックスフライ。どの具材も大きく、カリッカリに揚がっていて上からタルタルがとろーん! 私はアジフライが好きなのでだいたいどのフライ定食にもアジフライが入っているのがうれしいところ。あとはホタテのフライが好き。厚い身のホタテ、まるでハムカツのようなボリューム!
今回は食べなかったけど、ハムカツではなくハモカツも食べて欲しい。とにかくインパクト大。そしてハモは揚げるとめちゃおいしい。家では食べられないスペシャルカツをどうぞ。
PROFILE
- 栗原友(くりはら・とも)料理家
1975年生まれ、東京都出身。2012年から4年間、築地「斉藤水産」に勤務した。現在は料理教室を中心に活動する傍ら、魚料理の啓蒙や、魚を用いた食育に力を入れている。また、東京・浅草の遊園地「花やしき」内の居酒屋「夜のさわぎ」をはじめとする飲食店のプロデュースなど、幅広く活動中。近著に『クリトモの大人もおいしい離乳食』(扶桑社)、『クリトモのさかな道 築地が教えてくれた魚の楽しみ方』(朝日新聞出版)。http://kuritomo.co.jp/

PROFILE
- 栗原友(くりはら・とも)料理家
-
1975年生まれ、東京都出身。2012年から4年間、築地「斉藤水産」に勤務した。現在は料理教室を中心に活動する傍ら、魚料理の啓蒙や、魚を用いた食育に力を入れている。また、東京・浅草の遊園地「花やしき」内の居酒屋「夜のさわぎ」をはじめとする飲食店のプロデュースなど、幅広く活動中。近著に『クリトモの大人もおいしい離乳食』(扶桑社)、『クリトモのさかな道 築地が教えてくれた魚の楽しみ方』(朝日新聞出版)。http://kuritomo.co.jp/